世界行脚 vol.13 [2013.7.21-24] Road to San Francisco
HCD(人間中心設計)関連メンバーと行く
HCD(人間中心設計)関連メンバーと行く
人間中心設計(HCD:Human Centered Design)推進機構。ユーザビリティ推進のための事業母体としてのNPOで、はせがわさんは理事の1人を務めています。
HCD-Net
コラム 「HCDとは:使う人の観点でものを作るためのしくみ」
チビラーシカ:マリオとはニューオーリンズで開催された去年のIA Summitに一緒に行ったけれど、同僚としてこうやって話を聞くのは初めてだよねー。
マリオ:そうなんですよー。コンセントに転職してきてすぐにこうやって海外に行くことになるとは…。
チビラーシカ:コンセントからは、はせがわさんとマリオが参加してきたこのツアー、ほかにはどんな人が参加したの?
マリオ:日本から約30名のHCD関係者が参加しまして、その中には、教育機関の教育者、学生もいれば、エージェンシーサイドの人もやメーカーの方もいて、多彩な顔ぶれでしたよ。
チビラーシカ:へぇ。視察ツアーってそもそも何しにどこにいったわけ?
マリオ:現地の教育機関でのプログラムや、UXデザイン系の会社の最近の動向を探るという感じでしょうか。僕らの同業とも言えるエージェンシーからの事例を聞いたり、パネルディスカッションを通して、エージェンシーだけでなく、教育機関やサービス提供企業がデザイン戦略をどのようにとらえ、実際にどのような手法を用いているのか、またどのように社内に展開したり教育したりしているのか、といったことを聞いてくることができました。
チビラーシカ:今回のツアーの最初の見学先がここ、カリフォルニア芸術大学(CCA)なんだね。
マリオ:そうです。非常に行きづらいところにあってミッドタウンから30分ぐらい歩きましたよ。まるで廃墟のようなところにありました。
California College of the Arts
マリオ:キャンパスを見学させてもらいましたが、夏休み期間で構内はひっそり。とはいえ、この学校のコンセプトは「Low-Residency Program」。在学生はそもそも月に4〜5回しかキャンパスに来ないそう。物理的な距離によって、オンラインでのプロジェクトチーム間のコミュニケーションが発生し、結果的にHigh Collaboration Team(コラボレーションが非常に濃いチーム)を作ることにつながるんだそうです。
マリオ:キャンパスツアーの後は、HCD-NetのインターナショナルアドバイザリーボードのKevinがモデレーターとなって、パネルディスカッションがありました。参加者はCCAのChairmanであるNathan Shedroff、エクスペリエンスデザイン会社Methodの代表Kevin、元IDEOで、前職はGoogle PlusのUXデザインも担当していた現SalesforceのクリエイティブディレクターのCharles、REX(Relationship Economy eXpedition)代表のJerry、HCD-Netの理事としてはせがわさんや千葉工大の山崎先生も加わり、かなり豪華なメンバーでしたね。
チビラーシカ:CCAのあとはパロアルト?
マリオ:そうです。サンフランシスコから電車で1時間ほど移動して、パロアルトにあるPalo Alto Research Center(PARC)に行きました。CCAでのパネルディスカッションがかなり時間的に押してしまったので、ランチを食べながらの移動というバタバタしたものになり、到着するやいなや、すぐに事例発表を聞きました。
今回紹介してもらったのは、看護師の日常業務をサポートするデジタルプロダクトを考える「Digital Nurse Assistant(病院で働く看護師のためのデジタルアシスタント)」というプロジェクトと、「The Human Component of Smart Parking(スマートパーキングのヒト的要素)」という、パーキングメーターのリ・デザインプロジェクトの2つの事例。
Palo Alto Research Center
マリオ:メガネのような形状のGoogle Glass。手で触れることなくボイスコントロールで、検索、写真撮影、動画撮影、ナビゲーション表示といったことができます。起動ももちろん音声。コマンドは「OK, Glass!」。これ日本に入ってきたら、みんなこの言葉を唱えるようになって流行語大賞とかになるんじゃないですかね。
マリオ:Google Glassをメガネのように装着すると、情報は目の前のガラスに表示されます。視線を大きくそらす必要はないのですが、実際にはやや斜め上に情報が表示され、また音声コマンドをつぶやくために口をあけていることが多い状態になり、装着時はけっこうな変顔になりますね。
チビラーシカ:Adaptive Pathにも行ったんだねー。私も2年ぐらい前に行ったよー。どうだった?
マリオ:今回は、Adaptive PathといえばおなじみのJJGこと、チーフクリエイティブディレクターのJesse James Garrettと、2年ほど前にジョインしたというデザインディレクターのPatrick Quattlebaumが、現在の彼らの事業のことや今どんなことを考えているかを紹介してくれました。彼らはこれまでもIA Summitでカスタマージャーニーマップを紹介したり、さまざまな国でUXワークショップなども手がけてきていますが、ユーザー視点が強調されがちのUXに加え、最近では、よりサービス提供者側の視点や意識も加味された「SX(Service Experience)」なんて言葉を使い始めたりもしていますね。
マリオ:Adaptive Pathのほかには、僕の知り合いがいるということもありLUXrという、スタートアップをUX面から支援しているコンサルティング会社も訪問してきました。彼らはスタートアップがUXのアプローチをリーン(※)で回せるようなキット「LUXr Bento Box」を提供していたりもして、そのあたりも興味深いと思いました。
チビラーシカ:限られた日程でも、充実した訪問ができて良かったですね!
Adaptive PathやLUXr訪問についてもっと詳しく
【レポート】サンフランシスコUX事情
http://www.concentinc.jp/labs/2013/09/report-sfo-ux-consulting/