kenichi yokochi
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kenichi yokochi

実は前回までで、第二回で書いた大事な3項目

について最優先される大事なことを既に書いています。みてね!

それぞれ良い写真を撮るために大事なことを書いていますが、デジタルカメラが一般的になってから、カメラはコンピューターを搭載したデジタルガジェットとなり、そのために、デジタルカメラとしての機能をより良く扱うため、知っておいたほうが良いこと、というのも出てきました。
その筆頭は、ホワイトバランス調整機能ではないかと思います。横地も最初のころは、ホワイトバランスをどうしておくのが良いか、さっぱり分かりませんでした。ちなみに上記3つの中では「光の扱い」に入ります。

■目の前のそれは本当に白?

人間の目と認知のシステムいうのは、実によくできていて、さまざまなものをリアルタイムに、明るさ補正や色補正をしながら、人間の意識に画像を送り込んでいます。

たとえば目の前に有るパソコンの画面ですが、白色の背景に黒い文字が書かれているように見えていると思います。ですが、このように、

紙と液晶が並んだ写真

液晶モニタに白い紙を並べてみる

画面に紙を並べてみましょう。上の写真の中の色を見るのでなくて、実際にやってみてください。iphoneとかの液晶でもいいです。(ちなみにキャリブレーションツールを使って色調整してある液晶だとダメかもしれません。)

蛍光灯の下か、窓際か、などで変わると思いますが、

  • 紙のほうが黄色っぽく見える。
  • 画面のほうが青っぽく見える。
  • なんかどっちも白に見えなくなってきた。助けて。

のように感じるのではないでしょうか、しかし、画面を単体で見ているとき、もしくは、紙を単体で見ている時、自分自身は、それを、「白である」と認識していると思います。

これは人間がその色を認識する際に、いつのまにやら認識に補正かけてるっていうことです。

■カメラの、ホワイトバランス調整機能とは

その「いつのまにやら認識に補正かけてる」をシミュレートする機能で、いまカメラを向けているその状況において、白がきちんとした白として、データ上に表現されるよう、調整をする機能です。ホワイトが、バランスよくなる機能です。

画面の色を全体的に評価してコンピューターが計算し、白が白であるように調整するのが「オートホワイトバランス」、そのほか、晴天の日の屋外で白が白であるように調整するのが「ホワイトバランス晴天」、同じように曇り用の「曇天」、などの設定があります。特にこだわりも知識もなければオートホワイトバランスで撮ってると思います。

ホワイトバランスを晴天に設定

ホワイトバランス晴天になっている画面

■人間の意志を直接的にカメラに伝える

「オートホワイトバランス」がどうも自分の目で見た色と合ってない気がするとか、晴天と曇天の中間はどうすればいいの、とかいう時、カメラに「この色が白ですからね、そのように写るように調整しなさい」と具体的に指定することができます。それがプリセットホワイトバランス機能です。

※この機能はコンパクトカメラや初心者向けを売りにしているカメラには無い場合があります。また、機能の呼び方が違う場合があります。

ホワイトバランスプリセットマニュアルの画面

カメラ任せにしないプリセットホワイトバランス指定

■こまけえこたぁいいんだよ。とにかくやってみよう

まずは結果が大事です。実際にプリセットホワイトバランスで撮ってみます。

長谷川さんの本

ちょっと黄色く写ってます。これを直します。

 

1.白い紙を用意します。

白い紙

コピー用紙でOK

2.これから撮影を行う場所で、実際に撮影に使う光源下で、カメラの機能に従ってその白い紙を撮ります。その白い紙が白に見えるような、ホワイトバランスが設定されます。

ホワイトバランスが入力された画面

Nikon D600の場合、設定されるとGOODと出ます。

3.そのホワイトバランスのまま、目的の被写体を撮影します。

ステマじゃないよってば

表紙がちゃんと白くなりました。ついでに黄緑の部分も直ってます。

※詳細な操作方法は、カメラの取扱説明書を御覧ください。

■ところで、どうして「ホワイト」を基準に考えてるの?

光の三原色って覚えてます?  白は、加法混合でRGB三色が足し算されて出る色ですね。R255 G255 B255というように、RGB共に同じ量で掛け合わされると白になります。

加法混合の図1

真ん中が白になってますよね。

デジタルカメラのJPEG(TIFF)データ表現上での白というのも、同じく光の三原色RGBの三色が足し算されて発生している色です。つまり白がちゃんと白として発色しているとき、RGBの三色が同等の発色をしているということになります。そうではない、白であるべきものがちゃんと白として見えていないとき、RGBのどれかの色(もしくは複合している)が、バランスを失ってるってことになります。そして、RGBのバランスがおかしい、ということは、白以外の色もズレてしまっているということです。

加法混合の図2

白がちょっと緑被っているとき

RGBのバランスを良い感じに整え、白をちゃんと白に見えるように調整するための機能がホワイトバランスです。そして白が調整されるということは、白ではない色も連鎖的に調整されるということですね。

■黄カブリとる・青カブリとる…の色ズレの正体はホワイトバランスのズレ

エディトリアルデザイナーの人は、色校正紙に「青カブリとる」とか書いたことないですか? アレですアレ!! 写真全体がなんか青っぽい(もしくは黄色っぽいなど)とき、そういう修正赤字いれますよね。あれはホワイトバランスのズレです。白いものが被写体として写ってなくても、関係ありません。ところで、画面上に白いものがないのに、カメラの「オートホワイトバランス」機能でホワイトバランスの自動調整が働くのは、カメラ内のコンピューターの複雑な計算によるもので、また、計算のための確定的な公式があるわけではなく、カメラ毎に・メーカー毎に計算に癖や特徴があり、まったく同じ場所で同じ光源下でも、オートホワイトバランスを使って違うカメラで撮ると、すこし色が違う写真が撮れたりします。

■色温度ケルビンの話

ホワイトバランスは、数値指定も出来るのですが、数値指定する場合、単位が「ケルビン」になっています。

色温度設定

単位がK(ケルビン)になっています

また、プリセットやオート等でも、撮ったあと現像ソフト等でホワイトバランスの項目を見ると、「ケルビン」の数字で見ることが出来る場合があります。

これは、被写体の色が「光源の色」によって左右されている、という状態を前提で考えているからです。電気屋さんへ行って電球のパッケージをみると、電球の色がケルビンで書かれていたりします。

ケルビンの色分布

数字が小さいと赤、大きいと青に近づきます

被写体が太陽、電球、炎などに照らされているとき、それらの光源の色ってどのくらい赤っぽい/青っぽい色か、というのをケルビンという単位で指定しようということです。そして光源の色によってズレたぶんを補正してあげれば、ズレのない、プラスマイナスゼロの色が得られる、という考え方にもとづいてホワイトバランス補正が行われるということです。なので、たとえばホワイトバランスを2000Kに指定した場合、赤色を打ち消す方向に補正が行われます。

■場合によっては、調整しないほうがいい場合も…

たとえば黄色く光る電球の下で、プリセットホワイトバランスでホワイトバランス調整をすると、電球の黄色い光は打ち消され、白い電球に照らされたような色に補正されてしまいます。

また、緑が沢山ある木陰で調整すると、木の葉から透過して出てくる緑色の光がうち消されて、白い光が当たっているような写真となり、そのために味気ない感じになります。プリセットホワイトバランスで白を白として補正する行為は、あくまでブツ撮りなどのとき、正確な色表現が必要な場合に有効であって、雰囲気重視の場合は、プリセットをしないほうが良い場合も多いです。

こういうときは、「ホワイトバランス晴天」で撮っておくことをお勧めします(ケルビンで言うと5500Kです)。ホワイトバランス補正がかからない色で撮れるからです。そしてあとから自分好みにホワイトバランスを調整しましょう。

■あとから調整する場合

Photoshopならば、Camera RAWの画面にホワイトバランスを数値指定できる機能がついてます。カメラ付属のソフトにもある場合が多く、カメラ内でもホワイトバランスを指定しなおすことも出来たりします。あとから調整のほうがじっくり考えることが出来ますが、撮影枚数が多いと面倒になります。

CAMERA RAW

PhotoshopのCamera RAWの色温度設定画面

■要点

カメラのオートホワイトバランスでは、自分が意図しない色にホワイトバランスを補正されてしまうことも有ります。自分の意図どおりの色に仕上げたいなら、ホワイトバランスは、自分の意志で決める! そうすればずっと良い写真を撮れますよ。試してみてください。

以上、唐揚げ大好きアートディレクターの横地でした。

 

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第四回:時よ止まれ!「ザ・ワールド」!!
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