horiguchi
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horiguchi

アカウントプランニングマネージャーの堀口です。

時は7月の中頃。
バリバリとデスクワークをこなす(追われる)私の画面に突如、はせがわさんからのメッセンジャーが。

「これ予約して http://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13143574/

俺のフレンチ?俺の?誰?ハンバーグのあれか?

「今度の打ち上げの場所ですか?変わった名前ですねー」程度のリアクションをとりあえず送信。早速返信が。
「知らないの?社会人としての情報収集力を疑う」との一言。いつもながら手厳しいボス。

と、次にURLが。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20120613/1041478/
※参照:「日経トレンディネット」連載:鈴木貴博の「舞台裏から分析!流行のメカニズム」
『フランス料理界でコペルニクス的価格破壊革命が始まった』

ほう。巷で話題騒然?外食産業のイノベーション?ミシュラン星付きのスーパーシェフが厨房に?独自の仕入れ先?旬の食材?回転率?ミシュラン店では一皿1万5000円が1280円!!??

えーと!なんかすごい!…のね?

堀口「なんかすごいですねー」
はせがわさん「すごさ、わかってないでしょ」
堀口「予約しますか?」
はせがわさん「お願い」

で、その場で早速電話予約をしてみることに。

「はーい俺のフレンチEBISUですー(ガヤガヤ)」と、お兄さんの声はおよそフレンチらしからぬ居酒屋風。
希望の日取りを伝えると…「テーブルは埋まってますねー、ただちょうどその日はカウンターならお取りできますよ」って10日くらい先の予約なのに、既にかなり埋まっている様子。

野郎2人で対面フレンチよりは、むしろカウンターどんとこい、ってことでカウンターOKです。
「16時、18時、20時スタートの2時間制になりますのでご希望のお時間をー」とのことで、ちょっと早いですが18時からのカウンターを予約しました。

ボスに伝えると「やったー!」とはしゃいでらっしゃる。まったく大人なんだか子どもなんだか…。

というわけ、去る7月下旬。恵比寿は「kusakanmuri」の少し先の五叉路付近にできた「俺のフレンチ EBISU」に行って来ました。

食べログから拝借した「俺のフレンチ」外観写真 (by お店)

「俺のフレンチ EBISU」は銀座、神楽坂に次いで3店目で、「俺のイタリアン」の姉妹店とのこと。お店の看板はお世辞にも高級感があるとは言えないゆるい構え。外には月曜の18時前なのに結構人だかりが。予約していなくてもふらっと来て、立ち飲み席が空いていれば立ち飲みもできるらしいのだが、それは運良く空いていれば、の話。

そんな順番待ちの人だかりを誇らしげにかき分け、店員さんに予約の客だと申し伝えると、「お待ちしておりましたー!」とお店の中へ。

中に入ると店内は表から想像でき…る程度の空間で、ラーメン屋か居酒屋を居抜(いぬき)したような結構せまい印象。

食べログの店内写真 (by お店) 実際はお客がわんさかいます。

我々2名が通されたのは厨房が目の前にあるカウンターの角の席。椅子はちょっと高めで、歩きまわるホールの店員さんとちょうど同じ目線に。カウンターの幅も隣の人との距離もラーメン屋のそれに近い。メニューも張り合わせのA3程度一枚のメニュー表とワインリスト。おしぼりが出てきて…、と、ここまではよく行く地元の居酒屋とそんなにかわらない。お店の人ものっけから気さくで、およそフレンチのイメージとは全然違います。

で、張り合わせのメニューを見ると

  • フォワグラのソテーモリーユのソース
  • 仏産鴨のローストフォワグラ添え
  • 松坂豚のグリエ
  • シタビラメのグラチネ
  • 石川県輪島より大村さんの七面鳥 いろいろな部位のロースト
  • オマールのカダイフ包み揚げとみそのタルタル添え
  • 牛ヒレとフォアグラのロッシーニ

..etc
おおお。馴染みのある居酒屋手書きフォントに馴染みのないメニュー群。単語を拾えば実は高そうであろうお料理なのは、さすがの私にでもわかります。それが一番高くて1,280円、他も価格帯は400~800円。

真横にいるボスの鼻息が次第に荒くなるのを感じます。…あれも、…これも、そしてこれも…!メニューを前に完全に目が泳いでしまっている我々に店員さんが「お二人だと前菜2~3品にメイン1品でけっこうお腹いっぱいになりますよー」とアドバイス。

本当か?しかし、確かに他のお客に運ばれていく料理を見ると、けっこうお皿も料理もボリュームありそう…。

そんなこと言われてしまうと、いっそう真剣に選びます。ボスも目付きが変わり、「じゃあどれにする?」「それだとさっきのと食材かぶるよね?」「それ選ぶ理由は?」と完全に仕事モードの詰め寄り。私なりにいくつか浅い提案をはさみましたが、結果的にはボスにひと通り注文を決めてもらいました。

まずは「スパークリングワイン」

2,500円くらい

たぶん巷ではかなりいい値段のボトル。この店では原価に999円の上乗せのみの提供だとか。一応、野郎2人で乾杯。こんな時間からのアルコールは良心の呵責も相まって非常に美味しい。

期せずして「バゲット」登場

けっこうでかい

やんわらかくてふんわり。オリーブオイルもよくわかんないけど濃厚かつ複雑なスパイスが効いていて美味しい。もうこの時点でなんだかすごくありがたい気分!腹一杯にならないよう慎重にバケットを味わいながら、しばし料理を待つ。

カウンターのすぐ目の前が厨房なので、4~5人のシェフが動きまわる様子がよく見えます。調理音が聞こえ、湯気がもうもうあがり、様々な美味しそうな香りが客席に漂います。お店が狭い分、いろんな他の人のオーダーも聞こえてくれば、運ばれていく料理も目の前を過ぎ去る。でかいエビが運ばれていくのを男2人で目で追ってしまい、あれ頼んだほうがよかったかな…今度来たらあれ食べたいなあ…と、まさにお店の思うツボ。

そこへ運ばれてきた最初の一品はこちら。
「ニース風ラタトゥイユ」

380円也

きましたよボス!それでは早速一口…。
んまい!野菜やわらかい!ソースうまい!オリーブが入っているのかしら。さっぱりだけど濃厚。つけあわせの緑の葉っぱとの相性がまたやばい。

続いて「ズワイガニと帆立貝のタルタル」

680円也

カニてんこ盛り!ぎゅっと詰まってます。土台には、つぶつぶしている「なにか」。カニとつぶつぶにソースを絡めて食べる。ぬおー。タルタルうんめー。つぶつぶの食感も楽しいです。

次々きます。
「シタビラメのボンファム」

980円也

ボンファムってなんだ。庶民のボキャブラリーの限界で言うとクリーミーなグラタンのような感じ。グラタンの皮?を破ると中にはフワッフワの厚いトリュフのソースに、刻んだきのこやらなんやらが絡まっています。ほっくほくの舌平目とまぜまぜして一気に口に運びます。

うーまーいーーー。ちなみにこの焦げ目。こんなに奥ゆかしく豊かな焦げ目を食べたのは生涯初めてです。

料理が出る前は多少雑談を交わしてましたが、次々に料理が出てくると我々、完全に没頭。大の男ふたりが「うまいねえ」「おいしいねえ」と繰り返すばかり。

フレンチというと一品一品けっこう時間を置いて運ばれてくるイメージがありましたが、ここでは居酒屋と同じようなペースで運ばれてきます。が、けして急かされている感じではなく、様子を伺いつつ、良いタイミングで出してきてくれます。時には店員さんが「もう次を運んでもいいですか?」と聞いてくれますし、満席ではありますが一人ひとりのペースにはちゃんと気を配っている様子。空いたグラスもちゃんと注いでくれるし。

また、厨房のシェフらしき人が、忙しそうに動きながらもカウンター越しにお客さんと楽しそうに会話しているのも伺えます。これもあまりフレンチでは見かけない光景。

お店の雰囲気は巷の居酒屋っぽいのに、提供される料理はどれも凄まじく美味しく、しかしかなりの低価格帯。いろいろなところが、知ってるフレンチ(や、あまり知りませんが…)と違います。

この「俺のフレンチ」のビジネスモデル、さきほどのコラムにもありましたが、

  • 開始時間固定の2時間制を採ることで、通常のフレンチの0.6回転に対して3.5回転の回転率を実現
  • さらに通常のフレンチの倍の客席数を確保
  • そしてミシュラン星付きのスーパーシェフによる最高級料理の提供
  • 常識はずれの価格設定

さらに

  • そんなサービスだから、口コミやメディア露出で広宣費をかけずとも客足が途絶えることは無い

からこそ、売上も通常のフレンチの3倍を上げることができているらしいです。いやーすごいこと考える人もいるもんですね。

さて真打。
「牛フィレとフォアグラのロッシーニ」

1280円也

ステーキの上に同じくらいの大きさのフォアグラが!!

ナイフで割ったところ

まっぷたつに切ると中から肉汁やらなんやらが溢れだします。もちろん2段を重ねて豪快に口に運びます。
…。
…。
なんだこれは。もう言葉になりません。これ1280円!?もったいなく思いつつも早々に平らげ、この時点で我々、かなり満腹に近い状態に。いやー大満足。確かに一品一品ボリュームがありました。

が、甘党としては最後にデザートぐらいはいただきたく。
「実は俺も食べたかったブランマンジェ」

350円也

ブランマンジェがなにかわからんがとにかく俺も食べたい。真っ白い!ぷるっぷる!なめらか!…んまい…。ちなみにはせがわさんは
「クレームブリュレ」

350円也

来店から締めのデザートに至るまで、この革命的高級フレンチ、普通の人々の生活をより豊かにするサービス、お料理満載で、はせがわさんも私も大満足だったのでした。

最後に私が締めのエビスビールを頼んだりしたので、はせがわさんから「このタイミングでビールとは、すべてが台無し。社会人としての常識を疑う」と大顰蹙を買ったわけですが、まあそれはいいとして、トータルのお会計としてはこんな感じでした。

レシート

すごい!あれだけ飲み食いして一人4000円弱!ありえん!これはまた絶対に来たくなります。
ちなみにこの後、ガイアの夜明けで取り上げられて更に予約が殺到中とのことだとか…。

完全にお店のまわし者のようなレポートになってしまいましたが、みなさんも機会があれば是非、「俺のフレンチ」、食べに行ってみてください。