2014/02/07 11:34
見てみて! 素敵な空間でしょー!!!
こちらは、渋谷古書センター2Fにある「Flying Books」さん。
今回の特集『コンセント座談会「デザイナーが感じるサービスデザインの今」』で、取材ロケ地としてご協力いただきました。
国内外から集めたという雑誌や絵本、写真集、書籍など、グラフィック・デザインから文学、音楽、歴史、思想といったたくさんの本が所狭しと並んでいます。
『an・an』や『クロワッサン』、『婦人画報』などのバックナンバーも!
これだけの雑誌や本が並んでいるとあって、サストコADのやすきちや、特集でお話を聞かせてくれた大崎くんや星くん、そして遅れて来た(笑)バネさんも興味津々でした(^^)
店内にはカウンターバーがあり、コーヒーやワインを飲むこともできるんです♪
特集の対談はこのカウンターで行われました。コーヒーカップもお店の雰囲気にとっても合っていてオシャレ。
特集トップページのメインビジュアル撮影が行われたセンターのスペース。書棚が可動式になっているので端に寄せると空間が広がります。
ポエトリー・リーディングやライブなどのイベントも行われているのだそう。
こちらが、今回大変お世話になったFlying Booksの山路さんです。国内外に買い付けに行かれたり、また美容院やお店などに置く本のコーディネートもされているんですって。撮影の間、お話を聞かせてくださいました。
特集の撮影を担当してくださったPhotograperの山﨑さんも「タングステンのライトが印象的ないい雰囲気のお店ですね」と絶賛。
オレンジ系の落ち着いた照明、木のぬくもり、厳選された雑誌や本への愛情が感じられる、素敵な空間での対談&撮影。とても気分のアガる時間でした。
「本に出会う時間を楽しみたい。大切にしたい」という方に、ぜひぜひおススメしたいです。
ご担当の山路さん、Flying Booksのみなさま、ご協力ありがとうございました!
●お店情報
Flying Books
住所:東京都渋谷区道玄坂1-6-3 渋谷古書センター2F
TEL:03-3461-1254
URL:http://www.flying-books.com
◆特集
Vol. 013|ミッションとあらためて向き合う。[籔内社長インタビュー]
◆コンセント世界行脚
Vol. 014 |Euro IA 2013 in Edinburgh
◆勝手に伝わるしくみ
勝手に016 | 矢印!
2014/02/06 19:12
こんにちは。旅するパーソナルスタイリスト、チビラーシカです。
韓国出張から帰ってきたメンバーがお土産を買ってきてくれました。
聞くところによるとお湯で溶いて飲むものらしい。
早速、袋に入っている粉をサーモマグに入れて、お湯で溶かして飲んでみたら、ピーナッツやクルミのお汁粉といった感じのもので、甘くて美味しい!
「今日も会社に来て良かったな〜(しみじみ)」
と思っていたところ、
「かわちさん、かわちさん、おいで。」
とはせがわさんの呼ぶ声が。
その声は、3Dプリンターだのなんだの、よく分からないガジェットがいっぱい置いてある島から。
まさか、Oculus Rift?
「イヤだー、絶対イヤだー!」
と抵抗したものの、
「いいから来て!!」
と何度も言われ、
「業務時間内だしな…、言うこと聞いておかないとな…」と渋々ガジェット島へ。
ヘッドマウントディスプレイをかぶせられて、
あっという間に、「あっちの世界」へ。
映像が映った瞬間、イヤな予感…。
え、いきなり!?と思う間もなく…。
「ギャーーーーーっ、うぎゃーーーーーーーーっ!」
「うわっ、危ない!!」
「あー、やだ、やだ、怖いーっ!!!」
「落ちるーーーーーーっ。キャーーーーーッ!!」
必死で訴えても、周りにいる人々はケラケラ笑うばかり…。
途中から立ってることもできず。
そしてやっと苦痛から解放。
だから、イヤだって言ったんだよ…。
そうこうしてるうちに、やまこーさんも犠牲に…。
ほらね、人のこと笑ってる場合じゃなかったでしょ!!
絶叫マシーンとか好きな人にはたまらないかもしれないけれど、私とやまこーさんが「やらされた」のは、バーチャルリアリティのジェットコースター。
視覚的にジェットコースター体験しても別に怖くないでしょ、と思うかもしれないけど、けっこう怖いんです、本当に。
そもそも私ジェットコースター好きじゃないし。
しかも、Oculus Riftやると、目が回るというかしばらく足元とかグラグラするのです。
食後だったらもっと危険。
このOculus Rift、いつからコンセントにあるのかよく分かりませんが、しばらく前からあって、最初に「やらされた」時も、ひどい目にあいました。数時間どころか一晩以上、グラグラする感じで具合悪いというか…。
もう絶対やるまい!と思ったのに。
だいたい、なんでOculus Riftがあるのか。
何を企んでいるのか。
広報担当なのに素で分かりません。
以前、日経産業新聞で「3Dプリンターを会社から与えられた渡邊さん」と紹介された、ガジェット担当のTALLちゃんのみぞ知るって感じなんでしょうか。
あ〜、具合悪っ。
会社来なければ良かったな…(違)
ちなみにこのOculus Rift、
私では基本説明すらできませんので(具合悪いし)、オフィシャルサイトで見てください。
Oculus Rift
http://www.oculusvr.com/
2014/02/03 16:32
※本記事は、2013年11月29日公開のサストコ「FEATURE ARTICLES 13 ミッションとあらためて向き合う。」のテキスト版です。
「ふつうの人々の、ふだんの情報生活が
より豊かで、美しく、創造的なものになること。」
これは、コンセントが所属するAZグループのミッションです。2013年12月に40周年を迎えるこの機会に、あらためてミッションについて考えたい。今後5年、10年、20年……と将来にわたり、何をやればより良い社会をつくっていけるんだろう。
そのヒントを探すには…やっぱり社長に話を聞いてみなきゃ!激務が続くサストコ編集長 青木に代わり、広報担当の岩楯と河内とで、コンセント代表取締役社長の籔内さんにインタビューしました。
サストコが始まって2年。満を持して(!?)社長登場です。
《INDEX》
■「生活者」が主役。
■「学びのプロセス」をつくる。
■「蓄積」と「アウトプット」と「シンキング」。
■シンキング+アウトプット=「動詞型生活者」。
■入り口としての「amu」。
■ふつうの人々にとっての豊かな状態とは?
■「プロセス」を相手に獲得させる。
■時間軸・空間軸を取っ払った「学び」を。
■組織として集まった意味。
《Interview with Koichi Yabuuchi》
岩楯
AZグループは12月に創立40周年を迎えますね。そして、コンセントの今年度の会社目標は「コンセントの価値と真正面から向き合う」です。ミッションともあらためて「向き合う」ことが必要だと思い、籔内社長にお話を聞きたいと思いました。
「ふつうの人々の、ふだんの情報生活がより豊かで、美しく、創造的なものになること。」という私たちのミッション。籔内さんはどのように解釈されていますか?
籔内社長
まず伝えたいことは、ミッションを読んでもらうとわかるように、主役は我々ではないということです。主役は生活者であり、何か特別な人では決してなく、あくまでも「ふだん」の状況の中での「ふつう」の人々。目的としている「豊かで美しく、創造的」な状態というのは、「これだ」と決めつけずに、個人的な解釈によって多様性があった方が、おもしろい発想につながると思っています。
岩楯
私たち一人ひとりが「より豊かで、美しく、創造的」な状態を考えるべき、ということなんですね。
籔内社長
そうそう。考えたことに対して否定は一切ないわけだよね。ただ、我々AZグループだけで決めるのではなくて、企業や行政機関や学校など、お客様と一緒に「豊かな状態」をつくっていく必要があるんです。
岩楯
ミッションを考えられたのはいつ頃ですか?
籔内社長
考えたのは鈴木誠一郎さん(AZホールディングスの元取締役会長)なんですよね。ミッションとして明示化したのは15年くらい前だけど、40年前の創業当時から「こういう方向だよね」と、創業メンバーの間では共有できていたと思います。
実は最初からこれがミッションだと決めていたわけではなくて、コーポレートサイトをつくる際に、鈴木さんの文章を読んで、「これいいじゃん!」と思って私がミッションにしちゃった。文章の中の1文だから長いんですけどね(笑)。
岩楯
どういうところが「いい」と思われたんですか?
籔内社長
「普通にやればいいんだ」と思えたところです。当時は広告が全盛の時代で、コピーもアグレッシブなものが多かった。もちろんそれが悪いというわけでは決してないんですが。
やっぱり主役が相手であって、相手がいかに豊かで創造的になるか、ということを追求しているミッションなので。我々が主役として演じてみせるのではなくて、コミュニケーションする相手が主役、というところがとても心に響いたんですよね。
岩楯
コミュニケーションする相手というのは、実際に私たちがやっている仕事で言えば、ウェブサイトを訪れる人だったり、広報誌や雑誌を読む人だったりですよね。
籔内社長
それにお客様企業や我々自身もね。そして最終ゴールの主役はその最終顧客。
岩楯
なるほど。ミッションの解釈に多様性があっていい、とおっしゃっていたのは、相手にとっての「豊かな状態」がどういうものであるかを考えるところから私たちが一緒に手伝う、という余地を残したい思いがあるからなんですね。
籔内社長
手伝うというのもあるんですけれども、「ともに」という感じが強いですね。最終顧客にとっての「未来の豊か」な状態をともに定めるというイメージです。
河内
ある意味、昔からUXを意識していたんですね。
籔内社長
そうそう。だからアウトプットというのは必ずしも我々がやらなくていいんです。その相手自身がアウトプットする主役になったっていい。つまりプロセス重視なんです。相手が「豊かな状態」に向かっていくためのベクトルを我々がつくるという。
岩楯
創業当時は、教科書や百科事典、雑誌などの誌面デザインをされていたわけですが、目の前のアウトプットだけを考えるのではなく、最終顧客である「相手」がどうか、ということにすでに発想が向いていたのが興味深いです。
籔内社長
本の中には「コンテンツ」がありますよね。読む人はそのコンテンツから刺激を受けて、自分の価値観としてそれを取り込んでいる。だから深いわけです。表現というよりは蓄積に働きかけるというか。
河内
同じ本を読んでも、人によって捉え方が違うこととリンクしますね。その人がそれまでに培ってきた経験や考えが影響するので。
籔内社長
そうですね。私たちは、書籍のデザインから始めて、教科書、雑誌、広報ツール、ウェブサイトと、アウトプットするものの種類を広げてきているだけで、常に多様性のある相手自身に、豊かで美しく創造的になるプロセスを獲得してもらうためにすべきことを考える、というスタンスは創業当時も今も変わっていないんです。
岩楯
プロセス。
籔内社長
学びなんだと思います。言うならば「学びのプロセス」。たとえば、子どものときは1日1回机の前に座りましょう、といった習慣をつけて勉強しますよね。そういう、本を読む習慣やウェブサイトを見る習慣を学びという形で蓄積型の価値につなげていく。その蓄積された価値をどうアウトプットして生きていくのか、その一連の過程が「学びのプロセス」だと考えています。
河内
先ほどもおっしゃっていたように、いわば、読者や顧客の生き方自体がアウトプットなんですね。
籔内社長
そうです。表現者であるというか。コンテンツを読む前と読んだ後とで、たとえばその人の行動が変わった、というのもアウトプット。なにか「蓄積」を経て表れ出るもの、それが「アウトプット」なんです。
プロセスを成り立たせるためには、「シンキング」という要素も必要です。自分で考えるとか、同じ本を読んだ人同士で話し合うといったように、興味や関心について学び合うというのが「シンキング」。
岩楯
なるほど。コンテンツを通して蓄積して、その「蓄積」をもとに行動したり、その人自身が変化するのが「アウトプット」で、さらに深く考えたり人と共有したりするのが「シンキング」。その一連のサイクルが「学びのプロセス」で、その先にはその人にとっての「豊かで美しく創造的」な未来がある。そのプロセスを、関連する人とともに考えるということが、私たちAZグループのミッションなわけですね。
河内
本当に昔から、あくまでもエンドユーザーが主体なんですね。その人にどういう体験をしてほしいかということを念頭に置いたデザインというのを、40年前の創業当時からされていたのだと、お話を聞いて思いました。
籔内さん自身はどうしてそこに興味をもたれたんですか?
籔内社長
多分、私だけじゃなく創業メンバーたちもそうだと思うんですけれども、「学び的な生活」が好きだからかなと。それが楽しいと思えるんです。
ただ、学ぶこと自体が目的ではありません。表現というか、どういうふうにアウトプットしていくのか、という方に興味をもっているんです。絵を描いてみたり、運動してみたり。アウトプットするためには、学んだり訓練したりしないといけないので、そういうプロセス自体にすごく価値があると思ったんですよね。消費と蓄積のサイクルをどう回していくか。これからの社会に向けて、知恵や価値を蓄積しながら常に次の価値を見出していくというプロセスなんです。
「読む」ことは、実はそこまで入り込む行為なんですよね。
岩楯
蓄積とアウトプット、シンキングが大事なんですね。
籔内社長
そう。サイクルが重要。消費だけやっていると受け身になり過ぎてしまうと思うんです。より良く生きるためにはアウトプットをしないとね。
河内
受け身ではだめだというと、マインドセットの話にもなってきますね。積極的に情報をとりにいったりアウトプットしようと思えるように働きかける必要がありますよね。
籔内社長
それで思い出しましたが、コンセント取締役の吉田望さんの言葉に「動詞型生活者」(※1)というものがあります。吉田さんが電通総研時代に執筆したレポートのテーマなんですが、デジタル社会を目前にした当時の人たちに衝撃を与えました。
「動詞型生活者」というのは、河内さんが言ったみたいに、自分で動いて、情報をとりにいって、自分でアウトプットする人。シンキングしてアウトプットするという人がこれから生まれてくるぞ、というレポートだったんですが、いい社会だなと思ったのを覚えています。
※1 動詞型生活者……吉田望 執筆レポート『動詞型生活者の誕生 「探る」・「選ぶ」・「発する」・「関わる」——行動で創る新しい価値観」』(1995年「日本の潮流」)
http://www.nozomu.net/journal/doc/dousigata.pdf
岩楯
「動詞型生活者」! 興味深い言葉ですね。20年ほど前に語られていたというのもすごいです。
籔内社長
今はそれが大衆的な広がりを持ち始めて非常にやりやすくなってきていますよね。特にインターネットが普通になってからは、自分でリサーチして、シンキングして、共有したりして、より深く、新しい価値のところまでもっていって、アウトプットしてみるという一連のプロセスを回しやすい環境になってきたなと。
岩楯
私たちのミッションを考えると、「動詞型生活者」にはもちろん、そうじゃない人にも、より「動詞型」になれるようなプロセスを考えていくべきなのだと、とお話を聞いていて思いました。
籔内社長
我々が重視している「プロセス」には、いい意味で周囲を「巻き込む」ことが必要なんです。我々だけでなく、いろんな人や団体とコラボレーションすることで、やれることの可能性を最大限に広げていきたいと考えています。
多目的クリエイティブ・スペース「amu」(※2)はそうした考えを背景につくったんです。
※2 amu……人々の「知」をつくる場としてAZグループが運営する多目的クリエイティブ・スペース。さまざまなイベントを開催している。
http://www.a-m-u.jp/
岩楯
アウトプットの場としてでしょうか?
籔内社長
「amu」で実験的にやってみることがアウトプットの一つになることもありますが、シンキングに寄っているイベントもありますよね。つまり、必ずしもそこでアウトプットされたものを完成品として終わるのではなく、クリエイターや教育関係者、文化人の方々と「一緒にやりましょう」というきっかけになる、あくまでも「入り口」なんです。専門ジャンルをもつ人たちと一緒に活動することで、我々としては最終的にアウトプットまでもっていけるような一連のプロセスを提供していきたい。何か課題が生じたときに、他の人と協力し合ってアウトプットまでできるような人になるという。
岩楯
アウトプットというのは、言い換えれば「表現」ということですよね。
籔内社長
そう、「表れてくるもの」です。実はアウトプットには良い悪いはありません。以前よりもっと豊かで美しく創造的な生活が営める、ということが重要なので。「amu」では今後さらにグループ各社のイベントを活発化していきますが、グループ社員にはもちろん、一緒に活動をしてくれる方々、イベントに参加してくれる方々にも、「amu」を入り口にして自分たちの仲間をつくってほしいと思っています。最終ゴールである我々のミッションを一緒に実現するために。
籔内社長
ちょっと話が外れるんですけれど、ジョナス・メカスさんという、世界的に有名な映像作家とお話したことがあるんです。お会いしたのはニューヨーク、彼が94歳のときでした。
そのときの会話の中での、「一番豊かな状態というのは、歌って、踊って、お酒を飲んで楽しむことなんです」という彼の言葉が印象に残っていて。彼は突出した仕掛けをつくるような映画はあまり撮らない方で、日常の生活を記録したものこそが映像として一番価値がある、と考えている方なんですよね。
岩楯
日常の生活。ドキュメンタリーのような。
籔内社長
ドキュメンタリーもつくられたものがあったりするので(笑)。端的に言えばホームビデオですね。
メカスさんの作品に「365 DayProject 」(※3)という365日分の短編映像があって彼のウェブサイトでも見れるんですが、料理をしていたり、冷蔵庫に貼ってある詩を読んだりしてるんですよ、メカスさんが自分で撮って。つまり映像という形でアウトプットしているんですけれども、撮っているのは自分の生活なんですよね。それが本当のcreation の意味というか、アウトプットの仕方はそういう形でいいんだなと、あらためて考えさせられました。
※3 ジョナス・メカス「365 Day Project 」
http://jonasmekas.com/365/month.php?month=1
河内
今のお話と似ていたので思い出したのですが、『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(※4)という映画はご覧になりましたか?ビル・カニンガムさんはニューヨークで活動するファッション写真家なんですけど、ファッションの写真というと、ハイエンドファッションで固めたモードな、とてもつくられた世界という感じがするじゃないですか。
確かにニューヨークだから、素晴らしいファッションの人もいっぱいいて、もちろんそれはそれでよくて。でもビル・カニンガムさんは、何十年も自転車に乗って、パリの道路清掃員が制服にしているような青い上っ張りを着て街を行く——ストリートファッションを撮ってる、すごく自然体なおじいちゃんなんです。雨や雪が降っているときに、水たまりや泥を避けようとして飛び跳ねるような姿だったりという瞬間が一番おもしろいと思っていて。
ファッションモデルを撮っているわけじゃなくて、ごく普通の人が何かの考えでそのファッションを身につけて、ごく普通の生活をしているところを切り取っている人なんですよね。
※4『ビル・カニンガム&ニューヨーク』公式サイト
http://www.bcny.jp/
籔内社長
似てますね。その方が芸術的というか美しい。一生懸命生きている人が美しいという感じがあって、そこを一番大事にしたいところですね。他人と比べていい服を着ているとか、そういうことではなくて。
岩楯
籔内さんは、後に集合デンと合併したヘルベチカという会社を1988年に設立されましたが、当時はどのようなお仕事をされていたんですか?
籔内社長
取引先はファッション関係の企業が多く、企業広報ツールのお手伝いをしていました。誌面のデザインだけではなく、企画や編集部分、運営面の支援をしたり。お客様企業の担当の方々は当然ながら編集経験がない場合が多く、何をどう進めていけばいいかわからないという状況だったので、企業の方たち向けに「編集デザイン」をテーマにした1年間の教育プログラムをつくって教えたり、ということもしていました。
河内
企業向けの教育プログラムを、ヘルベチカ時代からされていたというのがすごいですね。
籔内社長
広報誌などの具体的なアウトプットをつくるというのも仕事としてもちろん大事なんですけれど、そこに関わる人たちが、どういうふうにプロセスを獲得できるかというのは非常に重要なんです。釣りで言えば、釣ってみせるんじゃなくて釣り方を教えるという。編集の専門家ではない人たちが、「編集デザイン」の能力を獲得してくれることがすごく嬉しいんですよね。企業だけでなく、大学や専門学校などでも教えていました。
広報誌って、伝わる状態にもっていくのが難しい。雑誌などと違って無料で提供するものだから、一方的なメッセージになりがちだなと思っていました。もっと、届ける「相手」側に立って相手に気づいてもらう、という視点で考えることが大切なんです。「気づかせてくれたのがこの会社」と相手に思ってもらえれば、「自分のために支援してくれる会社」というポジションから顧客との関係性をスタートできますよね。そして、その気づきがつながっていってさらに次の気づきがあるかもしれないと期待してもらえる。この会社があるから、自分の生活がより豊かになるかもしれない、美しくなるかもしれないと。
岩楯
顧客視点。コンセントが「伝える」ではなく「伝わる」を大事にしているのは、ミッションが基本思想として根底にあるんですね。あらためて感じました。伝わるものを一緒につくるプロ、という姿勢が大切なのだなと。
籔内社長
一緒につくっていく、ないしはお客様企業がつくれるという状態を我々がつくり出すというところですよね。お客様企業からのオーダーの向こうにあるのは、その会社のミッションを果たし未来をつくりたいという想い。そこを一緒に考えるところからスタートすることが大事。お客様企業の視点でその会社のミッションを考えると、お客様企業と最終顧客との長期的な関係をつくることが不可欠なので、それをどうつくるかを我々が一緒に考えていくべきなんです。その会社にとっての「伝わるしくみ」を考える。それが、最終的には我々のミッションにつながるわけです。本質的なところは、先ほどから話しているように「学びのプロセス」をどういうふうに相手に獲得させるか、だと思っているので。
今のコンセントを見ても、プロジェクトの中でワークショップのファシリテーターをやるのが当たり前になっていたりと、創業当時から我々が大事にしていたものが受け継がれているのが見えて、正しい方向に向かっているなと思っています。
ただ、もっともっとより良いアウトプットの仕方ということを研究する必要があります。たとえば教育機関と一緒に組むなどして、シンキングからアウトプットまで非常にいい形で獲得できるような設計ができるように。
岩楯
40周年という節目を迎えるにあたり、今後、どのようなことに取り組んでいきたいですか?
籔内社長
「学び」のジャンルにさらに力を入れていきたいと考えています。教育現場に対してのサービスを提供していきたいと。プロセスを獲得させることのできる先生を養成するとか、デジタル教科書教材を開発するとか。
デジタル教科書教材については、DiTT(デジタル教科書教材協議会)の理事を務めており、グループ各社の役員や社員とともに「編集デザイン」のノウハウを教育分野で活かすべく活動中です。先日、メディアでも取り上げていただきましたが、教材会社とコンセントとで共同開発したデジタル教科書コンテンツ「情報活用トレーニングノート」を用いた実際の教室での実証実験をはじめ、これまで我々が長年培ってきた編集デザインのプロセスの知見を、学びの環境に役立てていきたいんです。
岩楯
最近では、コンセントの取締役でもあるフィルムアート社編集長の津田広志さんによる、愛知大学での「編集デザイン」講義や、青山学院大学苅宿俊文研究室とAZグループとの共同研究による「学習コミュニティデザイン特論」科目のプログラム(※5)がありますね。
※5 青山学院大学苅宿俊文研究室とAZグループとの共同研究プログラム「“幸福”をめぐる選択——いま、なぜ幸せが問われる時代か?——」
(http://agu-az-2012.jp/)
籔内社長
そうですね。でも、対象としているのは学校だけじゃないんです。企業や商店街など、人が集まって未来をつくろうとしているところには、アウトプットまで含めた一連のプロセスを提供できると考えています。
学ぶ時期が20年間、働く時期が40年間という時間軸で分断されていなくて、「学び」は一生あるものだと思うんですよね。たとえば会社にも。
河内
生きていればずっと「学び」に触れるというわけですね。
籔内社長
たとえば、フィンランドでは52%が仕事に就いた後にまた学校に通うというデータがあるんですけど。52%ってすごい割合ですよね。
いったん社会に出て気づいたことを前提に、また学校へ行くと学び方が変わってくるし、獲得できるものも変わってくると思うんです。それが産業競争力につながっているというところもあるのではと。
そういった、一生学んでいくプロセスに我々としても関わっていきたいなと思っています。時間軸や空間軸といった領域的なところを取っ払った状態で何ができるか、ということを追求し続けていきたいんです。
河内
じゃあファッション事業をやりましょう! 私、パーソナルスタイリストでもあるんですが、ファッションってハウツーじゃなくてやっぱりプロセスなんです。その人がその人らしく、最大限よく見せることの実現だからファッション=アウトプットで、同時にシンキングも必要。多くの人は、服をどう着るかというプロセスを学んでないんですよね。再現性のあるところをプロセスにして、ある程度までは自分自身で考えられるフレームワークに落とせるのではと思うんです。フィルムアート社の哲学的な側面やビー・エヌ・エヌ新社の実務的な側面といったグループ各社のノウハウや、コンセントのデザイン思考プロセスを使って新しい学びにしたいんです。
籔内社長
なるほど、いいと思います。コンセントの役員会では男性が多いためか、どうも社会や価値観っていうシンキングの話に寄りがちで、なかなかアウトプットにいかなくて(笑)。
ファッションは普通の人の普段の生活の一部だから大事ですよね。あと私自身、もう一つ興味をもっているのは子どもの学びなんです。
河内
ママさんデザイナーと話す会などをやってもいいですよね。いろんなアイデアが出てきそう!
籔内社長
そうですね。そういう運動を一緒に盛り上げていきましょう。
岩楯
最後にコンセントの未来についてお話ができればと。どういう企業にしていきたいですか?
籔内社長
これまでは、お客様企業の土壌をどうつくるか、どう改良するかというところをサービスの中心にしてきて、それはそれでやり続けたいと思っているのですが、同時に、自分たちの土壌をつくりたいとも考えています。数社を束ねてAZグループとしてグループ化したのもそのためです、1社の力だけではできないと思っているので。
文化複合体であるAZグループという土壌の中で、河内さんが言ったようなファッションの事業をはじめ、いろんな事業を育てていきたいと思う。それこそAからZまで(笑)。
社員にはそういう事業をどんどんつくっていってほしいと思っています。私の方で土壌を準備するので。
岩楯
土壌というのは、いろんなサービスを提供できる下地という意味ですよね。
籔内社長
相手ブランドを支援する仕事もしながら自分のブランドもつくりますという。でも先にも言いましたがグループ内だけに限らず、周囲をどんどん巻き込んでいってほしいと思っています。そうすることによって、パートナーとして1社だけではできないサービスの提供が可能になるんじゃないかと。
河内
たとえばファッションだったら、アパレル企業のサービスに、コンセントのプロセス化した何かをくっつけて、彼らの商品を売れるようにする。同時に、コンセントとしては人々が毎日、着たいと思う服を上手に着られて、自信をもって心地よく豊かな気持ちで過ごせる、というところに喜びを見出す、みたいな。
籔内社長
そうですね。今期、コンセントとして自治的組織づくりを目指したのも、社員一人ひとりがこれまでの概念にとらわれずに、より柔軟な発想で自発的に動ける環境にするための土壌づくりでもあるわけです。
岩楯
ミッション実現のためなんですね。「ふつうの人々」にとっての「ふだんの情報生活」を「より豊かで美しく創造的に」にしたいというのが私たちのミッションで、社員一人ひとりがいつも心にとめて行動する、という。
籔内社長
ミッションがなければ、組織である必要ってあまりないので(笑)。
社員にはミッションについて考え、繰り返し繰り返し議論してほしい。なんのために我々はここに集まっているのか、常にこのことに向き合っていってほしいと思います。(おわり)
THE EDITOR’S NOTE
うちのミッションってほわんとしてて具体的につかみづらい。40 周年に便乗(?)して編集部特権でそんな自分の疑問に答えを見つけたい。そんな思いも抱えつつ、インタビューに臨みました。
「最終顧客が主役」「顧客自身がアウトプット」「日常生活の中にこそ価値がある」「アウトプットとは過去の知識や体験から表れ出る行動」「解釈には多様性があっていい」「一緒につくっていくもの」「周囲を巻き込む」…。
取材を進める中で籔内さんから発される言葉の数々を聞くうちに、どんどん雲が晴れていくような感じ。取材が終わったときには、ミッションへの理解が深まっただけではなく、あらためて共感しました。
蓄積してアウトプットして共有して、「嬉しい」「楽しい」と思えるルートを一緒につくる。最終顧客や一緒にやる人自身がそのルートづくり=プロセスを獲得できるように。
それを考え実現していくのが私たちのミッション。
手前味噌だけどいいミッション。取材直後の率直な感想です。
(サストコ編集部 岩楯ユカ)
普通の人が、必要な手段を獲得し、普通のことを自ら発信することには価値がある。そう感じたインタビューでした。
内容が決して大発明ではなくとも、発信することでその人自身が豊かさを感じ、発信した後のプロセスのなかで、自身が学び、静かに新しい何かが生まれ、次の活動につながって誰かを豊かにする可能性を秘めている。そこに寄り添い続けることを許容してくれるAZグループのミッション。
即効性のある何かの追求ではなく、体質改善のように土壌を作っていくところが私たちらしく、ある意味それ自体が私たち社員にとっての豊かさなのかもしれません。
「この目標に向かってがむしゃらにやれ!」ではなく、緩やかなミッションだけを共有し、その解釈や道筋のつけ方は一人ひとりが自由でいい。一見、バクっとしすぎているように見えるミッションも、実は、思考停止に陥らない装置として機能していたんですね。
(サストコ編集部 河内尚子)
◆Credits
Photos_Satoshi Nagare(Fuse Inc.)
Text_Yuka Iwadate
Edit_Kouji Aoki, Naoko Kawachi, Yuka Iwadate
Art direction & Design_Yasuki Honda
◆取材場所/多目的クリエイティブスペース「amu」
http://www.a-m-u.jp/
2014/01/21 16:53
第三回は、前回の記事で書いた、学習の効率化を目指す項目のふたつめ、「光の扱い」について説明します。今回もシンプルに!
対象物にあたる光と、それから出来る影、色の変化などによって、印象が変わります。そしてどうして印象を変えるか?その写真で伝えたいことを、より良く伝えたり、撮影者の撮影意図をより強調したりするためですね。
光の扱いについては、特にストロボライティングの話を聞いたことがある人は、難しいものと考えてしまうかもしれませんが、プロカメラマンとして独立したい、のような欲求が無いのであれば、そこまで深く学ぶ必要は無いと思います。もちろん、分かればわかるほど、細かくこだわりたくなる、というのが実際のところですが、学習のはじめから「こだわった方法論」を学ぶ必要は無いと思います。
スタジオで、ストロボライティングということになると、やはりどうしても「どういう光量で」「壁や天井の反射はどうする」等、機材をうまく使った技術になっていくので、難易度が上がります。
なので、むしろあまり制御が出来ない「晴天の太陽光下」から考えるほうが、「制御できないからアキラメがつく」という状況になり、結果、気をつけなければならない事は、基本事項に限られてくる、ということになってきます。
その基本事項とは…撮りたい対象物に光が当たる「方向」です。
まず、これだけで考えてみましょう。非常にシンプルな3種類でしかないのですが、普段「なんとなく」写真を撮っていると、あまり気にしないものです。それを気にするようにする…たったそれだけで変わります。
お昼頃の中目黒の町並みです。建物に均等に光があたって、町並みが良く見えます。区役所のサイトに載っていそうな写真で、情緒的な意図は感じられませんが、町並み自体は見やすい写真です。
夕方ごろおなじ場所から撮影しています。建物に横から光があたり、明るい壁と、暗い壁のコントラストが強くつき、立体感が強調されています。反面、暗い場所は見えにくくなります。太陽光が黄色い故に全体的に黄色っぽい写真となり、情緒的な写真になります。
これは早朝に同じ場所から撮影しています、太陽が画面内に入り、逆光となり、建物の壁面は暗くなり、屋根や壁のごく一部だけが強く光を反射しています。空と建物のコントラストは非常に強くなり、レンズ由来のフレアやゴーストが入り、ドラマチックな写真になります。
縮小して3枚並べてみました。同じ場所からの3枚ですが、こんなに印象が違います。
もうすこし小さい対象物で考えてみましょう。
上の例では、対象物が広範囲が故に、光の角度が違う写真を撮るためには、撮影時間を変えるという方法になってしまいますが、対象物が小さければ、自分が動き回れば光の角度を変えられます。
世田谷公園の噴水です。太陽の位置は、撮影者の後ろにあり、つまり噴水に対しては、おおむね正面から光が当たっています。噴水の形状が分かりやすく、説明用によさそうな見栄えです。
ちょっとまわりこんで、噴水に対して横から光が当たっている写真です。噴水の明るい面と暗い面がはっきりし、立体的な構造のものであることが良く分かる写真です。
噴水の後ろから光が当たっている、逆光の写真です。噴水の表面は暗くなり、表面の模様などは見えにくくなりますが、水が白く光って写ったり、レンズ由来のフレアやゴーストが入り、ドラマチックな写真になります。
同じ時間に、噴水の周りをまわりながら撮った3枚ですが、かなり印象や伝わる情報が違いますよね。噴水前で待ち合わせ、というときに相手に送る写真は1枚目のほうがよさそうですし、噴水が立体的な石の構造物であることを説明したいなら2枚目、自分のブログに日記として掲載するのは3枚目かもしれません。
羽根の柔らかさを感じやすいのは、前からの光でしょうか。横から光が当たっていると、太陽熱の暖かさでリラックスしているようにも見えます。光がうしろから当たる逆光だと、鳥の姿は見づらくなり、逆に、水面の面白さが目立っている感じがあります。
こちらは前から/後ろからの2枚だけですが、前から光が当たっている写真は平坦な印象を受けます。植物の写真は、前からの光で撮ると、図鑑的になります。光がうしろから当たる逆光だと、葉の立体感と、色が強調されます。
まずはとにかく、前から・横から・後ろから、を意識して光の角度を考えれば良いのです。もちろん、慣れてくれば、徐々にもっと細かく角度を考えていけばよいのです。
これ、知っているだけで、ずっと良い写真を撮れますよ。試してみてください。
以上、正月も唐揚げ!アートディレクターの横地でした。
【関連記事】
⇒Photoshop補正講座〜ヒストグラムとレベル補正とトーンカーブ〜
【“仕事に使う写真を自分で撮ってみよう”シリーズ記事】
⇒第一回:まずはカメラを買ってみる。
⇒第二回:美人に目を奪われて、大事なこと忘れていませんか?
⇒第三回:光を扱う力が…欲しいか?
⇒第四回:時よ止まれ!「ザ・ワールド」!!
⇒第五回:ボケにツッコんで学習する
⇒第六回:ビューティフル・ホワイトニング
2014/01/10 12:33
突然ですが、なんとサストコを本にしてみましたー!
中身は、2013年7月公開の特集『人間の中にある「編集デザイン」』。
インタビューさせていただいた、創業役員の鈴木誠一郎さんへのお礼の品としてつくりました。
今日はこの本について書きますー。
「インタビュー協力のお礼に、Webコンテンツを本にして贈りたい」
取材当日に鈴木さんの考え方や体験談などいろんなお話をお聞かせくださったのをはじめ、プレ取材に3時間お付き合いいただいたり、撮影でもADやすきちのデザインコンセプトに沿ったアイデアをくださったり。原稿校正では「あ、そういう視点が大事なんだ」と表現の大切さを学ばせていただいたり。
そんな鈴木さんに、なにかお礼がしたい。
コンセントの前身となる会社を創業し、40年にわたり「編集デザイン」に向き合ってこられた方。
深い知識のベースにある、お読みになられた本の数は計り知れない。
あらたな発見があるかも、とインタビューを楽しみにしてくださっていた。
もし発見があったら。思考が整理できたと思ってくださっていたら。
インタビューを本にしてお渡ししたら喜んでくださるかも。
そう思いついたのが、この贈呈本をつくったきっかけです。
本にして贈りたいなーと考えついたものの、ぶっちゃけ、最初は外部の会社に依頼して作ってもらおうと思ってました。だって私、自分じゃ本を作れないし。。。
まずは、「私一人でやった特集ではないし、サストコ編集メンバーに話して参加者も募ろう」と、河内チビラーシカちゃん、エロ編 青木さん、ADやすきちに相談メールを送ったところ…!
と、ありがたくって力強い返信が!
さらに、
おお!!! 装丁家とな?! 麻由美さん、素敵ー!!!!!
早速、麻由美さんにご相談したところ、
「少しでも素敵な贈り物になりますようお手伝いをさせて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします」
と快諾のお言葉をいただきました!
デザインはやすきちがやってくれるし、製本を麻由美さんにやっていただけたら、コンセントメンバーでつくる愛情たっぷりな本ができてきっと鈴木さんは喜んでくださるに違いない。
素敵な本になりそう。
今回、麻由美さんには相談から完成まで、ほんっとーに本当にお世話になりました!!
手作り本をつくるのは初めての私たちに、丁寧な説明とたくさんのアドバイス。
見返しや花布といった造本に必要なパーツの説明から、紙の目や強度などのお話まで。
見本も見せていただきながらの打ち合わせはわかりやすかったです。
やすきちが表紙のデザイン案をつくってくれ、表紙や本文に使いたい素材のイメージを伝えると、それぞれいくつか候補を選定してくださる。それに面付や印刷のアドバイスも。
こうしたアドバイスの数々はとても助かるし、あらためて本作りの勉強になりました。
麻由美さん、本当にありがとうございました!
本づくりに関する記事や写真がアップされている麻由美さんのブログもぜひ読んでみてくださいね!
本好きの方は必読です!!
⇒造本デザイナー 中村麻由美さんブログ
今回の贈呈本づくりのデザインは、新規ではなく「サストコで既に公開しているデザインをベースに本としてデザインし直す」こと。
「表紙は新規でデザインしてもらうことになっちゃうけど、本文は用紙サイズに合わせて微調整でいけるかな」…なんて思ってたのですが。…いやいや、そんな簡単なものじゃないですよね(汗)。ごめん! やすきち。
本というサイズが固定されたものとして、読みやすいフォントサイズと余白があらたに設計され、小見出しの位置調整なんかもやってくれました。
そうそう、気づきましたか?!
今回、鈴木さんにお贈りした本は「縦開き」なんです。そして片ページのみの印刷。
これは、
というやすきちの考えによるもの。
確かに、サストコの特集は、1ページ1ページ、見てるウィンドウ内でページが切り替わるという、言って見れば紙芝居的なもの。
横に開いたり、両方のページを読むことになると視線の動きが変わるわけだから、紙芝居的な動きを考えて設計されたデザインでは、読みづらかったり意図したことが変わってしまうんですよね。
やすきちの考え方、勉強になる。
昨年夏にWebで公開したときももちろん嬉しかったのですが、本という触れられる物体として完成したものを手に取ると、なんとも言えない独特な嬉しさでいっぱいになりました。また違う喜びがあるんですね。
ここで後悔。2册つくって自分たちの手元にもおけるようにしておけば良かった(泣)!!
いや、そこは本来の目的をあらためて考えて。可愛い子どもを嫁に出す気持ちで。
2013年12月、AZグループ忘年会の場で、鈴木さんに受け取っていただきました。
インタビュー記事だけを本にするんじゃなくて、なにかプラスでできないかなと思い、コンセントをはじめ、AZグループ各社の役員やスタッフに感想文を依頼。巻末におさめました。
麻由美さん、やすきち、エロ編 青木さん、河内チビラーシカちゃんはじめ、たくさんの人の協力を得てつくることができた、世界にたった一冊の本。
自分たちでつくることができて、直接お渡しできて、喜ぶお顔を見ることができて、感慨深かった。
ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。
2013/12/24 16:10
こんにちは。旅するパーソナルスタイリスト、河内チビラーシカです。
何日か前にハワイから帰ってきました。
さて、今日は12月初旬にお邪魔したWACOAL LOVE MODE GALLERYについてご紹介します。
※本記事は、私のパーソナルスタイリスト用ブログに掲載したものを一部抜粋掲載しています。
コンセントおしゃれ行脚の相棒、やすきちからの、男性から見たインナーウェアについてのコメントもあるよー。
いつも仕事で大変お世話になっている、ワコールさんからご招待いただいて、12月6日(金)にWACOAL LOVE MODE GALLERYに行ってきました。
ワコールというと、ブラジャーをはじめとする女性下着ブランドというイメージが最も強いと思いますが、最近ではCW-Xとかクロスウォーカーとか、スポーツウェアタイプのメンズ下着もよく見かけるようになって、進化し続ける老舗、という印象があります。
「生活とアートの融合」をコンセプトに、ギャラリーや雑貨ショップ、レストランなどを展開している、南青山にある複合文化施設「SPIRAL」も、実はワコールのグループ会社による運営ですね。
さて、今回お伺いしたイベント。
商品の展示会かな…ぐらいに思っていたら大間違い!
単に来シーズン商品の展示というのではなく、文化的、アート的な側面の強いものでした。
Beyond下着!下着はモード!という感じ。
だからといって完全なアート作品というわけではなく、春夏コレクションの商品が使われていて、リアルさがあります。
招待ゲストのみのクローズドなイベントなのがもったいないぐらいに、追求度、完成度が高く、展示数は決して多くないものの見ごたえがありました。そして、ランジェリー作品の展示にあわせて、その作品を表現するスウィーツとのコラボレーションもあり、目でも舌でも楽しめるという贅沢仕様。
iPhoneしか持っていなかったのが残念!でも、素敵だったのでご紹介。
会場を入ってすぐ目に飛び込んできたのがこちら。
モヒートっぽい味の、でも色は薄いピンク色のシャンパンのような、でもノンアルコールという、おしゃれなウェルカムドリンクに気を取られていたせいで、一枚に収めた写真を撮り忘れました…(汗)
黒のマットなマネキンは特注(これに限らず会場にある全てのマネキンがスペシャルオーダーだそう!)。レースの繊細さと大胆さが映えます。
使われているランジェリーは、Trefleのブラとショーツ、STUDIO FIVEのキャミとショーツだそうです。
そして、この作品を表現したのがこちらのスウィーツ。
ランジェリーの色にそれぞれ合わせた、オレンジとピスタチオがのったガトーショコラ。滴るようにかかったチョコレートがちょっと妖艶。
会場入ってすぐに、そのファッション(ランジェリーとジュエリー)が醸しだす華やかな雰囲気を感じて、「わぁ!青山のPRADAでやっていたグレート・ギャッツビー展みたい!」とつい口に出したところ、「グレート・ギャッツビーをテーマにした作品もありますよ」と説明していただいたのがこちら。
映画『華麗なるギャッツビー』は、1920年代のニューヨークを舞台にした作品で、豪華な衣装もとても話題になりましたね。こちらの展示は床いっぱいに大小さまざまなガラス玉が敷き詰められ、映画のなかの煌びやかなダンスシーンを思い出させます。映画のなかではたくさんのヘッドドレスも使われていたけれど、こちらのマネキンもヘアアクセサリーをつけています。黒のレースのランジェリーを身につけたマネキンの表情、メイクも凛としていますね。それにしても、足を組んだマネキンは、足の交差部分の肉の盛り上がりといい、もうとってもリアルで怖いぐらいです!
使われているランジェリーはTrefleのキャミとショーツ、STUDIO FIVEのブラとショーツ。
せっかくなので、初夏に開催されていたPRADAでの展示の写真も載せておきましょう。
さて、この黒のレースの作品に呼応するスウィーツは、フルーツシャンパンのジュレ。
ジュレで艶やかに輝くフルーツがまるで宝石みたいですね!シュワシュワと弾けるシャンパンジュレとフルーツを最初に少しいただき、その後シャンパンを注いでもらいます。飲み口がシュガーのスノースタイルになっていて、シャンパンを飲み干す最後まで楽しめる計算になっています。
「アミ」「光」「透け」を効果的に使ったフレッシュで元気さの感じられる肌見せスタイル。
今年の春夏もモダンフューチャリズムやライトな傾向があって、トランスペアレント素材や光物っぽいディテールをよく見かけましたね。来年も、軽さやほどよく肩の力が抜けたようなエフォートレスな空気が続行するようです。だからといってラクちんな格好とか、気楽に肌見せというムードよりは、透ける素材やネットのようなアイテムとあわせて奥行き感が出せると良さそう。
この展示の右のマネキンは、大きめのラインストーンが胸元から腕にかけてあしらわれたビニール素材の上着を着ていてプレイフル!ちなみに、この透明な上着はデザイナーさん自ら作られた1点ものなんですって!WOW!
そしてこの深いピンクのような色も注目(私が個人的に勝手にだけども)!
ちょうど、このイベントの前日か前々日だったか、国際的なカラーのオーソリティであるPantoneから2014年のオフィシャルカラーが「Radiant Orchid」というアナウンスがありました。
完全に同じ色とは言いがたいけれど、Pantoneの発表を受けて、ファッション系のサイトなんかでは、まさにこの展示で使われているような色のアイテムを押しているところもあり、けっこうタイムリー!
使われているランジェリーはどちらも、STUDIO FIVEのブラとショーツ。
スウィーツもご紹介。ポップでキュートなマカロンです。
ラズベリー、ブラックベリー、ゆず、チョコだったかな。
ウェディング系の展示も2つ!ため息がでちゃうぐらい素敵ですね。
1つ目は、ウェディングドレスのなかを覗くような作品。ブラとショーツが商品なわけですが、ジュエリーやロンググローブ(こちらもデザイナーさん手作り!)、パニエのボーン(ワイヤー)部分(こちらも手作りだそう!)があるせいかイヤラシさが全くなく、露出高いのにとても清純に見えますね。
そして2つ目がこちら。
ミニスリップなのに、オーガンジー(あー、シフォンかなー)のベールと合わせると、途端にミニドレス風に見えてウェディングでも「アリ!」と感じてしまう不思議さ。
使われているランジェリーはTrefleのブラとショーツ、STUDIO FIVEのブラとショーツとスリップ。
ウェディングらしいスウィーツも!
ウェディングブーケに見立てたバタークリームやラズベリージャム、ホワイトチョコ。
最後まで美味しい!
ちょうど、書いたばかりの記事「Prêt-à-Portea: Fashionista’s afternoon tea in London」もそうだけど、ファッションとスウィーツのコラボって、よくよく考えたらけっこうありますね。
何年か前に招待してもらったCELINEのイベントでも、Laduréeのケータリングが入っていたし、ちょっと前に行った六本木ヒルズのLOUIS VUITTONの秋冬コレクションのプレビューイベントでも、シャンパンとケーキのおもてなしだったし。
そして、LOUIS VUITTONといえば、まさに、ランジェリー!
2013年の秋冬コレクションが、センシュアルで、退廃的なムードも漂わせる、ランジェリーを思わせるようなドレスにマニッシュなコートをあわせたテイストミックスが印象的で、実際に(ケーキを食べながら見ていた)ヴィトンのショップでも、なめらかなスリップドレスにファーを合わせていたり…と、一瞬ドキッとするようなコーディネートも。
優雅さとリラックス感を兼ね備えた、レースが使われたスリップドレスなんかは、もしかしたら来期のトレンドにも合うのかもしれないですね。
この会場からクロークまでの廊下に展示されたボディアート作品も素敵だったし、たくさんのお土産もあって、また最初から最後まで社員の方がアテンドしてくださって、おもてなし感いっぱいのイベントでした。
やすきちです。
チビラーシカも言っている通り、青山スパイラルの経営母体ってワコールさんなんですよね。
これ僕は恥ずかしながら最近知りました。
エントランス付近のスペースに、僕がデザインを担当している雑誌『Tarzan』ではすっかりお馴染みの機能性タイツ「CW-X」の常設ブースがあり、気になって調べたら判明したわけです。
インナーウエアと言えども、ファッションブランドが街に溶け込んで、ファッションのみならず、アートやカルチャーと融合させたカタチで、ライフスタイルを提案していくっていう、かつてからパルコ(ファッションブランドではないですが……)が先駆的に行ってきたような形態は、もはやスタンダードになっているような気がします。
そういう観点で、今回の展示を見ると、繊細な表現はもちろんですが、作品の世界観を表現しているスイーツとのコラボレーションが個人的には興味深いです。
ワコールさんの「AMPHI」というラインのイベントで、知人のお菓子作家micarina(http://www.
ところで、ファッションアイテムの1つとしてインナーウエアを捉えてみると、男の人は楽しむ範囲がとても狭いように感じます。
近年ではショートパンツにレギンスやタイツを合わせるコーディネートは一般化してきているように思えますが、それでも女の人のそれに比べたらやはり狭いですよね。
余談ですが、元メジャーリーガーの新庄剛志さんは毎日新品のパンツを穿き、一度穿いたら捨ててしまうそうです。
(信じるか信じないかはあなた次第です!)
女の人は気分を纏うという目的のほかに、その上に着るアイテムの素材や色や形状に左右される機能的な面との兼ね合いもあるんでしょうねきっと。
チビラーシカそのあたりどう?
わぁ!!またボールが戻ってきた!
チビラーシカです。
まさにそうですよ!!着る服によってこの下着はOK、これはダメ!ってことがありますね。
洋服の生地の厚さや色、襟ぐりや背中の空き具合などから、刺繍やレースがゴージャスな下着やダークカラーの下着だと洋服に響いてしまうから着れないとか、そもそも下着が見えてしまうから着れないとか。
そういうわけで、翌日着る服をなんとなく思い浮かべておかないと、お風呂上がりにどのショーツにしようかなー、というのが決めれないこともしばしば。下着も上下を揃えて着ることが多いので、洋服に影響が出るのがブラだけだとしても、セットになっているショーツは履けなくなるというわけですね。
あとは、洋服をきれいに着るために下着が大事、というのもあります。サイズの合っていない下着だと、スタイルが悪く見えてしまうこともあるので。
このLOVE MODE GALLERYの展示の後、来春の新商品がズラーッと並ぶプレスルーム的なところでガーターベルト(靴下止め)のセットアップも見てきましたが、これも、夏にストッキングを履かなければいけないような時には涼しそうで機能面でもデザイン的にもよさそうです。実は一度もガーターベルトを身に付けたことがないので、来年はチャレンジしてみようかなーなんて思いながら帰ってきました。
下着ってとてもプライベートなものなので、大々的に誰かと話をすることもなかなかなく、案外いろんなことを知らないなーと思うのですが、ワコールさんのサイトには面白いコンテンツもいっぱいあるので、参考にしてみるのもいいかもしれませんね。
⇒ ワコール
それから、前述のワコールさんのボディアート作品の方はウェブサイトでも見れるので、こちらもぜひ見てみてください。2014年のワコールカレンダー用の作品のようですが、メイキングを見ることができますよ。
2013/12/03 17:28
「めんどくさい事は全部抜きにして、とにかく上手く撮れる方法をすぐ教えろ、三行以内で教えろ」
大概の人はそう考えているんじゃないかなと思います。
奇麗な写真を撮る方法が、沢山書かれている本というのは、いろいろ発行されていますし、Webサイトも沢山ありますが、とにかく項目数が多く、その目次を見ただけで、あきらめてしまう人も多いと思います。実際、知っていた方が良い事というのは沢山あるのですが、かといって、初めから全部知っておく必要は無いわけです、が、では、優先的にどこから学んでおくべきか、というのが、皆が知りたいことであると思います。
・構図
・光の扱い
・絞りとシャッター速度の効果
おおざっぱに分けると、学ばなければならないことは、この3つになってくると思います。もちろん、この3項目内でも細分化されるわけですが、学習の枠としてこの3つがある、と思っておけば学習計画は立てやすくなるほか、それぞれの項目内でも、優先非優先がありますので、優先される内容のみ、知ってしまえば、かなり早く学習が終了します。
・背景の扱い方
前回の記事で、APS-Cの一眼レフを買ってみましょうと提案しましたが、この手の一眼レフは、背景をぼかして、主となる被写体を浮き上がらせるような撮り方が簡単に出来ます。一眼レフを買ってすぐやってみたい表現も、そういう表現になってくると思います。
全体にピントが合っている、パンフォーカス写真の構図は、乱暴に言うならば、絵画と同じで、絵画を描くときのノウハウが通用します。なので、特に美術系学校に通っていたり卒業した人は、特に新しく学ぶことは、あまりありません。
しかし、一眼レフ特有の「背景がボケた写真」は、絵画では、技術的には可能なものの、あまり見かけない表現で、そのため、知識技術の流用がきかないため、写真のためにちょっとした新しい知識が必要になってきます。しかし、ポイントを押さえてしまえば、なんだ、それだけか、というような話です。
写真1は、なんだかダメな例です。背景に柵が写っていて、うるさいですね。デッサン人形を使っているので、ダメな感じがよくわかると思います。
これが美人女性モデルだったりすると、そちらに目が奪われて、背景のダメな感じに気が回らないのです。
写真SNSなんかで流れてくる写真でも、メイン被写体が花であったり、美人女性や、コスプレキャラクターであったり、車であったりして、メイン被写体は奇麗に撮れているものの、背景のことをすっかり忘れてる、ってのはよく見かけます。趣味レベルであれば、自分が納得してればそれでいいのですが、仕事として撮って、本やWebに掲載するのであれば、背景にも気を使いたいところです。
とりあえず同じ構図のまま、後ろをぼかしてみると、いくらか背景のうるささは緩和されるものの、まだいまいちですね。
立ち位置を変えました。背景に川の風景、紅葉をちらっと入れてみました。また、上げている手のあたりに、光のきらきらした玉ボケが入るようにしてみました。それから、奥行きがある構図にしてみました。このほうがいいですよね。
背景をさらにボカしてみました。モデルのデッサン人形が、さらに引き立っています。ただし、背景に何が写っているかは、判別しにくくなります。これは前の写真と比べてどちらが良い悪いではなく、表現したい内容の問題です。どこで撮ったか、というのも見せたい場合は、うしろはあまりボケていないほうがいいですし、どこで撮ったかが、あまり重要ではない場合、うしろをしっかりボカしてしまって良いわけです。
これが背景だけの写真です。検討過程でこれだけで撮ってみて、じっくり考えてみるのも良いかと思います。
写真3、4のような構図を考える過程で、
・モデルは画面のどの位置に配置し、どのようなポーズをとらせるか。
・背景はどのような構図とするか。
というのを個別に考えた上で、そのふたつをどのように組み合わせるか、という検討をしています。背景はボケてしまうから関係ないでしょ、と思わないようにすることが重要です。
これも同じような検討過程を経て撮った写真です。左奥にお店があるのですが、これがいくらか見える程度のボカシ具合で撮っています。また、背景を右に向かって奥行きがある構図としています。モデルのデッサン人形は、左の、あいている空間のほうを見るような格好にしています。茶色のパイプがなければ、もっと良かったかもしれません。
つまり、背景と、メイン被写体を別レイヤーとして考え、個別に検討してから撮るとよい、ということです。これ、知っているだけで、ずっと良い写真を撮れますよ。試してみてください。
以上、唐揚げ大好きアートディレクターの横地でした。
【関連記事】
⇒Photoshop補正講座〜ヒストグラムとレベル補正とトーンカーブ〜
【“仕事に使う写真を自分で撮ってみよう”シリーズ記事】
⇒第一回:まずはカメラを買ってみる。
⇒第二回:美人に目を奪われて、大事なこと忘れていませんか?
⇒第三回:光を扱う力が…欲しいか?
⇒第四回:時よ止まれ!「ザ・ワールド」!!
⇒第五回:ボケにツッコんで学習する
⇒第六回:ビューティフル・ホワイトニング
2013/11/29 12:17
◆Special Contents
デザイナーの素 〜今の私を構成する体験〜
◆コンセント世界行脚
Vol. 013 |HCD-Net Tour in San Francisco
◆勝手に伝わるしくみ
勝手に014| 伝わる選挙?
勝手に015 | 進化する筆記具
2013/11/13 18:38
こんにちは。旅するパーソナルスタイリスト、河内チビラーシカです。
サストコ内にある『コンセント世界行脚』のデザインをしてくれている、デザイナーの本多康規君(通称:やすきち)と、この度「コンセントおしゃれ行脚」というコンテンツを作るべくユニットを結成しました。
なので、今回は急遽「コンセントおしゃれ行脚」vol. 1として、やすきちとともにお送りします!
さて、本題。
台風が来たり、1日の気温差が激しかったりと色々ですが、ともかく涼しくなり(むしろ今週から突然寒くなり)、おしゃれの季節がやっと到来。
毎日ウキウキしますね!
私自身は正直それほどトレンドを追いかけるタイプではないのですが、とはいえ今季とても目に付くトレンドといえば、チェック。特に千鳥格子とタータンはかなり盛り上がっているようです。
その2つに限らずチェックは定番の柄でもあるので、特にトレンドを意識せずとも身に付けているケースは多いかもしれませんね。
社内をざーっと見回してみてもこんなにたくさん!
頑張って探さなくても、すれ違う人、すれ違う人、チェック。といっても過言ではないほどいっぱいいて、ご紹介できたのはごく一部です。
同じチェックといっても、いろんなアイテム、色、柄がありますね!
写真撮影や被写体にご協力いただいたみなさんありがとうございます。
さて、冒頭にも書きましたが、チェックってとても身近な柄なので、世の中の多くの人が、案外意識せずに普段のコーディネートに取り入れています。それゆえ(?)、特にチェックのシャツに関しては、理系オタクのユニフォーム的に揶揄されることがあったりもしますね。
例えばこれ。
NAVERまとめ|大学生この服装多すぎ! Twitterで話題【ファッション】
http://matome.naver.jp/odai/2136239953823462101
じゃー、チェックのシャツっていうのは理系っぽい、オタクっぽいアイテムなのか?
もちろん、そんなことはありません。
社内のチェックな人々の写真を見ても、必ずしもみんな理系のオタクにみえるわけではないでしょう?
要は他のアイテムとの合わせ方や着こなし、サイズ感がキーなんです。
逆に言えば、「今季のトレンドだからチェックのもの身に付けてればお洒落なはず!」ということも残念ながらありません。
でも、ファッションに興味がない人や自信がない人にとっては、「そうは言われても何を気をつけたらいいかさっぱり分からない」というところだと思います。
そこで、相棒のやすきちに、事例を見せてもらうことにしました。
こんなチェック柄のシャツを題材にスタイリングを3つ組んで、それぞれ説明してもらいましたよ。
◆スタイリング1つめ
セットアップの崩しとして。
個人的にはチェックはカジュアルダウンとしての使い方。
スニーカーも同じく。
他のアイテムをシンプルにすることでチェックシャツを主役に。
緑は黒と合わせるとやや重くなるので、セットアップはライトグレーにしてみました。
◆スタイリング2つめ
ベタにアメカジ風。
パーカーとの相性は抜群。同系色の黄緑にすることで上品にまとまる。
パーカーはジャストサイズじゃないと野暮ったく見えるので注意。
ドラマ『リーガル・ハイ』でガッキーも同じ色の組み合わせをしていましたが、黄緑 × ベージュは今とても旬なのだ。きっと。笑
インナーとしてシャツを着回したいのなら、ワンサイズ大きいものを購入すべし。
そうすることで、裾や袖から適度にチラ見せして、ワンランク上のレイヤードを実践できる。
どれくらいの幅を出すのがちょうどいいのかはこちら(↓)の写真を参照。
足下はカジュアルになり過ぎないためにブーツインでスタイリッシュに。
◆スタイリング3つめ
一枚でさらっとチノパンと合わせてもかわいい。
パンツのシルエットはスキニーでもダボダボでもなく、ルーズテーパードが気分。袖はロールアップしてこなれた感じを演出。やや物足りないと感じたら小物のブレスウォッチでアクセント。
ここからはチェックについて一言物申す!って感じで、やすきちからの追加コメントです。
チェックって個人的にはとても難しいアイテム。
もうちょっとさっぱりとした外見だったらきっと似合うだろうに。ボーダーもしかり。
だから柄を選ぶときにはとても慎重になります。
あと、チェックを着こなすポイントとしては、その分量かな。
上記で示した通り見える部分の量をあの手この手でコントロールすることが、チェックを攻略するポイントかなって思うんですよね。
たとえば、総丈のチェックパンツがおしゃれに見えにくいのはそのせい。
やっぱり分量としてオーバーなんですよね。
そういう意味でも女の子はうらやましい。
膝丈くらいのチェックスカートや、さらりと羽織るチェックのストールは、分量としてはちょうどいいなって思う。
ボーダー、ドット、と並ぶ普遍的な王道柄のなかでの位置づけとして捉えてみると、チェックは一番取っ付きやすい気がします。
ボーダーやドットは、ピッチや目の大きさで多少の印象の差異はあるけれど、柄の種類で考えたらこんなに多様性のあるものはないかなって。
だから、自分に似合うチェック柄ってきっとあると思うし、それを見つけられたら着こなしの幅もぐっと広がるのだ。
スタイリングのところで、チェックはカジュアルダウンとしての用途が大きいっていったけど、もう一つ気になる使い方はトラッド。
僕が愛用しているダッフルコートやピーコートの裏地も実はチェック。これは完全にカジュアルではなくトラッドな雰囲気を狙ってる。
個人的には女の子は、例えばブラックウォッチのプリーツやショートパンツに、白のシャツやグレーのシンプルニットを合わせてたりなんとするとぐっと着ます。足下はドレスシューズでもブーツでもかわいいですけど、黒がきっとベスト。
やすきち、ありがとう。女の子にも参考になるコメントがいっぱいありましたね!
さて、人にやらせてばかりで批評家になるのもビミョーなので、一応私の事例もご紹介しておきましょう。
◆スタイリング1つめ
この日は、夜、長谷川さんの登壇同行でschooへ。schooは学校がコンセプトのオンライン生中継無料授業サービスです。長谷川さんは「先生」と呼ばれ、視聴者は「受講生」と呼ばれます。というわけで私もスクールガール風で行くことにしました。
⇒ schooでの長谷川さんの授業「いま、UXについて世界の最先端で起こっていることを学ぶ」(録画)も見てね!
カシミアのケーブルパッチクルーセーターに、ベージュのスウェード調生地のトラペーズスカート、チャコールグレーのタイツに、ポッテリとしたグレーと黒のサドルシューズ。そしてグレーのベレーとバーバリーチェックのストール。
インにした白シャツは、コンパクト目の襟を立てて首周りに立体感と明るさを加えています。袖口にも白をさすようにして少し軽さも。ポイントは素材感や色。もうアラフォーなのでそれなりに上質な素材のものを取り入れないと、単に若作りしてるおばさんになってしまいます。ウールのバーバリーのマフラーだと「ザ・高校生」になってしまいますが、このスタイリングで使ったストールはカシミヤ。そして伝統的なバーバリーチェックの裏面はなんとアニマル柄。ちょっと大人の余裕的なものを見せるのも良いかと。色も控えめに。
ちなみに、赤と緑と黒が使われるようなチェックもスクールガールっぽさも出るかなと思うけど、かなり計算しないと大人には正直厳しい。もちろん、そういう色のチェックを大人が着ちゃだめ!ということはなくて、ロックテイストに寄せてハードさを出すとか、シルエットにこだわってモード感を出すとか、そういう風に考えることはできるかなと思います。
◆スタイリング2つめ
先日、やすきちと話していた時に「河内さんは、スクールガール風だったら(スタイリング1つめのでもいいけど)ミニスカートとかもっと若い感じのチェックでも似合うんじゃないですかね」と言われたので、早速トライ!
キャメルカラーのウール素材のスペンサージャケットに、アイボリーの前立てフリルスタンドカラーのブラウス、ブラウンの箱ひだ(ボックスプリーツ)ミニスカ、ブラウンのレースアップブーツにブラウンのタイツ、そして黒エナメルのつばのついたグレーのニットキャップ。
全体的には茶系でまとめて色数も抑えたので、若さ炸裂な印象にはなっていないはず。チェックのミニスカでも色が深く、またタイツとあわせているので30代女性でもまぁ着れるかなというところ。このスカートを買ったのは10年も前で、まだピチピチだった時だけど(遠い目…)。
スカートのチェックは、全体の印象としては、シルバーのラインで格子の切られた大きなグラフチェックのようだけど、グラフの目のなかをよく見ると、ハウンドトゥースかガンクラブチェックにも見えます。
帽子はキャメルカラーか黒のベレーにしようかとも思ったけど、このスタイリングにドハマリしすぎるので、スカートに入っているメタル素材のシルバーとのつながりを取って、グレーのニットキャップを選び少しハズしました。
スペンサージャケットやキャップのディテールなどから少しブリティッシュテイストに感じられるかも。
繰り返しになりますが、チェックはこれだけたくさんの色や柄があるにも関わらず、身近でもあるゆえ、没個性にもなりがちです。
没個性が悪いわけではないけれど、(特にコンセントのメンバーは)せっかくデザイン会社にいるのだし、もっともっと自分らしさを追求した着こなしを楽しんでみたらいいと思います。
何も新しいチェックのシャツを買え、と言っているのではありません。
「いつもだったらこうやって着ちゃうけど、今日はこうやって着てみようかな?」と、毎朝着替える時に工夫するクセをつけてみるんです。
この記事の前半でご紹介した、社内のみんなのチェックをもう一度見てみてください。
ある人はボタンを2つ3つ外していたり、ある人は袖口をまくっていたり。ある人はジャケットのインにして視線を集める工夫をしていたり、ある人は羽織りとして機能的に使っていたり。事例には入らなかったけど、腰に巻くのもありますよね。腰回りをカバーできるだけでなく、全体のシルエットにリズムが生まれます。
とはいえ、それが必ずしも自分に似合うとは限りません。人それぞれ体型も年齢も顔立ちも違いますしね。
やすきちは179cmも身長があって細身です。紹介してくれたスタイリングは彼だからこそ似合うという面もあるかもしれません。
ちなみに私は149cmしかありません。(肌年齢はさておき)比較的童顔で小柄なので年の割にはスクールガール風がわりとハマるというのも現実です。
自分の特徴(短所も長所も)を意識して、自分に似合う、むしろほかの人にはできない、そんな着こなしを探すつもりで、朝の着替えをするのも楽しいですよ。
ところで、さんざんチェックについて触れてきましたが、そもそもチェックをはじめ、柄物って着たことなくて敷居が高い!と思ってる人もいるかもしれませんね。
その時はやすきちのコメントを思い出してください。分量のコントロールです。体の大きな面積を占めるジャケットやシャツには抵抗があっても、ストールやネクタイ、ポケットチーフなど小物からだったらトライしやすいかもしれませんよ。
そして、またまた繰り返しになりますが、あくまで「このアイテムだからお洒落」「このブランドを着てればOK」ってこともありません。
デザインする時と同じで全体観を持つことが大事。そこが難しさでもあるのですが、お洒落に興味や関心がない人でも、ある一定レベルまでお洒落になることは可能です。なぜなら、普段の仕事でやっているデザインと考え方が概ね同じだからです。そのことについてはまたいつか詳しく。
これからますます寒くなって、重ねるアイテムも増えてきます。
ぜひぜひ、楽しいおしゃれ生活を!
最後に、「コンセントおしゃれ行脚」では、「こんなテーマやアイテムを取り上げて欲しい!」というリクエストも受け付けてます!
(受け付けてることにしたけどいいよね、やすきち?)
ぜひぜひ、私かやすきちまで直接、あるいはFacebookのサストコページまで〜。