Designを肴に…

ぺちゃくちゃ喋ってる時にひらめいちゃうあの感じを、サストコ流に形にしてみます。お題はもちろん「デザイン」です。

2013/06/12 10:45

タイポグラフィから表現の意図を分析!「BEHIND THE SCREEN」

みなさん、こんにちは。デザイナーの小山田です。
今日は、3月15日(金)に開催された社内講演会、『BEHIND THE SCREEN』のレポートをお届けします。

当日は、島根大学大学院教育学研究科でデザイン教育をご担当の小谷 充さん(https://twitter.com/kotanidesign)(新しいウィンドウで開きます)に、市川崑監督の映画『犬神家の一族』のタイポグラフィについて講演していただきました。

コンセントで、なぜ『市川 崑』で『犬神家の一族』?

コトの始まりは一緒にお仕事をしているDTPオペレーターの方から「あなたのOBが書いた面白い本があるよ」と『市川崑のタイポグラフィ』(http://www.amazon.co.jp/dp/4880652407)(新しいウィンドウで開きます)を教えていただいたことから。

紹介されたその本は、『犬神家の一族』を中心に、市川崑映画のオープニングタイトルを扱ったもの。そのデザインの意図を、使われている書体を特定しながら、映画評論、デザイン評論の両面から分析するという、とても刺激的な内容でした。

え、エヴァも、任三郎も!とさっそく夢中のオビのコピー。

この『市川崑のタイポグラフィ』の著者が、コンセントのOBである小谷 充さんだったんです。
そこでコンセント社内にその本を紹介したところ、小谷さんの当時の同僚である新井さんが連絡をとってくださり、小谷さんから快諾を得て、トントン拍子で講演開催の運びとなったのでした。

参加者募集のための社内告知用ポスター。明朝体のエレメントとアイコン化した映画に登場する凶器。

トーク&スライド、魅惑の探偵パート。

講演では、小谷さんが探偵役となり、市川崑監督の映画『犬神家の一族(オリジナル版)』のオープニングクレジットを分析していきます。

そのクレジットデザインは、極太の明朝体、タテ組ヨコ組の混在が特徴的。ときとして読みにくくすらある、独特な表現です。それが、いったいどんなイメージを表現するために、なんの書体を使って作られているのか……。

その表現を仔細に分析していくと、隠されていた物語が現れてきます。明朝体という一族の歴史と、制作当時の環境、背後に潜むビジュアルコンセプト……。それらが複雑に絡みあったさまは、まさに横溝正史の世界!

残念ながら、内容がぎっしり詰まっているため、ここで全部紹介するのはちょっと難しいので、以下ドラマチックバージョンで、講演の様子をちょっとだけご紹介します。

さすが教育者!の完璧なトークとスライド。

書体を特定するため、「容疑者X、Y、Z」と名付ける。気分はデザイン界の金田一!

探偵の基本ですね。細部をしっかり拡大して調査、調査。

当時の制作環境や技術的な手法などのエピソードは、入社時からDTP環境になっていた私にとって新鮮!

実際には、豊富なスライドを使っての、書体の血縁関係の解説があったり、クレジットに追加で使用されていた“事後共犯”書体が登場したり、一本の映画のオープニングクレジットに、こんなにも豊かなストーリーがあったのか!と驚きの連続でした。

気になる方は是非書籍をご覧になることをおススメします!

講演ならではの楽しみ。参加者交えてのトーク。

ハイスピードでの講義が終わったあとは、恒例の質疑応答の時間。のはずが、自然と会話が始まり、タイポグラフィに関するフリートークタイムに。

中野さんの「70年代の雑誌の勢いのなかで、アートディレクターという職種とディレクションされたタイポグラフィという流れが生まれた」というお話から始まり、行間の詰まった70年代の雑誌の熱量について、『クロワッサン』、『アンアン』での書体選択の意図と背景について……。

当時の雑誌制作にまつわるエピソードの数々が飛び出しました。

80年代の『アンアン』リニューアルについて語る鈴木さん。

本文用に調整されたエレメントを持つ書体。それについて語り合う小谷さんと田中さん

テレビのテロップ制作現場には、写研(http://ja.wikipedia.org/wiki/写研(新しいウィンドウで開きます))のテロッパーがあるので、いまでもテレビでは写研書体を見かける…なんていうマニアックな会話も飛び出しました。

※興味のある向きは、試しに「プリキュア 写研」でグーグル検索(新しいウィンドウで開きます)をお試しあれ。

とくに、小谷さんが「実際にデザインすることとは、自分自身ハッキリしない目的に、カタチをあたえるため試行錯誤すること。そこには生々しいモノ作りの魅力がある」とおっしゃっていたのが印象的でした。市川崑監督の作品を見ていくなかで、使用する書体や技法などが一定せず、絶えず変化を続けていったことに対する言葉です。

カッコいい/キレイなものを作るということ以上に、どんな表現にすれば、そのコンテンツが生きるのかを考えること。そこには、よりよく伝えるために、どう理解して、どうカタチに表すかの見えない闘いがある。

“理解”することを大切にする、コンセントのみんなが持っている使命のようなものを強く感じた瞬間でした。

まさにDesignを肴に、あっというまの90分間。いろいろな知識を得て、熱い思いを共有できました!

最後に、小谷さんとサムズアップ! 本当にありがとうございました!

今回のチーム

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