世界行脚
コンセントメンバーが行く、国内・海外出張の裏側こっそりみせちゃいます
Euro IA Summit 2012 in Rome
ヨーロッパ開催の情報アーキテクチャのカンファレンス
コンセントメンバーが行く、国内・海外出張の裏側こっそりみせちゃいます
ヨーロッパ開催の情報アーキテクチャのカンファレンス
Euro IAとは
ヨーロッパで開催されている情報アーキテクチャに関するカンファレンス。正式名称はEuropean Information Architecture Summit。米国で開催されるIA Summitと同じくASIS&T主催のイベントで、今回で開催8回目を数える。
Communication Manager
[チビラーシカ]
twitter: @chibirashika
Euro IAと北米開催のIA Summitとで大きな違いはあるのでしょうか。「そうね、IA Summitと比べると規模は小さいかな。今年のEuro IAの参加者は200人ぐらい。プログラムもIA Summitの方は、プレカンファレンスのワークショップが1日、カンファレンスも3日間あるし、カンファレンス中のセッションも3つが同時進行、さらにディスカッションのセッションも1つか2つ進行するよね。一方、Euro IAはカンファレンスは2日間。プログラムも一応パラレルに提供されているんだけど2セッションだけ。ワークショップはあったけどね。」とはせがわさん。全体的にコンパクトなんですね。
来ている人たちについて言えば、「企業側の人もいればエージェンシー側の人もいる。属性としてはIA Summitと大きく違わないと思う。でも、ヨーロッパ開催ならではかなと思ったところは、こう言ってはなんだけど、日本から見て経済規模が小さかったり、アメリカやイギリス、フランス、イタリアといった国々と比べると僕らにとってあまり馴染みのない国の人たちもたくさん来ていたこと。例えばベラルーシとかブルガリアとかね。」前回、ヘルシンキで開催されたデザインマネジメントカンファレンスに行ってきたジョージも言ってたけど、ヨーロッパでのカンファレンスは国際色が豊かな様子。
でも、同じヨーロッパとはいえ言語も違えば国によってビジネス規模や背景も色々と違うはず。こうしたことがプレゼンテーションからも感じられるとしたら面白い。「たしかに英語が第一言語ではない人は多くて、参加者だけではなくてスピーカーのなかにも英語が流暢ではない人もいた。それでも内容としてはアメリカで提供されているものと遜色ないクオリティだったし、ユーロ圏オリジナルのコンテンツとして、新しい枠組みの提示などもできていて、議論のレベルは非常に高かったと言えるんじゃないかな。」
言語の壁があってもなお、経済大国とそれ以外の国との間で議論のクオリティ面での格差が感じられないというのはすごい!
英語が母国語でないということが不利な状況であるのは日本人だけではない。むしろ日本は最近になって独立したばかりのような国と比べてずっと経済的にも恵まれているわけだし、実際にどこかに出かけていって物事を見聞きすることも含めて、本来は情報を入手する手段がたくさんあるはず。なのに、どうも英語圏からの情報入手となると苦手意識があるような…。「日常使っていない言語で情報収集ができているよね、ヨーロッパの人たちは。世界経済の中心にあるような国とまだそうとは呼べない国との比較というのを、ちょっとスケールダウンして東京と地方との比較として置き換えて考えることもできると思うんだ。そうするとどうしても東京からの情報量が多いし、コアな議論ができる環境もまだまだ東京が中心であるように感じる。Euro IAに話を戻すと、日本の地方にあたるような国の人たちも他の先進諸国の人たちと同等に高い専門知識を持って自分たちのものとして海外への情報発信もできている。議論のベースラインが十分に揃っているというのは大きいなと思った。」つまり、こういうこと?専門知識+英語の両方が必要。「そう、少なくとも専門知識と英語のどちらかでもあればなんとかなる。専門知識はなくても英語ができれば、それなりに議論にはついていけるし、英語がそれほどできなくても専門知識があれば、議論の観点自体は共通認識として持つこともできるからね。だから、デザイナーがもっと英語を使えるようにならないと。少なくとも、世界の動向を知っておくためにも、英語圏の情報も気にすべきだと思うよ。」
カンファレンスに参加すると、そこで扱われている専門的な領域のトピックだけでなく、日本の私たちが抱えている課題にも気づくことも。ユーロ圏と日本の違いに気づいたら、そのことからつまりは何が言えるのかを俯瞰して考えてみることで、議論をスタートさせるための土台作りができるのかもしれません。