世界行脚 vol.20 Creating Value of Qualuty of Life Service Design Tour in Copenhagen

後編 Road to Scandinavia

カンファレンスよりも充実!? 幸福の国デンマークでみたQuality of Life

ストックホルムからコペンハーゲンへとやってきたコンセントメンバー。
到着早々、コペンハーゲン中央駅目の前にドーンと店を構える、日本が誇るパン屋さん「アンデルセン」に立ち寄りランチをすませつつ、コペンハーゲンでの日程をスタートさせました。

そもそもQuality of Lifeって?

今回、コペンハーゲンの大学院でサービスデザインについて学んでいるEsbenくんがコーディネーターを買って出てくれて、現地のデザインエージェンシーやコンサルティング会社を訪問し、デンマークでのサービスデザイン事情など聞くことができました。コンセントメンバーだけではなく、日本からカンファレンスに行くメンバーにも事前に参加希望を取っていたので、最終的には20名ほどのメンバーでのツアーになりました。

"Public Sector? Private Sector?" DESIGN STUDIO TOUR

朝8時から、特徴の異なる3つの会社を訪問しました。どの会社を訪問しても、自己紹介や会社紹介をすると、真っ先に「Public Sector? Private Sector?」と聞かれるのが印象的でした。サービスデザインやデザインというものが決して先端的な取り組みをしている民間企業だけのものではなく、公共サービスや国の事業にあたり前に根付いているのだと感じました。実際、訪問した企業の生い立ちや成り立ち、事例などを見てみても、省庁や国との連携がごく自然にされているようでした。

朝8時に駅に集合。徒歩でKL7社へ

01 KL7

日本語にするとAM7(朝7時)という意味の社名。定量/定性調査や仮説の設計と検証を中心としているデザインスタジオ。

02 Mindlab

3つの省庁と1つの地方自治体の一部として存在しているという非常に面白い構造の会社。さまざまな政策や公共サービスの施策をプロトタイピングしている。

03 WORKZ

経営課題の解決支援をしているコンサルティング会社。独自開発のボードゲームを使って組織変革を推進しているのが面白い。

企業訪問の後は、みんなでランチへ。

最後に訪問したWORKZのオフィスにほど近いところにあるレストランSULTへ。

ランチはデンマークらしくオープンサンドイッチが食べられるお店をEsbenくんが予約していてくれました。

Tea Set

こんなとこにもQuality of Lifeというキーワードを思い出させるようなおもてなし

どの会社でも、ミーティングスペースに通されるとテーブルの上にはお茶セットが準備されていました。
紙コップではなくマグカップであったり、コーヒーやお湯やティーバッグやお水があったりと、セルフサービスだけど自由度が高いし、必要なものをひとまとめに出しているので一人ひとりにコーヒーを出すよりも効率的とも言えます。それなのに決して事務的ではなくてむしろ自宅にいるかのようなくつろいだ雰囲気が醸しだされているところに、心地良さを感じました。

SDN Japan Chapter x SDN Denmark Chapter

ランチ後、電車でコペンハーゲン市街地からAalborg大学へ移動。
SDN Japan ChapterとDenmark Chapterのコラボレーションでディスカッションサロンを開催。それぞれのチャプターや活動の紹介をしたり、またサービスデザインについて学んでいる大学院生のみなさんに、コンセントの紹介やコンセントのデザインプロセス、日本でのサービスデザインの取り組みなどについてプレゼンテーションをしました。プレゼンテーションは英語でおこなったので、おそらく登壇した3人的には、一番重いミッションが出張の最後の最後に残るという心理的にハードな日程だったはず。

はせがわさんがSDN Japan Chapterについて紹介し、日本では「サービス」がどう捉えられているかについて説明。

しおくんからコンセントの紹介。前の晩にほぼ徹夜で準備。

Denmark Chapterの取り組みについても紹介

質疑応答の時間、会場からの質問へのバネくんやはせがわさんからの回答に、私も補足させてもらいました。

コンセントのサービスデザインへの取り組みやデザインプロセスを紹介。企業訪問しながらも直前まで修正したりしつつなんとか無事に。

無事、終了!

デンマークのあちこちで感じた Quality of Life

Public Sector Service

図書館

コペンハーゲンといえば通称 ”ブラック・ダイヤモンド” と呼ばれているデンマーク王立図書館が有名ですが、そちらではなく、コペンハーゲンの郊外にあるOrdrup Bibliotekという図書館を見学しにいきました。本棚自体が子供たちが遊べるようなものになっていたり、リアルきせかえができるようなクローゼットがあったり、ネットで予約していた本を簡単に受け取ることができるようなシステムができていたり、裏庭が公園になっていたり…。とても明るく開放的でとても身近に感じられ、ふだんのふつうの生活が充実しそうだなと感じました。

デンマークでは、図書館が「全てのサービスを無料ですべての市民のために提供する」場所として法律で定められているそうです。テクノロジーを効果的に活用した図書館は、単に本を貸し出す場所ではなく情報のハブとして市民に利用されているようでした。

公園

お城のある公園にも立ち寄りました。馬がいたり、犬たちがリードなしで楽しそうに駆けまわったり、犬好きの私にとってはまさにこれぞQuality of Life!
それにしても緑豊かで広大!!

Private Sector Service

仲間とのひととき

王立図書館の隣の広いスペースに設置されていた、温室のようなガラスのドーム。
この中では、バーでドリンクが販売されていたので、みんなでドリンクを買い、川面を眺めながらおしゃべりを楽しんだり。市民でなくともなんだか環境に馴染んでる気分を味わうことができました。

ソーラーボート

ソーラーパネルで電源供給される電動モーターのボートで運河をクルーズ。ライセンスなしで操縦できて、グループのメンバーだけでワイワイいいながら楽しめるなかなか面白い体験。私たちのボートは途中から明らかに速度が落ち、充電がほとんどない状態だったことが判明。ドックに戻る頃にはすっかり真っ暗に。

Design

さすがデザインの国、デンマーク。
こんなものも目につきました。

ご注目いただきたいのはEsben君ではなくその下。なんと自転車止め。無骨ながらごちゃごちゃしてなくてむしろカッコイイ。

なんとカヤックごと川に滑り落ちることができる滑り台だそうです。

電車のなかには、Quiet zoneなるものがありました。静かに過ごしたい人に優しい。

物価の高いデンマーク。お水もお高め。コンビニにはペットボトルの空きボトルを回収するこんな機械も。お金がいくらか返ってきます。

欧州ではよく見かけるけど、自転車ごと電車に乗れます。

まとめ

改めて、今回の出張の様子をこう書き連ねてきてみると、私にとってのQuality of Lifeとはこの出張そのものなのかもしれません。

サービスデザインカンファレンスに出席して興味のある分野について知ることができたり、忙しいなかにもほっとひと息つける空間や時間があってメリハリがついていたり、異国の地の風を直接感じることができたり、新しくたくさんの方にお会いしてお話するチャンスがあったり、オフィスで見るのとは違う同僚の顔を見ることができたり、もちろん、その土地のものを美味しくいただくことができたり…。

ふつうの人が何気なく過ごしている生活のなかに、心地良く寄り添うようなサービスや体験をたくさん見ることができたのも収穫でした。

さて、コンセントとしてはサービスデザインというアプローチをどんなふうに生かしていくことができるのか。

今回の滞在中「Public Sector? Private Serctor?」と何度も問われることで、参加してきたメンバーの意識も刺激された様子。帰国後、コンセントのService Designチームは公共サービスのデザインを取り組むことを決め、日本の公共サービスを変えるために、利用者と共にサービスをプロトタイピングする「CONCENT_PUBLIC LAB」をスタートするとのこと。今後、コンセントのサイトやサストコでもご紹介していけるでしょう。

こんな取り組みをしています!

コンセントではオープンな勉強会として「Service Design Salon」を定期的に開催しています。詳しくは、サービスデザインチームのしゅうぽんが書いてくれた記事をご覧ください。