FEATURE ARTICLES 12 人間の中にある「編集デザイン」

第3章 ガールズトーク × 鈴木 誠一郎

直感的な判断と理屈での分析


鈴木
そこら辺の判断も、頭の判断よりは直感的な判断の方が強い。何でもそうだと思うんだけれども、そういう直感的な判断と理屈での分析っていうのは車の両輪みたいに両方必要。先行するのはどちらかと言えば直感的な判断の方で、理屈の方は、後追い的に直感的な判断を整理したりっていうことなんじゃないかなって。ギリギリでの判断が求められるような場合っていうのは複雑で難しい状況だから、理屈だけではこっちが正しいって言い切れないことが割と多いんだよね。そこで頼りになるのは体感的な判断能力をどこまで磨いてるかっていうことだと思うんだ。ただし、判断したならば、その判断を前提に物事がどんどん展開し始めるわけだから、的確に対処したり先の展開を読むために、理屈でちゃんと分析できなきゃいけない。だから両方必要なわけ。

青木
僕たちが仕事でデザインをするときにも、なぜそのデザインがいいのかを言葉で説明できないと、説得力をもたせられないですしね。

鈴木
型を大きく破るような新しいことをしようとするときにも、型っていうものがちゃんとあった方がいい。それこそ火薬は何かに詰めた方が爆発力が大きくなるのと同じで。武道の型っていうのも、きっちり体に叩き込んでおかないと素晴らしい型破りができないわけだしね。

青木
じゃあ、直感を鍛えるにはどうすればいいんですかね?

鈴木
直感で判断するような状況を疑似体験することをたくさんやるっていうのが大事なんじゃないかな。「学ぶ(まなぶ)」っていう言葉は「真似ぶ(まねぶ)」と同じ語源だからね。型を身に付けるときに、四の五の言わずにとにかく真似をする。そうするうちに、型の意味がだんだん体でわかってくるようなところってあるわけだし。
頭で考えない能力を鍛えた方が、大きい飛躍を達成できる気がする。だけど、全く頭で考えないわけではなくて、考えることと直感とのバランスはすごく微妙だと思う。最後まで何も考えなくてはただのバカだ。

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