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特集「AZグループをひも解く」 インタビュー:7
岩楯PIVOTで仕事をしていてよかったと思うのはどんなところですか?
浜田さんわりと無茶が効くところですね(笑)。
僕は真ん中に立って社内外のいろんな人とコミュニケーションをとってプロジェクトを進める立場ですが、「プロジェクトとしてこうしたい」と思ったことに対して、デザイナーやエンジニアなどメンバーがきちんとレスポンスをくれるんです。「大変になるから嫌だな」とか個人的な感情で判断するのではなくて、「こうしたい」ということに対して本当にそうだと納得してくれたら、遅い時間であっても付き合ってくれる。PIVOTで働いているメンバーとは、コミュニケーションのとり方やつくるもののレベル感を共有できているのが、一番やりやすいと思うところです。
河内仕事だからやらなきゃというのではなく、「つくるものがよりよくなったらいいな」という想いが共通してあるんですね。
浜田さん言ったことはもちろんやるのですが、「こっちの方がもっといいかも」という提案をしてくれるのですごく助かっています。
岩楯小林さんはどんなところがいいなと思っていらっしゃいますか?
小林さんチャレンジさせてくれるところです。
先ほどお話ししたように僕自身も未経験で入社しましたが、たとえば、案件が入ってきたときに自分の今のスキルでは難しいことに対しても、支援や後押しをしてくれて挑戦させてもらえます。ふつうに考えれば、できる人をアサインすると思いますが、チャレンジさせてくれることでその人自身のスキルアップにつながりますしやりがいにもなります。
岩楯クライアントなどの社外の方からは、どんな声をいただくことが多いですか?
浜田さん「人を楽しませたり、喜ばせたりすることに対してコミットメントしてくれる」とおっしゃっていただけることが多いです。実際にでき上がったものを見たり、販売数やダウンロード数などとして結果が出て、「よかった!」というリアクションが多いかなと思います。
あと、先回りしていろいろ準備をしたりといったところで、「やりやすい」と感じていただけるようです。
岩楯お話に出てきた「いいもの」というのはどういうものでしょうかね? 「いいもの」をつくるために、お二人はどういうことを大事にしていますか?
浜田さん工程の段階やポジション、与えられている課題によって「いいもの」の定義はいろいろだと思いますし、目標設定に対してというよりはエンドユーザーなどのリアクションを見ながら進めていくことが多いので、定義と言える根拠は薄いのですが、僕が最近よく考えていることは、企画やアウトプットのイメージに対して「ユーモアがあるか」ということです。たとえば、今もあるサービスを考えているのですが、切り口の数をできるだけ多く出していき、ユーモアのありそうなものを最後に残すということを大事にしています。
岩楯エンドユーザーにとってユーモアがあるか。
浜田さん人に聞くという客観性が半分ありつつも、主観は入ってしまいます。ただ、主観も信用はしていたいんですよね。まず自分がOKと思えるかは大事だなと。
岩楯主観を信用するためにしていることはありますか?
浜田さんインプットは大事にしていますね。興味がある展示会などに行ったり。「場所に行く」というのもありますが、クリエイターやアーティストといった「人に会って直接話す」という意味もあります。
浜田さんエンジニアと仕事をしていて感じるのは、「汎用性や効率性が高いもの」が、でき上がった瞬間に「いいもの」として認められやすいのかなということです。
汎用性があると、後から機能を追加したりなどチューニングがしやすいので、最終的にはユーザーのためになる。また、つくり手側の話になりますが、効率性と言ったのは仕事を早く終えたいからということではなく、開発においては人数が限られているので「誰でもできる」ということが大事になってくるからなんですよね。最初の設計以降は、特定の人にしかできないことはなるべく減らすように組み立てて、ある程度までできたら後は誰でもメンテナンスができる、ということをエンジニアは考えているように見えるんです。もちろん、たとえばモノを動かすときのシズル感といった、ある程度の素養がないとできない特殊技術についてはしかたがないのですが。
河内誰でもできるようにするためにしていることはありますか?
浜田さんプロジェクト単位では、環境やビルドの手順、設定などをガイドラインとしてまとめて社内やクライアントと共有するといったことをしています。
小林さん浜田くんが話してくれた汎用性や効率性の他に大事にしていることは、システムはあらかじめつくった設計書をもとに構築していくんですが、実装途中で「もっとこうした方がいいんじゃないか」と思ったときには、設計書通りに進めることに固執せず、よりよいものに変えていくということです。特にアプリ開発の場合は考えないといけないことがとても多いんですよね。設計時点で考慮できていればベストなんですがなかなか難しい。ですので実装やテストをする中で「よりよいものがないか」を常に考え、発見して取り入れていくようにしています。
河内社名の「PIVOT」という言葉は、「軸足をもちながらも方向転換する」というニュアンスでも使われる場合がありますが、そういうことを感じたことはありますか?
たとえば、小林さんがPIVOTに10年いらっしゃる中で、「PIVOTってこういう感じだよね」ということがありつつも、会社規模が大きくなったりAZグループに参画したりと環境が変わっていくと「昔とは違う」という感覚があると思いますが、「こんなはずじゃなかったのに」とならないポジティブに変わっていく感覚はありますか?
小林さんまさにおっしゃられた通りですね。会社全体としてフットワークが軽くて、それにみんながついていく。
浜田さんボトムを支えているエンジニアが、一番フットワークが軽いからかもしれないですね。
小林さんあと、宮嵜さんや鈴木さんがフットワークが軽いタイプなので、似た人種が集まってくるというのはあるかなと思います。
関口「よいものをつくるためには技術がハブになっている」という価値観があるのかなと思ったのですがいかがでしょうか?
小林さんそれはけっこうあるかもしれないですね。実際、会社全体の職種としてエンジニア比率が一番高いというのもありますし。現在、全体のスタッフ数が50名ほどに対してエンジニアは20名ほど。
いいアイデアを出す人間もたくさんいるんですけれど、そのアイデアを最終的に形にするのはやっぱりエンジニアなんですよね。
岩楯最後に、AZグループに入ったからこういうことをやっていきたい、ということを教えてください。
浜田さんいろんな人と話す機会が増えたら楽しいだろうなと思っています。これまで、パートナーさんでもいろんなところと組むというよりはお付き合いのあるところと長くというスタイルが多かったので、社内には出不精な人が少なくないんですね。
AZグループには出版社もあってできることがより広がりそうですし、コンセントではセミナーやイベントもやっているので、そういう場所に行っていろんな人と出会ったりコミュニケーションするのが楽しみです。社内のメンバーにも外にどんどん出かけていってほしいなと思っています。
小林さん浜田くんの言ったコミュニケーションもそうですし、あと、PIVOTとコンセントとでコラボレーションしてなにかをつくったりできるといいなと思っています。PIVOTはエンジニアがたくさんいるので、たとえば全天球動画コンテンツをやっているコンセントの渡邊徹さんと一緒におもしろいものをつくったり。実は、この間お会いしたときにすでに話したりしてるんです。
浜田さんPIVOTとコンセントでプロダクトデザインのチームがつくれるといいですよね。一番最初にコンセントの上原哲郎さんや家内信好さん(現在はPIVOT役員)たちとお会いしたときに思ったことなんですが。
「最近、どんなものがおもしろいか」という話になったときに出てきたのが、Webだけではなくて、もっとフィジカルなものとかプロダクト寄りな話が多かったんですよね。宮嵜やPIVOTのエンジニアもそういうのが好きだったり得意だったりするので、組み合わせたらおもしろいんじゃないかなと思っていたら、Skypeにそういうスレッドがたっていて、すでにやりとりしていました(笑)。
「年に一つつくりましょう」とかラボ的なことができるといいなと。そこに触れられるモノがあるって一番説得力がありますよね。この間、PIVOTとコンセントで集まったときにも、渡邊さんが全天球カメラをもっていただけでものすごく場が沸きましたし。プロダクトには力があると思っています。(終わり)
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特集「AZグループをひも解く」 ~ Interview:働いている人の考えから探る~