kenichi yokochi
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kenichi yokochi

「めんどくさい事は全部抜きにして、とにかく上手く撮れる方法をすぐ教えろ、三行以内で教えろ」

大概の人はそう考えているんじゃないかなと思います。

奇麗な写真を撮る方法が、沢山書かれている本というのは、いろいろ発行されていますし、Webサイトも沢山ありますが、とにかく項目数が多く、その目次を見ただけで、あきらめてしまう人も多いと思います。実際、知っていた方が良い事というのは沢山あるのですが、かといって、初めから全部知っておく必要は無いわけです、が、では、優先的にどこから学んでおくべきか、というのが、皆が知りたいことであると思います。

■この3つを中心に学ぶことで、学習の効率化を目指す

・構図
・光の扱い
・絞りとシャッター速度の効果

おおざっぱに分けると、学ばなければならないことは、この3つになってくると思います。もちろん、この3項目内でも細分化されるわけですが、学習の枠としてこの3つがある、と思っておけば学習計画は立てやすくなるほか、それぞれの項目内でも、優先非優先がありますので、優先される内容のみ、知ってしまえば、かなり早く学習が終了します。

■構図に関して、優先的に知っておきたい、たった1つのこと

・背景の扱い方

前回の記事で、APS-Cの一眼レフを買ってみましょうと提案しましたが、この手の一眼レフは、背景をぼかして、主となる被写体を浮き上がらせるような撮り方が簡単に出来ます。一眼レフを買ってすぐやってみたい表現も、そういう表現になってくると思います。

全体にピントが合っている、パンフォーカス写真の構図は、乱暴に言うならば、絵画と同じで、絵画を描くときのノウハウが通用します。なので、特に美術系学校に通っていたり卒業した人は、特に新しく学ぶことは、あまりありません。

しかし、一眼レフ特有の「背景がボケた写真」は、絵画では、技術的には可能なものの、あまり見かけない表現で、そのため、知識技術の流用がきかないため、写真のためにちょっとした新しい知識が必要になってきます。しかし、ポイントを押さえてしまえば、なんだ、それだけか、というような話です。

写真1:背景ありのモデル撮影のシミュレーション

写真1は、なんだかダメな例です。背景に柵が写っていて、うるさいですね。デッサン人形を使っているので、ダメな感じがよくわかると思います。

これが美人女性モデルだったりすると、そちらに目が奪われて、背景のダメな感じに気が回らないのです。

写真SNSなんかで流れてくる写真でも、メイン被写体が花であったり、美人女性や、コスプレキャラクターであったり、車であったりして、メイン被写体は奇麗に撮れているものの、背景のことをすっかり忘れてる、ってのはよく見かけます。趣味レベルであれば、自分が納得してればそれでいいのですが、仕事として撮って、本やWebに掲載するのであれば、背景にも気を使いたいところです。

写真2:背景をもうすこしぼかしてみた

写真1(左)と、背景をぼかした写真2(右)を並べて比較

とりあえず同じ構図のまま、後ろをぼかしてみると、いくらか背景のうるささは緩和されるものの、まだいまいちですね。

写真3:立ち位置をかえてみた

立ち位置を変えました。背景に川の風景、紅葉をちらっと入れてみました。また、上げている手のあたりに、光のきらきらした玉ボケが入るようにしてみました。それから、奥行きがある構図にしてみました。このほうがいいですよね。

写真4:背景をさらにぼかしてみた

写真3(左)と、背景をぼかした写真4(右)を並べて比較

背景をさらにボカしてみました。モデルのデッサン人形が、さらに引き立っています。ただし、背景に何が写っているかは、判別しにくくなります。これは前の写真と比べてどちらが良い悪いではなく、表現したい内容の問題です。どこで撮ったか、というのも見せたい場合は、うしろはあまりボケていないほうがいいですし、どこで撮ったかが、あまり重要ではない場合、うしろをしっかりボカしてしまって良いわけです。

写真5:背景単体の写真

これが背景だけの写真です。検討過程でこれだけで撮ってみて、じっくり考えてみるのも良いかと思います。

写真3、4のような構図を考える過程で、

・モデルは画面のどの位置に配置し、どのようなポーズをとらせるか。
・背景はどのような構図とするか。

というのを個別に考えた上で、そのふたつをどのように組み合わせるか、という検討をしています。背景はボケてしまうから関係ないでしょ、と思わないようにすることが重要です。

写真6:背景にお店がある

これも同じような検討過程を経て撮った写真です。左奥にお店があるのですが、これがいくらか見える程度のボカシ具合で撮っています。また、背景を右に向かって奥行きがある構図としています。モデルのデッサン人形は、左の、あいている空間のほうを見るような格好にしています。茶色のパイプがなければ、もっと良かったかもしれません。

■要点

つまり、背景と、メイン被写体を別レイヤーとして考え、個別に検討してから撮るとよい、ということです。これ、知っているだけで、ずっと良い写真を撮れますよ。試してみてください。

以上、唐揚げ大好きアートディレクターの横地でした。

 

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⇒第二回:美人に目を奪われて、大事なこと忘れていませんか?
第三回:光を扱う力が…欲しいか?
第四回:時よ止まれ!「ザ・ワールド」!!
第五回:ボケにツッコんで学習する
第六回:ビューティフル・ホワイトニング