2012/09/07 16:27
こんにちは。広報・浴衣担当の河内です。
8月31日(金)に、第2回浴衣で出社dayを開催しました。
前回の「浴衣で出社」の様子をご紹介した記事のなかで予告した通り、滑り込みセーフで8月中に開催しました!
が、一般的に浴衣が着られるのは8月いっぱい。そのため開催第2回にして今年最後の開催となりました。
浴衣で出社するというのは新鮮でなんとなくそれだけでも楽しいのですが、みんなでオフィスで写真撮って終わりというのはちょっともったいなかったなという前回の反省もあり、今回は、前回の記事で妄想した通り浴衣にちなんだイベントも企画してみました。
それが、『デザイン会社のコーディネーターに教わる和のこと「いろは」』トークイベント。
コンセントにはかなり色々なタイプの仕事をしている人がいて、経験もさまざま!直接的に業務に関係ないようにみえるテーマであっても「先生」になりえる人がたくさんいるのも自慢です!今回は浴衣にちなんだテーマだったので、着付けのお免状も持っていて、プロジェクトでも和装のコーディネートなどをすることもある眞知子さんにスピーカーをお願いしました。
社内向けイベントにしては大それたタイトルに聞こえるかもしれませんが、実際には名前負けしない充実したコンテンツになりました。というのも、プロのヘアメイクさんやフォトグラファーの方もスピーカーとして参加してくださることになったから!
せっかくなので、一部社外の方もご招待しました。今日は、このイベントの様子をご紹介しましょう。
会場はamu。今回はカフェスタイルにテーブル・椅子を配置してフレンドリーな雰囲気に。軽食も準備したので食べながら飲みながらトークイベントを楽しめるようにしてみました。
最初に、そもそもなぜこのイベントをやろうと思ったのかといったことについて私から簡単にプレゼンテーションしました。
着付けを習ったことがなく馴染みのない人にとっては、浴衣でも着物でもちょっとしたことで悩むところがあったりします。例えば、そもそも着るためには何が必要かといったことから、どうやって着るのか、どんな時に着て良いのか、着る時に気をつけた方がいいことがあるのかないのか…etc。
和装に限ったことではありませんが、自分の知らない分野・経験が少ない分野については観点を持つのが難しく、それゆえ良し悪しの判断ができないということがあるように思います。自分にとっての常識がその分野で常識とは限らないため、大げさに言えばタブーを犯してしまうリスクがあるのではないかということと、逆に言えば、少しの観点を持っていればそうしたリスクは下げられるのではないかなと。
一から全部を学ぼうとするとハードルも高いかもしれませんが、知っている人にちょっとしたコツを教えてもらえたら、最初の学びのきっかけとしていいのではないかと…。
私のプレゼンテーションではさまざまな着物の写真を見せながら、全く知識がない人が分類する場合と観点を持っている人が分類する場合の違いについて簡単な例を紹介しながら、良し悪し判断のために観点を持つことが大事という話をし、今回のスピーカーである眞知子さんのお話への導入としました。
眞知子さんからはまず、これまでに経験してきた和装に関するプロジェクトを紹介していただきました。温泉や花火、和のリゾートを紹介する旅行雑誌の表紙の撮影などで着付けを担当したり、プロの着付け師がついているプロジェクトでのサポートをしたりしてきたそうです。
次に着物を着る時の注意点や着物を選ぶ時のポイントについても教えていただきました。まず、洋服との大きな違いについて。ウェストや胸などメリハリをつけて見せる洋服に対して和服では筒状に見せた方がきれいとされています。そのため着物を着る時にはタオルなどで補正して基礎を作ることが大事とのこと。
色合わせについてもコツを教えていただきました。帯の色を選ぶ時には着物の色の中の一色を取ったり、帯揚げや帯締めといった和装小物で全体の色を引き締めるといったテクニックも。帯締めは洋服でいうところのベルト。ポイントとしてアクセントカラーをさすこともできれば、帯が凝っているデザインの場合はあえて帯色と同化させることもできるそうです。
着物は季節によって着るものが変わります。7、8月は盛夏といって絽や紗といった透け感のある着物や浴衣。6、9月は単衣(ひとえ)と呼ばれる裏地のない一枚で仕立てた着物、それ以外の時期は裏地のついた袷(あわせ)と呼ばれる着物を着ます。また、着物は柄の出し方で呼び方や格が違います。
ルールが色々あるものの最低限押さえるべきところを押さえてそこを間違えなければ、工夫次第で色々遊べる楽しみがあるのが着物。今回のテーマだった浴衣について言えば、あくまで夏の普段着であるので、花火や街歩きはOKでも歌舞伎座で歌舞伎を見るのはNG。そうしたTPOを間違えなければ、ファッションとして楽しむものとして自分なりの個性を出してもステキなのでは、とのことでした。
次にプラスナイン所属のヘアメイク 久保りえさんから、30代からのヘアアレンジについてお話してもらいました。着物の時は襟足を見せた方が色っぽいし着物も引き立つとのことですが、でもいったいどうやって?
会場に来ていたKDDIウェブコミュニケーションズの山本良子さんにモデルになっていただき、どうやってヘアアレンジしたらいいか、久保さんに実演していただきました。
プロのヘアメイクの方の技術を盗もうと、会場のみんなも久保さんのまわりに集まって手元をじっくり観察。
「低めでお団子にすると年齢問わずモダンに見えて気品が出ます。」と久保さんからのアドバイス。ちょっとしたピンの使い方1つでも「へぇ、なるほどねー」と思うことばかり。あっという間に完成したアップヘアに会場からは拍手喝采、そして「可愛い!」「ステキ―!」の歓声も。
続いて有未ちゃんや康予さんにもモデルになってもらいました。
逆毛にしたり、ブロックをわけて髪の毛の流れを作ってあげたりすると、髪が長くなくてもこんなにステキにまとめ髪にできるんですね!
ちなみに、男性の髪型の場合、現在では和装と洋装でセットの仕方に違いがないそうで、ワックスを使ってクシャクシャっと自分好みにセットすればOKとのことでした。
和服の場合はとにかく、女性も男性も清潔感を意識するのが大事だそうですよ。
フォトグラファーの山本カオリさんには、着物を着た時にどんな風に立ったらきれいに写真を撮ってもらえるか、立ち方、ポージングについて教えていただきました。
これも百聞は一見にしかず。例を見せていただきました。
まず正面向きに立った写真とやや斜め向きの写真。モデルは、絽の夏きものを着たゆかりん。
後者の方が美しく見えますよね?
こんな風に立つには、やや内股で右足を左にやや引き、左足が前に出るようにします。その時左足の親指の内側はやや内股になるように。右足を少し後ろに引いているので重心は右後にかかっていますが、それを少し前に持ってきます。着物というのは左表に着るので、こんな風に立つと着物の柄がまっすぐにすーっと見えてきれいにみえるのだそうです。また、体がやや斜めになるので体が細くみえる効果も!
写真を撮られる時には、少し首をかしげるなどのちょっとした動きをつけると良いそう。着物自体がまっすぐなので体のちょっとした動きでも印象的になるんですって。
また実は武道や舞踏など日本古来の動き方も和装の立ち姿、歩き方の参考になるそうで、こうした動きを意識していると着物の着崩れ防止にもつながるそうです。
質疑の時間にサストコ編集長青木さんから「着物姿の女性を褒める時のポイントを知りたい」とエロ編らしい(?)リクエストがありました。
そんな時は、「帯の柄を引き立てるために同系色でまとめてるね」とか「草履の鼻緒と着物の色が揃ってるね」といったように色合わせや柄などを見て褒めるのが良いとのこと。
せっかくなので教わったことをもとに実演してもらいました!
浴衣にちなんで、業務とは直接的には関係のないテーマでイベントをやってみましたが、社内外の参加者からも、スピーカーとして参加してくださったヘアメイクの久保さんやフォトグラファーの山本さんからも、評判は上々でした。
デザイナーにとって、新しいことを知りたいと思う好奇心や、違いと類似に気づく観察力、物事の良し悪しを見分ける洞察力は大切。業務以外のことから学べることもきっと多いはず。知っているようであまり知らない分野について興味を持つきっかけを作ったり、直接関係ないようにみえるテーマのなかから業務に活かせるかもしれないエッセンスを発見したり、普段自分が一緒に働いている同僚から何か知恵を拝借してみたり…。社内勉強会とはまたちょっと違うアクティビティにも色んな可能性があるような気がします。
思った以上に、この「和のこといろはトークイベント」のアンコールや次回開催のリクエストが社内外から多かったので、またいつか開催できたらいいなと思います!