2014/01/21 16:53
第三回は、前回の記事で書いた、学習の効率化を目指す項目のふたつめ、「光の扱い」について説明します。今回もシンプルに!
対象物にあたる光と、それから出来る影、色の変化などによって、印象が変わります。そしてどうして印象を変えるか?その写真で伝えたいことを、より良く伝えたり、撮影者の撮影意図をより強調したりするためですね。
光の扱いについては、特にストロボライティングの話を聞いたことがある人は、難しいものと考えてしまうかもしれませんが、プロカメラマンとして独立したい、のような欲求が無いのであれば、そこまで深く学ぶ必要は無いと思います。もちろん、分かればわかるほど、細かくこだわりたくなる、というのが実際のところですが、学習のはじめから「こだわった方法論」を学ぶ必要は無いと思います。
スタジオで、ストロボライティングということになると、やはりどうしても「どういう光量で」「壁や天井の反射はどうする」等、機材をうまく使った技術になっていくので、難易度が上がります。
なので、むしろあまり制御が出来ない「晴天の太陽光下」から考えるほうが、「制御できないからアキラメがつく」という状況になり、結果、気をつけなければならない事は、基本事項に限られてくる、ということになってきます。
その基本事項とは…撮りたい対象物に光が当たる「方向」です。
まず、これだけで考えてみましょう。非常にシンプルな3種類でしかないのですが、普段「なんとなく」写真を撮っていると、あまり気にしないものです。それを気にするようにする…たったそれだけで変わります。
お昼頃の中目黒の町並みです。建物に均等に光があたって、町並みが良く見えます。区役所のサイトに載っていそうな写真で、情緒的な意図は感じられませんが、町並み自体は見やすい写真です。
夕方ごろおなじ場所から撮影しています。建物に横から光があたり、明るい壁と、暗い壁のコントラストが強くつき、立体感が強調されています。反面、暗い場所は見えにくくなります。太陽光が黄色い故に全体的に黄色っぽい写真となり、情緒的な写真になります。
これは早朝に同じ場所から撮影しています、太陽が画面内に入り、逆光となり、建物の壁面は暗くなり、屋根や壁のごく一部だけが強く光を反射しています。空と建物のコントラストは非常に強くなり、レンズ由来のフレアやゴーストが入り、ドラマチックな写真になります。
縮小して3枚並べてみました。同じ場所からの3枚ですが、こんなに印象が違います。
もうすこし小さい対象物で考えてみましょう。
上の例では、対象物が広範囲が故に、光の角度が違う写真を撮るためには、撮影時間を変えるという方法になってしまいますが、対象物が小さければ、自分が動き回れば光の角度を変えられます。
世田谷公園の噴水です。太陽の位置は、撮影者の後ろにあり、つまり噴水に対しては、おおむね正面から光が当たっています。噴水の形状が分かりやすく、説明用によさそうな見栄えです。
ちょっとまわりこんで、噴水に対して横から光が当たっている写真です。噴水の明るい面と暗い面がはっきりし、立体的な構造のものであることが良く分かる写真です。
噴水の後ろから光が当たっている、逆光の写真です。噴水の表面は暗くなり、表面の模様などは見えにくくなりますが、水が白く光って写ったり、レンズ由来のフレアやゴーストが入り、ドラマチックな写真になります。
同じ時間に、噴水の周りをまわりながら撮った3枚ですが、かなり印象や伝わる情報が違いますよね。噴水前で待ち合わせ、というときに相手に送る写真は1枚目のほうがよさそうですし、噴水が立体的な石の構造物であることを説明したいなら2枚目、自分のブログに日記として掲載するのは3枚目かもしれません。
羽根の柔らかさを感じやすいのは、前からの光でしょうか。横から光が当たっていると、太陽熱の暖かさでリラックスしているようにも見えます。光がうしろから当たる逆光だと、鳥の姿は見づらくなり、逆に、水面の面白さが目立っている感じがあります。
こちらは前から/後ろからの2枚だけですが、前から光が当たっている写真は平坦な印象を受けます。植物の写真は、前からの光で撮ると、図鑑的になります。光がうしろから当たる逆光だと、葉の立体感と、色が強調されます。
まずはとにかく、前から・横から・後ろから、を意識して光の角度を考えれば良いのです。もちろん、慣れてくれば、徐々にもっと細かく角度を考えていけばよいのです。
これ、知っているだけで、ずっと良い写真を撮れますよ。試してみてください。
以上、正月も唐揚げ!アートディレクターの横地でした。
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⇒第三回:光を扱う力が…欲しいか?
⇒第四回:時よ止まれ!「ザ・ワールド」!!
⇒第五回:ボケにツッコんで学習する
⇒第六回:ビューティフル・ホワイトニング