今年もコンセントのメンバーはIA Summitに行ってきました。
3月28日〜30日までアメリカ西海岸サンディエゴで開催されたIA Summitは、今年が15周年とある意味区切りの年。
私は今回で参加が5回目ですが、同じIA Summitでも連続で参加していると、年によって空気感が違うことに気づきます。今年のIA Summitの様子を、オフショットと共にご紹介しましょう。
ポジションがIAでもUXデザイナーでもなく、IA Instituteの活動や議論にそれほど積極的に参加しているわけではない私でも、参加が5回目ともなると知り合いがチラホラでき、コーヒーブレイクの時には「わぁ、久しぶり!」というやり取りがあったり、知り合いが誰かを紹介してくれる時も「Naoko is from Tokyo and she’s regular」と言われたりします。セッションそのものも楽しみですが、こうやって久しぶりに知り合いに会えるのがIA Summitの楽しみでもあります。
ホテル内のレストランでの朝食時には、去年の夏、東京に遊びに来ていた時に観光案内をしてあげたChristinaや、11月にUKのブライトンでお世話になったAndyに遭遇。彼らは今年もセッションに登壇していました。
World IA Day(WIAD)が2月15日に世界中で開催されました。東京も開催都市の一つでしたがあいにくの大雪で中止に。
本当はそこで会えるはずだった沖縄の方に、なんとサンディエゴで会うことができました。
メールでは何度かやり取りをしていたのですが、お会いするのは初めて。
初日のキーノートの後に「Kawachiさんですか?」と声をかけていただいてびっくり!
また、ランチタイムにはメールでしか接点がなかったWIADのグローバルメンバーとたまたま同じテーブルになって「東京は雪で残念だったわね」と声をかけてもらったり…。WIADというグローバルイベントがあることで、思わぬ出会いがあったりしますね。
「Hey, Naoko. I was looking for you!」と言われて、何かと思ったら、一緒にプリクラ的な写真を撮りましょ、というお誘い。採用プロモーションの一環で設置されたと思われるディズニーの簡易フォトブースで、3人で記念撮影。
ここ1年お互いがどんな仕事をしていたかももちろん話しますが、それ以外にも「去年言ってたバスルームのリフォームはどんな感じ?」「パーソナルスタイリングやってほしいんだけどやってくれる?」と、女子会的な話の方も盛り上がったりします。カンファレンスだからといって、いつでも小難しい話をしてるわけではないのです。(私だけ?)
IA Summitではカンファレンス後に、ファーストタイマーディナーといって初回参加者向けのディナーのご招待があったり、カラオケナイトやゲームナイトやハッピーアワーがあったりします。今年ちょっと目新しかったのは、Polar Bear Fun Run & WalkとYoga Class: Take a Moment to Breatheの二つ。
Polar Bearとはしろくまのこと。オライリー・ジャパンから出版されている『Web情報アーキテクチャ -最適なサイト構築のための論理的アプローチ』の表紙がしろくまのイラストであるところから、しろくまはIAコミュニティのシンボルのようになっています。10Kmコース、5Kmコース、2Kmのウォーキングコースが用意されていて、はせがわさんもマリオは10Kmランに参加しました。
そして今回のIA Summitの初日のキーノートは、NetscapeやYahoo!、Googleでインタラクションデザイナー、UXデザイナーをしてきて、現在はヨガのインストラクターをしているというIrene Auによるものでした。そこにちなんで、カンファレンス最終日の朝にはヨガレッスンも。てっきりキーノートをしてくれたIreneが教えてくれるのかと思いきや、サンディエゴ市内でインストラクターをしているという、IA Summitには全く関係ない方が先生でした。
ちなみに、私の隣でヨガをやっていたのは、IA Summitの一番最後のプログラム、Closing PlenaryのPeter Morville。
Closing Plenaryで「ショートパンツで来てもOKで受け入れてくれるIA Summitが大好き」と話していたPeter。
IA Summitのランチは例年、結婚式用大広間のような部屋で提供されますが、今年のランチ会場は屋外の芝生のガーデン。1日目はサラダとメインコースのランチ、2日目は立食スタイルでした。カンファレンスでお昼からガーデンパーティのようなスタイルとは、なんだか新鮮!
休憩時間やセッションからセッションへの移動中にたまたま近くにいる人となんとなく会話が始まることがあります。そこでちょっとしたインタビューを敢行。「Youは何しにIA Summitへ?」
すると、一番多かった答えは「サンディエゴだから」。
え?いま、なんて?「サンディエゴだから」。
なんと、開催地のサンディエゴ自体が目的化していたとは!
1人、2人じゃなくて、聞く人、聞く人、みんな口を揃えて言っていました。
特に、積雪や寒波がひどかった東海岸の人にとってはサンディエゴでの開催は魅力的に映ったようです。
なかには、「IA Summitのついでにキャンプができるから」と言う人もいて、彼女はIA Summitの前にモハベ砂漠でキャンプしてきたそうです…。すごい…。目的はともあれ、IA Summitのセッションもちゃんと楽しんでるとみんな言ってましたけどね。
コンセントも、社内で開発を進めているモバイルUI設計プロトタイピングツールキット「Handmock」を発表してきました。
Handmockは、ガムテープのようにロール型になった付箋紙(しかもミシン目入り)と3Dプリンターで作ったスマホの筐体モック、そしてその他便利な台紙などをパッケージにしたものです。去年のWorld IA Dayで、仮称「CHIKUWA」として発表したものの改良版を正式名称「Handmock」として初お披露目してきました。
ポスター発表という枠ですが、実物も持っていったので、ちょっとしたShow and Tell。
やっぱり実際に手に取れるものがあると人が集まりやすいと感じました。
あらかじめハッシュタグ(#Handmock)を用意しておいたので、コンセントの発表を見て気に入ってくれた人がツイートしてくれたり、友達を連れて戻ってきてくれたりと、人が途切れることなく大盛況。
「ぜひ使ってみたい」「売ってたらいいのにな」といった声もたくさん聞くことができました。
動物園を見たあとバルボアパークに行き当たりました。
というか厳密には、サンディエゴ動物園も含め、博物館や美術館、シアター、トレイルなどが全部入っているのがバルボアパークらしい。どこの国にいるかわからなくなるぐらい、色んな建築物がありました。このパークだけで丸1日楽しめそうです。
出張では食事も楽しみの一つ。
Yelp! などを駆使しながらお店探しです。
ダウンタウンの「ガスランプ・クォーター」で、シーフードやステーキを出すお店を見つけてディナー。
サンディエゴはメキシコと国境を接する街。電車で1時間ほどでメキシコのティファナという街に行くことができます。 何がしたいということもないけれど、行けるなら行かないと損!といった感じでティファナにも行ってみました。
ティファナはアメリカ側から行く時はいいのですが、戻るときがなかなか大変です。
メキシコ側からは入国審査のエリアに向かって途方にくれるほどの長い列が続いています。
ぐったりと疲れ果てながらも無事にアメリカ側に入国し、電車でダウンタウンへと戻りました。
毎年のIA Summitの休憩時間や求人情報エリアを見ていると、景気の良し悪しが手に取るように分かるといっても過言ではありません。今年のIA Summitでは、キャリア形成やUXデザイナー育成に関するセッションもかなり多かったのですが、それはIA/UX関連領域が人手不足だから。(もちろん、人がいればいいという話ではなく、求められる知識やスキルが多岐に渡るがゆえの難しさでもあります。)求人は完全に売り手市場でJob Boardでの求人情報も多かったですし、実際、ヘッドハンティング的な動きもそこここで見られました。
より複雑化していく社会では、単に職業としてのインフォメーションアーキテクトだけでなく、情報アーキテクチャという考え方の重要性は増す一方です。IAコミュニティは去年からさらに一層、自分たちのアイデンティティを取り戻したようでもあり、コミュニティとして集うことの意義をみんなが再確認できたような感覚がありました。
サンディエゴの温暖で気持いい気候そのままに、まさに今年のIA Summitは全体的に温かで心地良い、ハッピーなムードでいっぱい。過去に参加した5回のなかでもっとも鼓舞されるサミットとなりました。