FEATURE ARTICLES 13 「ミッションとあらためて向き合う。」

ふつうの人々にとっての豊かな状態とは?


籔内社長
ちょっと話が外れるんですけれど、ジョナス・メカスさんという、世界的に有名な映像作家とお話したことがあるんです。
お会いしたのはニューヨーク、彼が94歳のときでした。
そのときの会話の中での、「一番豊かな状態というのは、歌って、踊って、お酒を飲んで楽しむことなんです」という彼の言葉が印象に残っていて。彼は突出した仕掛けをつくるような映画はあまり撮らない方で、日常の生活を記録したものこそが映像として一番価値がある、と考えている方なんですよね。

岩楯
日常の生活。ドキュメンタリーのような。

籔内社長
ドキュメンタリーもつくられたものがあったりするので(笑)。端的に言えばホームビデオですね。
メカスさんの作品に「365 Day Project 」(※3)という365日分の短編映像があって彼のウェブサイトでも見れるんですが、料理をしていたり、冷蔵庫に貼ってある詩を読んだりしてるんですよ、メカスさんが自分で撮って。つまり映像という形でアウトプットしているんですけれども、撮っているのは自分の生活なんですよね。それが本当のcreation の意味というか、アウトプットの仕方はそういう形でいいんだなと、あらためて考えさせられました。

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