FEATURE ARTICLES 14 デザイナーが感じるサービスデザインの今

THE EDITOR'S NOTE


大崎くんが言っているように、サービスデザインって本当に茫洋な世界だなと思う。実際の現場で実施しているデザイナーのフィルタを通すとどうなのか、部分的でもより具体的に理解できるものになればと、コンセントのサービスデザインチームの二人との対談を企画した。 
「デザイナーが強く貢献できるところは、エモーショナルな価値の具現化と、エモーショナルなところの発想」。れは組織内における横串を通すことにつながる。
カスタマーにとって価値ある商品やサービスを送り出す前の、組織内での価値共有や体制がボトルネックになっているときに、サービスデザインのプロセスが有効に働くのは組織にとってもカスタマーにとっても社会にとってもいいことだと思う。そしてそれが、サービスデザインが注目される一つの要素となっているというのはうなづける。
そしてもう一つ、「お客さま企業にとっての再現可能性は重要だが、デザイナーがそのプロセスを生み出すことを運用化してしまったらその時点でデザインではなくなる」という言葉に、問題にとことん実直に向き合うデザイナー魂を感じた。(岩楯ユカ)

コンセントってやっぱり商売があまりうまくない会社だなと思う。今流行っている言葉を使って、ツールなりフレームワークなりをパッケージ化したものを共有し展開していけば労力は減らせるかもしれないのに、そうしない。「サービスデザインはこうだと決めつけた瞬間に終わってしまう。そもそも世の中は動いている」。企業が抱える課題やその顧客が価値と感じるものは変わっていく。パッケージ化することで安心し思考停止のワナにはまってはいけないのだ。
アッと驚かせるサービスを世の中に出すような「作品」してのデザインではなくて、(企業が)やりたいことの実現とそれを成立させるしくみのために、そして顧客やユーザーのより良い体験のために、デザインという手段を使っている。あくまで黒子。「サービスデザイン」をやっているというよりも、コンセントのデザインのプロセスやデザイナー達の思考はこれまでも、「サービスデザイン」だったのだなと感じた。サービスデザインというと「イノベーション」という言葉とセットになって目にすることも多く一見華やかさすら感じるけれど、今回取材を通して改めて思った。「地味だな~」。(河内尚子)

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