枯れていくウェブ

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ウェブデザインって、どんなデザインなんでしょうか。

人によっていろいろな定義があると思いますが、最近思ったことをひとつ。


我々コンセントは、もともと40年以上続いている出版デザイン(エディトリアルデザイン)の会社、アレフ・ゼロが母体となっています。実際、社内デザイナーの半分以上はエディトリアルデザイナーなのですが、そんな紙系デザイナーがいま、ウェブサイトやランディングページなどを作ることが増えてきました。

かくいう僕も、もともとエディトリアルからキャリアをスタートしています。

先日そんなエディトリアルのメンバーがウェブにチャレンジした社内報告会に参加したのですが、それがとても面白かったんですね。

そこで彼ら/彼女らは、

  • ストーリーテリングへの強いこだわり。
  • QA的な課題解決よりも、コンテンツ戦略的なPDCAアプローチ。
  • 情報を「見ため読み」で届けるという価値観。
  • 肩書きにこだわらない、フローに対する柔軟さ。

といったポイントにおいて、ものすごいパフォーマンスを発揮していました。

僕はウェブ業界に馴染むことに必死で、いつのまにか、既存のウェブのやり方的なもの、ウェブのお作法みたいなものを気にしすぎていたかも、と思ったりしたのでした…。


同じボタン群があったとしても、
「並列な領域(器)を定義して、ラベルとアイコングラフィックをそこにおさめる」、という発想のアプローチと、「そこにはヒトの顔が必要だから、見出しを考えつつそれに見合うバストアップの撮影ラフを描き、写真と文字を組み合わせて要素を組み上げていく」というアプローチ…

絶対的にどちらがいいという話ではないのですが、実は後者のほうが、逆説的ですが、よりイマっぽいトレンド感あるアプローチなのでは? と思わされたりします。

枯れた技術の水平思考という言葉があります。僕の持論に、“ウェブはどんどん枯れはじめている”、というのがあるのですが、ここでもそれを感じることになりました。

あー、CSS Regions、はやく実務で使えるようにならないかなあ。

デザイナー・アートディレクター。ウェブサイトと雑誌のデザインをやっています。Profile