yuichi shuno
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yuichi shuno

こんにちは、サービスデザインチームの秀野です。

実は、最近コンセントで密かに行われているイベント、その名も…

「Service Design Salon」

を今日は紹介したいと思います。

「Service Design Salon」とは、コンセントのサービスデザインチームが有志で開催している勉強会です。社内勉強会だけど外部の方の参加もOK! 毎回テーマを決め、ゲストをお招きし、ざっくばらんにサービスデザインを中心に広くデザインについてディスカッションしています。

今回は「その存在を皆さんに知ってもらいたい!」(あわよくば、是非ご参加を!)という想いで直近に開催された2回分をレポートします!

それでは参りましょう、2本続けてどうぞ。

 

■「2020年のUX」ってどんなUX?

HCD-Netとの共同開催のこの回は「2020年のUX」というテーマでパネルディスカッションを行いました。

パネリストは、
山崎和彦 先生(千葉工業大学 教授 / HCD-Net 理事)、
山本郁也 さん(BEENOS 戦略ディレクター / デザインフェロー)、
長谷川さん(コンセント 代表取締役 / HCD-Net 理事)の御三方。
東京五輪の開催される2020年、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向かう方向は——。

山本さんが以前HCD-Net サロンでお話された「UXと組織のデザイン」というテーマをきっかけに、「組織デザイン」という話題でディスカッションは始まりました。

和やかな雰囲気でディスカッションスタート

「UXと組織デザイン」について語る山本さん

自社の製品を通じて顧客に魅力的な体験を提供する旧来のUXデザインを「(組織の)外からのUXデザイン」と定義するならば、いかに組織のしくみをデザインし、それを実現していくかというこれからのUXデザインである「(組織の)中からのUXデザイン」にも目を向けるべきだという話に。

お客さんに喜んでもらえるようなモノをつくりたいと、組織に属する人すべてが思っているはずですよね。それなのに、なぜ上手くいかないのでしょうか?

その原因、対策についてさまざまな議論がなされました。考えられる要因としては、
・組織内でのビジョンの共有不足
・部署間での対立
・組織の柔軟性の欠如
などなど。すべてに触れると大変長ーーーーーくなってしまうので割愛しますが (参加者のみの特典ということでご容赦を)、 大変ためになるお話が聞けました!

大学で教鞭を執る山崎先生は、研究室での取り組みを紹介してくださいました。
その中で、某企業の従業員と顧客との交わりをジャーニーマップにまとめた手法が、組織デザインにも活かせるのではないかとの提言も。
いろいろな企業の組織デザインのパターンや方法をまとめて、日本企業のヒントになるようなものをつくりたいとのお話が印象的でした。

山崎先生は研究室での取り組みを紹介

「“グッズ・ドミナント・ロジック”から“サービス・ドミナント・ロジック”へ、モノを売ることから継続的にサービスを提供することへとビジネスの転換を図る中で、そのビジョンをいかに組織内に浸透させるか、部署間でいかにコミュニケーションをとり合意形成するか、サービスデザインの中でも組織デザインの視点がますます求められてくる」と長谷川さんはその重要性を説きました。

いかに“サービス・ドミナント・ロジック”への転換を図るべきかを語る長谷川さん

議論は組織デザインをいかにプロトタイピングしていくかという話で盛り上がり、締めくくられました。
コンセントも「コンセント β」というベータ版の組織をつくって、組織デザインのプロトタイピングを行っていこう、というアイデアも!
一体どうなるんでしょう、コンセント!? 今後の動きにご期待ください。

 

■デンマークに学ぶ!ペイメント・サービス

この回は、デンマークの大学でサービスデザインについて学んでいるエスベンさんに、デンマークの銀行(Danske Bank)の事例を紹介してもらいました。また、某ネット金融機関に勤め、使いやすい金融サービスを日々考えているKさんにもゲストとしてお越しいただきました。
そもそも今回のテーマは、エスベンさんとKさんとの間で「デンマークの銀行アプリがすごい!」と盛り上がったことがきっかけに決まったもの。

そしてこの日はなんとエスベンさん、Google Hangoutsでデンマークから国境を越えて参戦です。

事例紹介するエスベンさん。日本語も堪能です

話の中で紹介された Danske Bank のタブレットアプリは、利用明細の閲覧や振込み、株・国債の売買等、なんでもできてしまうオールインワンのマネジメントアプリ。Web版もタブレットアプリとUIが統一されているのでストレスがないんだとか。国から付与されている国民IDで認証を行うため、デンマーク国民ではない僕たちが見る機会はなかなかないわけですが今回は特別にエスベンのアカウントで見せてもらいました。

Danske Bankのタブレットアプリの紹介(チラッ)

そして、驚きだったのが MobilePay というペイメント・サービス。
スマートフォンを利用して決済を行うのですが、デビットカードの進化系とでも言うべきでしょうか。銀行口座から手軽に直接決済を行うことができます。

スマホで簡単に決済ができるサービス。何が凄いかというと…

口座番号でなく、電話番号から決済相手を検索、登録できたり…個人間でのお金のやり取りにも活用でき、割り勘も簡単にできるのだとか。

去年の9月頃にリリースされたこのサービス、既に広く普及しており、エスベンさんも現金で買い物をする機会がほとんどなくなったのだそうです。むしろ、MobilePay かクレジットカードで買い物できないお店では買い物しないという人が現れるほどだそう。日本でいうところの電子マネーの導入・普及をすっ飛ばしている印象で、もはや NFC(近距離無線通信)は不要、といっていたのもすごい。

どちらもデンマークのベストアプリに選ばれている実力派。これらのサービスを銀行自身が提供しているというのだから驚きです。

会の終盤ではデンマークの暮らしにまで話が膨らみました。一番の驚きは、デンマークでは公的な文書が電子化されていて、なんと離婚の手続きもオンラインでできてしまうのだとか……!

銀行のサービスも公的なさまざまなサービスも、しっかりとしたプラットフォームが整備されなければ実現できません。それを実現しているデンマーク、恐るべしです。


いかがでしたか?「Service Design Salon」の一部の内容を紹介させていただきました。
「Service Design Salon」で一緒にデザインについていろいろ考えてみませんか?

直近では、12月2日(火)に第4回を開催、エスベンさんに、市民参加型でプロジェクトを実践しているコペンハーゲン市役所の事例をご紹介いただきます。
ご興味をもたれた方、参加してみたい!と思っていただいた方は sd-salon★concentinc.jp までご連絡ください(メールをいただく際は「★」を「@」に変えてください)。
お待ちしています。

 


【関連リンク】
Service Design Salon vol.4 レポート