FEATURE ARTICLES 12 人間の中にある「編集デザイン」

第3章 ガールズトーク × 鈴木 誠一郎

人間のコミュニケーションはそれ自体が目的


鈴木
人間の言葉がなんで生まれたのかって考えたときに、何かの目的のためだとすれば今の言葉みたいな発達の仕方はしないと思うんだよね。ある特定の目的のために効率のいいことをやろうと思ったならば、今、人間がもっているような言葉のシステムよりも、もっといいシステムっていっぱいあるはずなんだよ。
ネアンデルタール人って、今の人間のような言葉をもっていなかったという説があって。一方、人類の先祖とされるクロマニヨン人は言葉をもっていたと言われていて、特定の目的のためではないコミュニケーションをとれるようになった。それが人間の人間になった一番肝心な点じゃないかなと思う。
要するに、人間のコミュニケーションは何か特定の目的のためっていうより、コミュニケーションすること自体が目的なんだ。サルがお互いに毛繕いする目的っていろいろ言われてるけれども、蚤を取るとかフケを取るとかの実用的な目的のためというよりは、立場を入れ替えて気持ちいいサービスをしあうことで、お互いの関係をよくすること自体が重要なわけ。一種のコミュニケーションで、それと同じことだと思うんだよね。

青木
コミュニケーション自体が目的。

鈴木
情報のやりとりをすることを通じて、関係をキープしたり、共有する言葉の体系をメンテナンスすること自体が人間にとってすごく大事。人間って4、50人ぐらいの集団で生活するのに都合がいいように進化してきたって言われてるんだけれど、その4、50人のまとまりをいろいろ予測不能に変化する状況の中でもキープする上では、特定の目的のためではなくて、情報をやりとりすること自体を楽しむ必要がある。最初の話と似てくるけれど、「それ自体が楽しい」ってことじゃないと続かないわけだよね。

戻る

次へ