FEATURE ARTICLES 12 人間の中にある「編集デザイン」

第1章 バイクレース × 鈴木 誠一郎

高いテンションと冷静さ。「自分の土俵」づくり


青木
自分だけの土俵?

鈴木
たとえば、コーナリング技術とかパワーとか、みんな似たようなところで競い合ってるわけじゃない? だから、誰も追求していないような穴になっているものを見つけて、それをうまく追求できると勝てる。
私の場合は、あるレギュレーションの250ccクラスのレースに200ccのバイクで出るという作戦を考えてね。ほとんどの人は公道も走れる250ccの市販バイクを改造したレーサーで出るんだけれど、200ccなら、125ccのレース専用モデルの車体に、レギュレーションに合致するエンジンを乗せられることがわかった。エンジンも、200ccでも、オフロードレース用のエンジンのパーツを使って、パワーもさほど250cc市販エンジンに遜色のないものをつくれる方法があった。それを、プロに頼んで完璧に作ってもらった。つまり、パワーを少しだけ犠牲にすると、他に較べて軽いし操縦性が圧倒的に優れたバイクができる。市販車とレース専用モデルってそこが全然違うから。

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