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共有ツールに活かせるエディトリアルデザインのスキル


河内
そのエモーショナルな発想でアイデアがわいたとき、それに共感してもらう必要があるじゃない? 企業の担当者と共有するために、伝える手段としてどういうものを持っている?

大崎
私はプレゼンシートといった形でやることが多いんですが、そこにはグラフィックデザインやエディトリアルデザイン、もしくは編集という考え方をもち込むことがすごく大事なんです。
私自身、苦い想い出がいっぱいあるのですが、やりがちなのは、われわれが考えたプロセスを演繹的に述べていって、結局、何がいいのか伝わらないパターン。情報を素のまま全て出すのではなくてきちんと「編集」をして伝わるようにするといった、一種の編集スキルとデザインスキルがないと伝わらないんです。

岩楯
「編集」をもう少し具体的に言うとどんなことですか?

大崎
たとえば、われわれが考えたことを端的に一つのコピーや映像、1ビジュアルで表すとしたらどうだろうというように、「切り取り方」をもって伝えるということです。そこにはエディトリアルデ
ザインの経験で得たスキルがすごく生きているという実感があります。
細かい例なんですが、エディトリアルデザインではレイアウトをするときに、どの写真がいいだろうかとか、この写真はこうトリミングしたらいいだろうといったことを考えますよね。プレゼンシートといった共有ツールをつくるときの思考もそれと近いんです。要するにその現象をどう抽象化するか、どこを切り取って強調したり省いたり、という編集作業を頭の中でやっているんですよね。

岩楯
伝わるためには、集めた情報のどこを切り取るべきかを考える。

大崎
そうですね。どこを言わなくていいとか。プレゼンテーションの基本かもしれませんが、私も星さんもそうですが、エディトリアルデザインをやってきた人間はそこのスキルがすごく高いので、サ
ービスデザインで「共有する」「伝える」ということをやっていく中でも強みとして活きるところだと思います。

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