kenichi yokochi
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kenichi yokochi

第四回の続きです!「絞り優先モード」の解説です。

■絞り優先モード…絞りの数値を任意に固定するモード

絞りってどれのこと? という方は前回の記事の写真を参照してください。
絞りに関しては、特に一眼レフカメラに興味を持って購入した人は、「絞りを開くと背景がボケる」というのは知っていると思います。
コンパクトカメラでは、なかなか背景がボケないので、背景をボカす目的で一眼を購入した人も居ると思います。
ちなみに「背景がボケる」という言い方をされることが多いですが、正確には「ピントが合っていないところがボケる」なので、被写体より前景側もボケます。この制御においては、

(1)背景/前景をボカして被写体だけにピントを合わせたい。
(2)背景/前景までしっかりピントが合っている写真をとりたい。

というように表現を使い分けたいと考えるでしょう、また、シャッター速度のときと同じく、上記(1)(2)は、スイッチONOFFのような二択の関係ではなく、無段階にその中間の表現が存在します。これを好きに調整できるのが「絞り優先モード」です。

■こまけえこたあいいんだよ。理屈より現象を理解する

ネットで検索すると、いろいろ難しい光学的な理論が出てくることがありますが、理解するのは相当難しい&知ってたところで撮れる写真に影響は無いので、絞り優先モードについても「どう操作したら、どのように撮れるか」を知るほうがいいです。操作方法としては非常にカンタンで、

  • 絞りの値を小さくする(絞りを開く):ピントが合っていない所が強くボケる
  • 絞りの値を大きくする(絞りを絞る):ピントが合っていない所が弱くボケる

ホント、これだけです。

■ボケ量の調整は液晶で確認しながら

絞り優先モードを使っているときは、シャッター速度優先モードと違い、素早く動くものの瞬間を狙うような撮り方をしていない時だと思います。
撮る前に十分な準備時間があったり、被写体にじっくり向き合ったりできる状態であることが多いと思いますので、ライブビューやテスト撮影で確認しながら、必要なボケ量にあわせて絞りを調整します。しかし、仕事の写真の場合、撮影後の意図変更に合わせられるよう、背景をボカしている写真と、ボカしが弱い写真の二種類を撮影しておくと良いでしょう。デジタルならばいくら沢山撮ってもフィルム代がかからないのですから。

液晶で確認しながら

■実は…..一眼は背景/前景までしっかりピントが合っている写真を撮るのは苦手

一眼のカメラ(特にAPS-C・35mmフルサイズ・中判)は、背景も前景も被写体にも、全部にしっかりピントがあっているような写真を撮るのは苦手で、特に遠景ではなくて、近距離に被写体がある場合は絞りを絞っても、コンパクトカメラのようなボケが無い写り方になりにくいです。近距離撮影において、なるべくボカしたくない場合は、あえてコンパクトカメラを選ぶほうが良いです。

■ボケを何に使う?

背景や前景をぼかすことで被写体を浮かび上がらせる、というのは、用法のひとつでしかなく、ボケを何の意図として使うかは、工夫しだいです。といっても経験値が無いうちは、ボケをどう使うか、という用法の知識がないと思いますので、その他の例を幾つかあげておきます。

例1)背景を片付ける

いちばん良く使う用法です。背景にごちゃごちゃした物があるけれど、構図を変更して回避できない場合など、背景をボカすことで、ある程度ごちゃごちゃした感じを緩和し、片付いている感じを出すことが出来、被写体を浮かび上がらせることが出来ます。

絞り値f13とf3の例です。f13だと背景側の枝もかなり見えているので、主体がどの花であるか良くわかりません。f3だと主体の花がどれであるか分かりやすくなっていますね。

★片付け具合に注意

絞り値f13とf3の例ですが、これらはどちらが良いとも悪いとも言えない例です。f3のほうが花が際立ちますが、f13のほうが周囲の状況が分かり意図を感じます。なんでもかんでもボカしすぎないように注意しましょう。また、第二回で説明した通り、背景をある程度見せる場合は、背景の構図に気を使いましょう。

例2)背景色として使う

ボケる場所に色が付いている何かを配置することによって、ボカして形状は分からなくしながら、色の効果だけ使うという用法です。屋外では背景に融通がきかないので、これが出来るかどうかは場所によりますが、スタジオ撮影では前景や背景に置くものを調整することによって、さまざまな色を使うことが出来るでしょう。

f3.2

f4.5

例3)奥行き感を演出する

ピントがあっていない距離は、背景も前景もボケますが、写真の構図内の中間的な距離にピント位置をおき、前景も背景も大きくボケている構図にすると、奥行き感がある立体的な写真になります。
また、「そもそも全体にピントが合っていたとしても奥行きを感じる構図」に対して、一部を軽くボカしてやると、これも奥行き感がある写真になります。

f4

f1.2

例4)光の玉

イルミネーションなどの点光源が、ピントがあっていないボケのところに入ると、丸や多角形の光の玉として現れます。夜だけでなく、木陰で逆光で撮ったりしてもこれを出すことが出来ます。被写体になるものにピントを合わせながら、周辺のボケの部分にこれを散りばめると面白い効果が得られます。スタジオ撮影であれば小型のLEDライトやクリスマス飾り等を使って意図的に配置することが可能です。

f1.8

例5)金網消し

これは実用的用法の例ですが、運動場の金網や、動物園の柵を目立たなくしたいとき、金網や柵になるべく近づいたうえで、絞りを開いて向こう側のものを撮ると、金網や柵はボケるため、結果的に目立たなくなり、向こう側のものがはっきり写るようになります。作例は、動物園で、金網をボカして消しています。

f5.6(望遠レンズにて)

■要点

ボケの調整は簡単で、絞り値を増やしたり減らしたりするだけです。しかし、ただなんとなくボカしてしまいがち。写真が伝えたいことを考え、ボケ量を「程よく」調整する! そうすればずっと良い写真を撮れますよ。試してみてください。

<付記>しっかりボケてくれるレンズって、どのレンズ?

・開放F値がなるべく小さいレンズ

Ai Nikkor 50/1.2s

写真は開放F値1.2のレンズです。ちなみに数字が小さいと値段が高くなりますので、オサイフと相談です。普通はf1.8の単焦点(ズームがない)でいいと思います。

・マクロ(マイクロ)レンズ

AF-S Micro NIKKOR 60mm/f2.8G ED

近接撮影を行うと、ピントが合う幅が狭くなります。結果、前景も背景も強くボケます。しかし、近接しないと普通のレンズと同じですのでご注意。

・望遠レンズ

AF-S NIKKOR 70-200/f4G ED

望遠レンズも、ボケが強くなるレンズです。但し、近接撮影能力があまり高くないものが多く、1メートル程度離れないとピントが合わないので、スタジオでは構図の調整が難しくなる場合があります。

以上、唐揚げ大好きアートディレクターの横地でした。

 

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第二回:美人に目を奪われて、大事なこと忘れていませんか?
第三回:光を扱う力が…欲しいか?
第四回:時よ止まれ!「ザ・ワールド」!!
⇒第五回:ボケにツッコんで学習する
第六回:ビューティフル・ホワイトニング