kenichi yokochi
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kenichi yokochi

第二回で書いた、学習の効率化を目指す項目の3つめ、「絞りとシャッター速度の効果」について説明します。今回もシンプルに!

■そもそもカメラの絞りって何? シャッター速度って何?

絞りは、肉眼の構造における虹彩(こうさい)と、おなじようなものです。まぶしいと、虹彩の穴が小さくなりますよね? これは視神経に入る光の量を調整しているわけですが、カメラの「絞り」も、同じように撮像素子(フィルム)に入る光の量を調整しています。

シャッター速度とは、「シャッター」が1回開閉する時間の長さを指しています。単位は秒ですが、画面表示などでは、1/4000秒などの「1/」と「秒」を省略し、単に「4000」と表示したりすることがあります。シャッターは撮像素子(フィルム)のすぐ前にあるカーテン状のもので、これもまた、入る光の量を調整しています。

絞りは、穴の面積で、シャッターは、開いている時間で、撮像素子にあたる光の量を調整しているのですが……

■こまけえこたあいいんだよ。理屈より現象を理解する

撮れる写真がどうなるか、物理的な理論で理解するのは相当難しいので、「どう操作したら、どのように撮れるか」を知るほうがいいです。
この「絞り」「シャッター速度」に対して、カメラのモードとして、

  • 絞り優先モード…絞りの数値を任意に固定するモード
  • シャッター速度優先モード…シャッター速度の数値を任意に固定するモード

というものが存在します。

まずは、これらの使い分けを超!簡単に説明します。まずはこれだけ。

もちろん、カメラや写真のことが十分に分かってくると、こんなシンプルな話じゃないと思い始めるかもしれませんが、そういうレベルに達するまでの間は、上の図を盲目的に信じておいて問題有りません。だいたいこれで、どうにかなってしまいます。

■まずはシャッター速度優先モードを解説

「絞り優先モード」「シャッター速度優先モード」はそれぞれ使い方が違うので、今回は「シャッター速度優先モード」を解説します。なお、設定方法そのものは、カメラの説明書等を参照してください。

■動き回る被写体を、どういう感じに撮りたいかを調整できるモード

先日ソチオリンピックがありましたが、勿論、スポーツ競技を撮るなら「シャッター速度優先モード」になりますね。素早く動く被写体に対しては、以下の二種類の表現方法のどちらかにしたい、と考えるでしょう。

(1)動きをピタっと止めて、その瞬間を捉えたい。
(2)いかにも動いている、という表現にしたい(静止画だけど動画のように感じさせたい)。

また、上記(1)(2)は、スイッチONOFFのような二択の関係ではなく、無段階にその中間の表現が存在します。これを好きに調整できるのが「シャッター速度優先モード」です。

■例:動物園にて

良く動き回るものの筆頭として動物がありますね。シャッター速度遅め・シャッター速度はやめ、の二種類を見ていきましょう。

サイがウロウロ歩き回っているところを撮りました。
上はシャッター速度1/1000秒です。下はシャッター速度1/30秒。
1/30秒っていうと、凄く一瞬のように思いますが、歩き回るサイを止めることすらできないという事実に驚きます。
しかし、1/30秒のほうがスピード感があります。細部をじっくり観察できるのは1/1000秒ですが、動き回っていた事実を伝えることが出来るのは、1/30秒です。

ヘビクイワシ、という鳥です。これも檻のなかをウロウロ。やはり、1/30秒はブレています。

ゾウが草を食べています。ちっとも素速く動いてないと思いますが、1/30秒はモシャモシャしている、くちの周辺がブレています。食事中だという事実を伝えたければ、1/30のほうがよさそうです。

■暗いところで撮るときにはISO感度を上げるが…

暗いところでは光がたりないため、シャッター速度優先で、速度を上げると、真っ暗な写真が撮れてしまうこともあります。これを回避するには、ISO感度を上げますが、大きく上げるとノイズが目立つので注意が必要です。

※拡大トリミング写真です。
暗いケージのなかの鳥、シャッター速度1/1000秒、ISO6400の写真は、ノイズで細部がよく見えなくなっています。ただし、実使用サイズにリサイズをしたとき(もしくはプリントしたとき)に、ノイズが気にならないのであれば、これはこれで十分使用可能な写真になります。
1/30秒、ISO360の写真はノイズは非常に少なくなっていますが、止まっているところを撮った割には、少々のブレが見られます。また、暗いとオートフォーカス精度が落ちやすいので、ピントが合っていないかもしれません。

  • ISO感度を上げる…ノイズがふえて画質低下
  • ISO感度を下げる…シャッター速度が落ちてブレの危険性

暗いところでは、この二つのリスクとの戦いになります。

■要点

例のように、シャッター速度のはやい遅いで、表現を変えることができますが、まずは「ぎりぎり遅くする」か、「すごく速くする」の二択で撮り、徐々に細部にこだわりたくなってきたら、中間域も試す、というのでよいと思います。
動き回るものを撮るときは、シャッター速度を意図的に決める! そうすればずっと良い写真を撮れますよ。試してみてください。

<付記>道具と機能をつかいこなして、自分の意図したシャッター速度を確保する

・NDフィルタ

要はカメラ用のサングラスなのですが、雪山で晴天の屋外、真夏の晴天の正午の屋外など、明るすぎてISOを下げきっても、なおシャッター速度を遅くできない、ということが稀にあります(絞りがF16までのレンズとか)。そういうときにレンズの前に装着すると、強制的にレンズに入る光の量を減らせるため、遅いシャッター速度に出来ます。ND4 ND8 ND16…と数字が増えるごとに、遮光効果が高くなっていきます。

・ISOオートと手ブレ補正

暗いところでのシャッター速度優先モードは、常にISO感度の調整が必要になってきますが、「必要なときだけISOが上がって欲しい」という要望に対しては、近年のデジタル一眼には「ISOオート」という機能がありますので、取扱説明書を参照してください。
そして、望遠でシャッター速度を遅くしたい場合、手ブレしてしまうリスクが、常につきまといます。被写体がブレるぶんには、スピード感が出て良いですが、手ブレすると、意図しない角度に向かってブレるため、表現としては悪くなってしまいます。手ブレ補正がついているカメラ・レンズであれば常に手ブレ補正はONにしておきましょう。

以上、唐揚げ大好き!アートディレクターの横地でした。
次回は絞り優先モードについて、またまたシンプルに紹介する予定です。

 

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