世界行脚 vol.12 [2013.4.2-8] Road to Baltimore

せっかく行くなら楽しまないとね♥ コンセントメンバーが行く、国内・海外出張の裏側こっそりみせちゃいます

情報アーキテクチャのグローバルカンファレンス IA Summit 2013 in Baltimore

過去最多!日本から10名が参加した今年のIA Summit

今年もIA Summit(4月5日〜7日)に参加してきました。日本の年度末である3月末に開催されることが多いIA Summitですが、今年は4月初旬開催という時期的なところも手伝って、日本からはなんと10名という過去最多メンバーが出席しました。開催地はメリーランド州のボルチモア。ウォーターフロントシティらしい街並みとともに今年のIA Summitの様子をご紹介します。

IA Summitとは

年に一度北米で開催されているInformation Architecture Summit(情報アーキテクチャサミット)の略称。全世界からIAやUXに関心を持つ人が集まるカンファレンスで、ワークショップやプレゼンテーションが提供される。

IA Summit

http://iasummit.org/

IA Instituteとは

情報アーキテクチャの理解と発展を促進する非営利で活動する米国国債ボランティア団体。メーリングリスト、メンタリングプログラム、ジョブボードの提供などを通じてIAコミュニティの活動を支援している。IA Summitの企画や運営も行っている。

IA Institute

http://iainstitute.org/

ASIS&Tとは

The American Society for Information Science & Technology(全米情報科学技術学会)のことで、IA Summitを主催している。1937年の設立依頼、情報へのアクセスをより向上させうる理論や技術、テクノロジーを探求する情報の専門家のための学会として機能している。

ASIS&T

https://www.asis.org/

Tour Members

長谷川敦士

Information Architect

長谷川 敦士

[はせがわさん]

宮内茂奈

UX Architect

宮内 茂奈

[もなちゃん]

笹原舞

Project Manager

笹原 舞

[マイマイ]

Navigator

河内尚子

Communication
Manager

河内 尚子

[チビラーシカ]

到着翌日からフルスロットル IAの再構築について考えるラウンドテーブルに参加

IA Summitは3日間のカンファレンス期間の前に、2日間のワークショップ日が設定されています。例年、カンファレンスのみ出席というケースが多いのですが、今年はAndrea Resminiによる終日のラウンドテーブル(4月3日開催)に参加するため、4月2日に成田を経ちました。渡航自体は、はせがわさんと私が同じ便、モナちゃんが同日の別の便、マイマイは翌日の便とバラバラ。はせがわさんと私が乗ったシカゴ経由便は現地への到着が最も遅く、ホテルにチェックインしたのは21時過ぎでした。
コンセント以外の先発部隊はレストランで夕食を取っていたようですが、そこに合流するにはあまりに遅かったため、ホテルから数ブロックの距離にあるオーガニックスーパーのデリで夕食を買って食べました。

時差ボケなどしてる暇はありません。翌朝は8:30頃に日本メンバーで集合。コーヒーを飲みながら自己紹介をしたりラウンドテーブルをどんな風に過ごすかなど作戦会議。そうこうしていると、Ericが登場。去年までコンセントでUXアーキテクトをしていて、現在はアメリカに戻りベンチャー企業でデザイナーをしているEricはサンフランシスコからの参加です。久々の再会に積もる話を色々したいところですが、一旦お預けでラウンドテーブル会場へ。

"Academics and Practitioners Round Table: Reframing Information Architecture"と題されたこのラウンドテーブルでは、教育者、実践者、リサーチャーといったさまざまな立場から、今日のIAが一体どういうものであるか、過去はどうであったか、今後どうなっていくかについて議論しました。ホストであるAndreaのオープニングスピーチに続き、事前に登録され承認された12名のスピーカーによる短いプレゼンテーションがあり、各プレゼンテーションの後には、それぞれのトピックについて参加者とスピーカーとの間でのディスカッションが展開されました。基本的にはフリーフローの会話スタイルですが、夕方までのプログラムのなかで3つほどのグループワークもありました。

最初から最後まで会話形式のラウンドテーブルだと、言語の壁がある日本人にとってはハードルが高すぎるのですが、ワークがあると多少言葉がわからなくても参加することができますし、案外、欧米人が持っていない視点を提示することができたりもします。


Group Work Pickup #1 南アフリカのヨハネスブルクから参加のJason Hobbs。「IAはWebやモバイルだけにとどまる話ではなくエコシステム全体に関わるものである」というプレゼンテーションもしていた。
Group Work Pickup #2 IAのこれまでを振り返るためのタイムラインをつくるワーク
Group Work Pickup #3 IAと関係のある(欠かせない)学術領域について洗い出すワーク

IA婦人会ふたたび ボルチモアでIAを肴に語る夜

アメリカ滞在中、夕食は日本人メンバー全員で一緒に食べに出かけていましたが、カンファレンス2日目日はコンセント以外の何名かがFirst-Timers Dinnersの予約を入れていたので集団行動はとりやめに。せっかくなので、カンファレンスプログラム終了後は、コンセント女性メンバー3人だけで近隣のショップ巡り(♪)やディナーに出かけました。
鹿児島に引き続き、コンセントIA婦人会活動 in Baltimore!

コンセントIA婦人会ディナーでの話題はもっぱら「コンセントでIAをどう推進していくか!」
業務レベルをどうやったらあげられそうか、IAやUXをプロセスに取り込むためにプロジェクトマネジメントや働き方はどうあるべきか、IAやUXを強みとしているコンセントのバリューはどの辺りでより発揮できそうか、そのなかでもコンセントIA婦人会では何をやれそうか…。発言の本音度合いは女子会並みだけど、トピックには色気がないという…。ほかには、IA Summit初参加の感想なども。

モナちゃん「国は違ってもプロジェクトをどう進めるか、とかクライアントをどう説得するかといった課題は変わらないんだなーという事と、みんなプレゼンが上手いし、議論上手だなーという事を感じました。」「IA Summitはユーザー調査系の話もけっこう多いんですね。」

マイマイ「UXをプロジェクトの中に入れる重要性についてはそもそもの共通認識としてすでにあることや、それをどう知ってもらうか、どうプロジェクトに盛り込むかという視点が、日本の業界全体よりもやはり先進しているように感じました。」「IA Summitに参加してみて思ったのは、取り入れるものや、やり方次第ではよりプロジェクトの質を上げることができるだろうなということ。」

チビラーシカ「いつもははせがわさんと2人で来ることが多いから、こうして同じコンセントの女子メンバーと感想を共有できるのは新鮮!!」


First-Timers Dinnersって?
UX界隈のキーパーソン達がホストする、IA Summit初参加者向けの無料ディナーご招待といったイベント。今年が初開催の試み。会場となるのはボルチモア市内の幾つかのレストランで、参加者は好きなところを選ぶことができ、またホストとの会話を楽しめるとあって、事前予約はあっという間に埋まったようでしたよ。

IA Forever! 今がIAでいるべき最適な時!

私がIA Summitに参加するのは4回目ですが、毎年、その年ならではのトレンドや空気感が感じられます。

例えば私が初めて参加した2009年のIA Summitでは、初参加にウキウキしていた私に反し、Adaptive Path社のJJGことJesse James Garrettによるクロージングの話で「さようなら、IA」という宣言がありました。もちろん、IAに意味がないとか、金輪際IAがなくなるという話ではなく、「これからはUXデザイナーと名乗る方がより適切である」ということだったのですが、ある意味ではショッキングでした。2010年は欠席しましたが、2011年のコロラドでは、IAはハコものを作るのが得意であるということへのアンチテーゼで、コンテンツそのものやコンテンツ戦略にフォーカスがあたっていたように思います。同時に「サービスデザイン」という言葉が扱われはじめたのもこの年でした。

2012年のニューオーリンズでは、コンテンツを作るのも大事だけどそもそもそれがFunかどうか、つまり面白いというのはどういうことかという、コンテンツ戦略から一歩進んだより感情的な部分にも迫り、またモバイルファースト、クロスチャンネル、ジャーニーマップあたりもトレンドでした。

では今年がどうだったのか。私なりに一言で言うと、 「IAへの回帰」 でしょうか。
先に述べたように、初回参加時の「さようなら、IA」の時のような、IAなのかUXなのかといった過去の議論を経て、改めてIAの意味を確認し、新しい側面を見出そうとしている動きを感じます。

冒頭でも紹介したAndreaのReframing IAのラウンドテーブルでは、「IAは新しい意味を創りだせるのか」という議論が活発でした。また、カンファレンスでのあるセッションでは、「IAは唯一意味と構造を統合できる領域である」ことや、「そこには、Choreography(振り付け法)、Taxonomy(分類学)、Ontology(意味論)が必要だけれども、それ以外を排除するとか、これはIAで、これはIAではないといったように、自ら分野を狭めるのではなく、意味を中心に据えて、そこに必要なものであればどんな手段や分野、領域でも取り込むのだ。」という話もありました。

テクニカルなところでは、クロスチャンネルで情報を利用可能な状態とするための、メタデータ、セマンティック、オントロジーといった情報そのものについての話も多かったという意味でもIA的。

最後のクロージングキーノートでKaren McGraneが「今がIAであることにベストなタイミングである」「世界はこれまでになくIAを必要としている」「IA Forever!」と言っていたことも象徴的です。

加えて今年はいくつかのセッションで「ユニコーン」がモチーフとして使われていたことも印象的でした。ユニコーンは実在しないけれども素晴らしい存在というようなものとして認識されているようでした。

IAとはなんなのか、IAの価値とはなんなのか、どのような立ち位置でいるべきか、自身を省みるような今回のIA Summit。自身をどう規定するにせよIAが知っているべき領域や分野は多岐に渡るため、さまざまな分野のことに高い専門性が必要で超人的であるという意味でもユニコーンであり、異なるものをブリッジしたり統合し、特別な存在のものとして意味をもたせるという点でもユニコーン的だったのかもしれません。

トレンドと定着、そして発展 「クロスチャンネル」や「ユーザージャーニー」など、去年トピックとして熱かったものは、1年の間にすっかり浸透して当たり前のものとして扱われるようになっています。今年のトレンドも来年のIA Summitまでの間に何らか議論が進み、来年のIA Summitではまた新しいトピックに引き継がれていくのかもしれません。サンディエゴで開催される来年のIA Summitにも注目ですね!

Private Album

  • 水族館のサイン 全米屈指の水族館
    ホテルから歩いていける距離にNational Aquariumがあったので、みんなで行ってみました。
    http://www.aqua.org/
  • くらげ 癒しのひととき
    チェサピーク湾奥に位置するボルチモア。優良漁場でもあり、多様な海洋生物に恵まれた土地柄、水族館の展示も多彩です。クラゲの水槽は幻想的。他にはサメなんかもいました。
  • イルカショー 自主練に勤しむイルカ
    運よくイルカショーの時間にあたったので見ていくことに。ショーが始まる前から、イルカたちは熱心に自主練(!)をしていました。
  • マコーミックのお店 マコーミック
    日本のスーパーでもお目にかかるマコーミックの調味料。実は1889年にボルチモアで生まれた会社です。(現在は同じメリーランド州の別の地域に本社が移っています)
  • フィリップス シーフードレストランPhillips Seafood Restaurant
    ガイドブックなどにも載っているシーフードレストランに行ってみました。雰囲気はまぁまぁだけど、サービスはファミレス的かな…。
    http://www.phillipsseafood.com/
  • クラブケーキ シーフードの街に来たら…
    やはり、クラブケーキでしょう。蟹身のコロッケのようなものです。日本だとなかなか食べる機会がないので、滞在中は何度も食べてしまいました。
  • ファッションスクール本 BARNES & NOBLE(本屋さん)で
    『101 Things I learned in Fashion School』を発見。日本語版『ファッションデザイン 101のアイデア』として、コンセントのグループ会社フィルムアート社から出てます。
    http://www.filmart.co.jp/books/index06/_101_3.php
  • 井登さんと米川さん ピンぼけじゃないよ
    写したかったのは井登さんでも米川さんでもなくその奥にいる人!「ネットカフェじゃないのにディスプレイが席にあるなんて」とよく見たら、ラップトップだけじゃなくディスプレイを持ち込んでた!衝撃!!
  • はせがわさんとマイマイ メタ的な
    マイマイの写真を撮るはせがわさんの写真を撮りました。
  • 田中さんとはせがわさん 寒いの平気
    雪国育ちな2人はけっこう薄着。特に田中さんは、みんながセーターにダウンを着ても震えてるようななかで、Tシャツに革ジャン。アツいオトコなんですね!
  • James Joyceのメニュー 滞在数日で常連
    ホテル近くのアイリッシュパブ、James Joyce。私は1度しか行かなかったけど、男性陣はなんだかんだ毎晩通ってました。
  • リトルイタリー レストラン激戦区リトルイタリー
    ホテルからも程近いインナーハーバー東側にはリトルイタリーと呼ばれるエリアがありました。20世紀にはイタリアからの移民が多く移り住んだエスニックな地域で多くのレストランがひしめいていました。残念ながら滞在中、行く機会はありませんでしたが…
  • モナちゃん IA婦人
    リトルイタリーを経てまたまたウォーターフロントに向かう途中の一枚。コンセントIA婦人のモナちゃんとマイマイ。
  • レセプション ウェルカムレセプション
    カンファレンス開催前夜にはウェルカムレセプションがあります。シーフードの街らしく、オイスターやシュリンプカクテルもいっぱい!
  • ポップコーン IA Summitのコーヒーブレイク
    カンファレンスでのコーヒーブレイクには、スイーツやドリンクが提供されますが、今年はなんとポップコーンも!
  • スケッチノート ライブスケッチ
    カンファレンスでのキーノートでは、スケッチノートをその場で描いていくという試みも。話されていることがあっという間に視覚化されていきます。
  • 赤いTシャツ IA SummitオリジナルTシャツ
    今年はTシャツも販売されていました。
  • MTG風景 全員で共有
    カンファレンスの全プログラムが終了後、日本からの参加メンバー全員でラップアップを行いました。パラレルセッションだったので自分が出れなかったセッションを共有してもらったり。

コンセントには国内外のカンファレンスやワークショップに参加できる自由度や風土があります。知識欲求の強さや吸収したものを業務に生かす実行力はもちろん問われますが、在籍年数や職種は関係ありません。今よりもさらに専門性を高め、難易度の高いプロジェクトに取り組んでみたい方、コンセントで一緒に働いてみませんか?

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