Naoko Kawachi
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Naoko Kawachi

広報担当、旅するパーソナルスタイリストのチビラーシカです。
さて、みなさん、昨晩の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」(テレビ東京)はご覧になったでしょうか??

なんとコンセントが出ていたのですよー!
代表取締役の一人、うえさんがテレビ取材を受けて、その模様が放送されました。

コンセントでは2年ほど前から、デジタル教科書・教材の実証実験に参加していて、子どもの情報リテラシー教育のための教材「情報活用トレーニングノート」を、岐阜聖徳学園大学の石原先生や株式会社文渓堂と一緒に開発しています。

詳しくはこちらを!
小学校におけるデジタル教材の実証実験の報告

17日(土)の日経新聞朝刊にそのことが掲載されたのに引き続き、今回はテレビ取材の話が舞い込んできました。

同じ代表取締役のはせがわさんと比べると、レアキャラ度が高いうえさん。
そのうえさんが、いきなりテレビデビュー!Wow!

しかも、取材は放送の数時間前、放送日の夕方。

コンセントの会議室に取材クルーの方がお見えになり、うえさんと、ディレクターの愛ちゃんから、「情報活用トレーニングノート」サービスの概要をご説明したり、デモをお見せしたりしました。

それにしても愛ちゃんのテキパキとした受け答え、そして話し方はまるで学校の先生のようです。
…と思っていたら、愛ちゃんって実は教員免許持ってるんですね。このプロジェクトにはまさに適任じゃないか!
今、愛ちゃんのプロフィールを見てて初めて知りました。

って、話が逸れましたが、撮影していると思うと、たちまち緊張してしまいますね。

めったに緊張することがない(と思われる)うえさんも、昨日ばかりは、とっても緊張していたように見えました。
何が緊張するかって、何でも簡潔に一言で言わなきゃいけないっていうところなんですよ!

当たり前といえば当たり前ですが、普段の何気ない会話では、思いつく順番に話していて、無意識に都度補足したり曖昧な言い方をしたりしていて、案外一言で言い切っていない。だから、意識して一文でうまく言おうとすると、何かを言い忘れたり、言う順番がちょっと違ってしまうことで途端にかんでしまったり。本当に難しい!

レポーターの方ってほんとすごいんだなと改めて思いました。

そして、すごいといえば、取材クルーの方々です!
テレビ取材に不慣れな我々を相手に、必要な情報を手際よく聞き出し、どんな絵が必要か、どんなコメントをどれぐらいの長さでとれたらわかりやすく説得力があるか、そういうことを瞬時に考え構成しているようです。

取材しながらも、その時点で、放送時のテロップの文量や見せ方までもがすでに頭のなかに絵としてできあがっているんですね、きっと。

取材に立ち会った私は、そのプロの仕事を間近に見ることができ、終始感動してました!

約3時間の取材対応を終え、ちょっとホッとしたのもつかの間、本当に放送されるのかだんだん不安になってきました。

帰宅して、テレビの前にスタンバイ。

放送時間の頃、我が家のあたりでは稲妻が光り、空がゴロゴロ鳴っていたので、「突然停電になってテレビが映らなくなったらどうしよう」という別の不安も加わって、めちゃくちゃドキドキしました。

コンセント以前に働いていたいくつかの会社でも、テレビ取材や放送は何度か経験してきたにも関わらず、今回のドキドキ具合は自分史上最高ですw

オフィスエントランスのロゴや、うえさんが喋ってる様子が映った時には、「やったー!」と思いました。
約2分間にわたってコンセントの取り組みを取り上げていただけたのは、本当に嬉しい!

ちなみに、取材立ち会いだけの予定が、デモをお見せする際にちょっと協力することになり、取材対応したうえさんや、愛ちゃんだけでなく、ユカリンや私も一瞬テレビに出ました。エヘッ。

「実はWBS放映時間には、まだ仕事してて…」
「その時間、飲み会で家にいなかったんだよね」
って方も大丈夫です。

しばらくの間は、オンラインでも放映内容をご覧いただけます!
ぜひ見てみてくださーい。

WBSニュース「子どものネット教育 活発に」

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」
(毎週月曜日〜金曜日 夜11時〜放送中)

Miki Tsutsui
Author:
Miki Tsutsui

こんにちは。あまりの暑さに仕事しながらのアイスがやめられない、デザイナー筒井です。

まだ涼しかった7月の末、「Pictathon」というイベントに参加してきたので、今日はそのレポートをお届けします!

ピクタソンって?

プログラマたちが1日とかの短期間でソフトフェアを開発しちゃうイベント、ハッカソン(Hack+Marathon)からヒントを得て、プランナーのカズワタベさん、『たのしいインフォグラフィック入門(BNN新社・刊)』著者であり、ブログ「ビジュアルシンキング」主宰である櫻田潤さんのお2人が主催されたピクトグラムのイベントです。ピクタソン(Pictgram+Marathon)の名の通り、デザイナーたちはその場で出された「お題」に対して、最短30分、長くても1時間程度でピクトグラムを作成。かつ、待ち時間にはビール片手に参加者同士でピクトグラム談義までできちゃうというステキ仕様。イベントでは練習問題→予選→決勝とバトルが行われ、優勝商品であるiPad miniをかけて火花を散らします。

さて、突然ですがここで問題です

以下のピクトグラムを作成してみてください。

  • 「夏休み」
  • 「日本/アメリカ/フランス」or「水族館/美術館/動物園」
  • 「保存/削除/ホーム」
    ※ただしそれぞれ「フロッピーディスク/ゴミ箱/家」は使用してはならない

……アイデアが浮かびましたか?

それぞれ上から、練習問題、予選、決勝で出題されたお題でした。
比較的なじみのあるテーマとはいえ、いざコレを30~45分で作るとなるとなかなか大変。

決勝戦以外は手書きで仕上げることがルールでもあったため、終了5分前ともなると血相を変えたデザイナーたちが黙って鉛筆を走らせる音が会場に響き渡ります。

決勝戦のなんかもう、なんと意地の悪い(!)手応えのあるお題なんでしょう!

決勝戦のようす。既存モチーフNG条件に四苦八苦。

……とまあ、出題者を恨めしく思いつつもなんとか時間内に完成。

決勝戦では得票数同じで2人が並び、追加投票をしても決着がつかず。最後はじゃんけん決戦に持ち込まれ、結果なんと私が、同時優勝&iPadminiゲットしました。わーい!

モチーフ選び

ピクトグラムが面白いのは、モチーフ選びがとても重要なところだと思います。たとえ普段イラストなんて描いたことのない人であっても、モチーフ選びが的確だったら、上手な絵よりもピクトグラムとしては「良い」モノになりえる訳で…。

「上手いなー!」と思わず関心してしまうモチーフがたくさん出て来て刺激になりました。

動物オンリーよりも、柵をつけたほうが「動物園」っぽい

柵なのか檻なのか、それが問題だ。 がんじがらめに囲うと、「動物園」よりも「猛獣注意」といった怖い印象に近づく

ボールとお立ち台をつければ「こいつぁ絶対野性じゃないぜ…!」と分かる

また、使われる条件を細かく想定せずにピクトグラムを作る、という経験も新鮮でした。たとえば「水族館/美術館/動物園」のお題が出たとき、主催者の方からはこう説明がありました。「魚を描くだけだと、水族館じゃなくて魚のアイコンにしかならない。動物園も、ただ動物を描くだけだと動物のアイコンになってしまう。そこをどう表現するのかがポイントです」。

でも、このアイコンがたとえば「夏休みのオススメスポット」を特集した雑誌やウェブサイト、アプリなどで使われるものだとしたらどうでしょうか?

あらかじめ「このアイコンは、施設の種類を表しているんだな」と分かった上で見るとしたら?

むしろ魚だけといった、シンプルなモチーフの方が適しているかもしれません。

これが「動物園/水族館/美術館」のベストアイコンになる場合もあるわけで

クライアントワークの場合は、「受け手が既に分かっている情報」もコミでモチーフを選ぶことの方が多い気がします。「使われる文脈」×「アイコンの合わせ技」を使うことに慣れすぎていたというか……。

そういう意味でも、「予備知識ゼロ状態で『動物園』だと分かるようにするために、必要な最低限のモチーフはなんだろう?」と頭を切り替えてアイコンを作るのは、とても新鮮で楽しいものでした。

実際にどんなピクトグラムをデザインしたかは、櫻田潤さんのブログ「ビジュアルシンキング」でのレポートで取り上げられているので、そちらもぜひご覧ください。

⇒ ピクタソン イベントレポート
http://www.visualthinking.jp/archives/16128

おわりに

たった1時間足らず、鉛筆と白い紙を前にして、ピクトグラムを考えてみる。それだけで普段の仕事で無意識にやっていたことを、見つめ直す良い機会になったと思います。

しかも昼間っからお酒飲んでピザ食べて、いろんなバックグラウンドを持つ他の参加者さんとデザイン談義をして、幸運なことに賞品までゲット!してしまうという、なんとも嬉しい1日となりました。

ピクタソンで優勝し、iPad miniをいただきました。

今回始まったばかりのイベント、ピクタソン。デザインに関する知識を得るだけなら本やウェブサイトでも簡単にできますが、あえてひとつの場に集まって、わいわいがやがやデザインを楽しむのって、なんだかとても気持ちがよかった。

興味をもたれた方、第2回にぜひ参加してみてください。第2回は秋頃開催予定だそうですよー!

【関連情報】
ピクタソン公式サイト
http://pictathon.org/

ピクタソン イベントレポート
http://www.visualthinking.jp/archives/16128

『たのしい インフォグラフィック入門』(櫻田潤・著/BNN新社・刊)
http://www.bnn.co.jp/books/title_index/design/post_197.html

yutaka sekiguchi
Author:
yutaka sekiguchi

こんにちはー。さいきん何でも屋になりつつあり、もはや何デザイナーなのかわかりません。関口です。

今回は、夏コミも終わり…アツいデザイン生活(謎)を送っている方もそうでない方も必読の、主にデザイナーさん向けのTipsをご紹介します。

さて、みなさん、「InDesign」使っていますか? エディトリアルデザイナーのみなさんにはおなじみの、日本語組版・ページレイアウトソフトです。最近はデジタルコンテンツの制作もできるようになってきました。

使っていると職種問わずなぜかみんな大好きになってしまうという愛され系、InDesign。

そんなInDesignですが、command + Fの「検索置換」というべんり機能、活用していますか?

大量にページを作ってしまった後の全体のデザイン調整、特定のパーツの洗い出し、半自動でスタイルを当てる、フォーマット作成でラクをする…いろいろなことができます。この記事を読んで「使ってみようかな…」と思ったグラフィックデザイナー・ウェブデザイナーのみなさんはぜひ!夏休みの自由研究にどうぞ!!! (熱)

 


初級編:文字を置き換え&スタイル付けであれやこれや

「検索置換」というだけあって、文字列を検索して、それを違う文字列に置換するのが基本機能です。

文字列「猛暑」を検索→文字列「酷暑」へ置換

でもInDesignはそれだけじゃないんです。
検索と置換をするときに、同時にいろいろな操作を加えることができるんです。

文字列「猛」→文字列「酷」の置換に任意の操作(ここでは書体の変更&文字色の変更)を追加

こんな感じ。

では実際に操作画面を見ていきましょう。今回はちょっと先進ぶって、InDesign CCでお届けしますよ! (まだCS3も現役ばりばり稼働中ですけどね!!!)

command + Fでいつでもどこでも出てきてくれる頼もしいやつ。検索置換くん。

テキストの入力フィールド:
操作する文字列を入れるところ。上が検索する文字、下が置き換える文字のエリア。

検索:
検索する範囲を決めるところ。
現在選択している範囲、ドキュメント全体、すべてのドキュメント(同時に開いている全てのファイル!)など、いろいろな範囲で実行できます。並んでいるアイコンもオプションです。一気に操作するときもちいい・・・。
※大量に置換したときは、実行後、不意なミスが起きていないかの目視確認が大切ですね!

検索形式と置換形式:
ここがいちばんの注目ポイントです。
「検索形式」フィールド右上のむしめがねマークをクリック。スタイル、色や線、書式などの設定項目をひとつずつトリガーにして検索が可能!
「置換形式」でも同様に設定ができるので、例えばスタイルなしの状態に、特定の文字スタイルを当て込む、などが可能に!

むしめがねのボタンをクリック。文字/段落スタイルを選んだり…

スタイルで設定できることはすべて、直接ここで指定できる!

そう、これが強力なんです。

色を変える、書体を変える、文字詰めを変える、段落スタイルや文字スタイルを適用する…。様々な操作をここで加えることができます。例えば、同じ文字列のまま検索→置換して、その置換形式に文字スタイルを設定しておけば、特定の文字種に装飾を反映し、後からスタイルとして柔軟に編集管理するなど…。

ああ、なんて素敵なんですか。もう離れられない。

字形/オブジェクト/文字種でも変換できる!:
もちろん、字形を「字形パレット」のUIやグリフコードから検索置換したり、オブジェクトを設定項目から検索置換・オブジェクトスタイルを適用したり、文字種(全角英数を半角英数とか)でも検索置換できます。
※もっと詳細な原稿整形はJedit Xがおすすめです。

字形パレットと同じUIや、グリフのIDを直接指定する入力フィールドから文字種を検索したり…

 

オブジェクトそのものも検索OK。オブジェクトスタイルに設定できることはすべてトリガーに。Altテキストまで検索対象!

エディトリアルデザイナーの敵、組版ルールに沿わない全角・半角も一括指定OK。

 


初級編:特殊文字の検索置換であれやこれや

文字列を入力するときに、ふつうには入力できない「特殊文字」も指定できます。
入力フィールド右の「@」ボタンをクリックすると…。

これを見ただけでインデ使いにはもうヤバい感じがぷんぷんしてきますね。。。アレもコレも検索し放題。宝の山ですよー!

例えば、「TM」という文字列をひとつずつ検索・確認しながら、任意で「商標記号」に置換する、なんて作業もあっという間ですね。もちろん一発ですべてを置換するのもOKです。

 


応用編:フォーマット作成に応用してみてあれやこれや

でもこの機能、単純作業の効率化ばかりではないんです。もうちょっと柔軟に使うことで、デザインの検討にもとっても役立ちます。

そんなわけで、この検索置換機能を使った、目次・索引用デザインフォーマットの制作例をご紹介しましょう。(もっといい使い方があったら教えてください!)

これが完成イメージです。一般的な目次・索引ですね。

1:ベースとなるテキストを用意。テキストボックスに流しこむ。
書式を設定し、「段落スタイル」として設定しておく。

はじめにスタイルにしておけば、データを作りこんでしまっても、あとでデザインの検討がしやすくなります。

2:テキストを整形します。
各項目の行末に、「右インデントタブ」とノンブル数字のダミー「00」を入力。「細いスペース」はこの後効いてきます…。

謎の特殊文字たちは「@」ボタンから選べます。

「段落の終わり」→「細いスペース+右インデントタブ+細いスペース+00+段落の終わり」と検索置換。一発でOKです。

「すべて置換」で一気に整形。

ああ…気持ちいい………(0.5秒)。
テキスト整形はこれでおわり。

3:ノンブルと項目名を結ぶリーダー罫をつくります。
新規文字スタイル「リーダー罫」作成。内容はとりあえず空でOK。

「右インデントタブ」→「右インデントタブ」と検索置換。置換形式に、さっき作った文字スタイル「リーダー罫」を設定。

右インデントタブはここ。

こうすると、文字はそのままでスタイルが適用されるわけです。

4:こんどはノンブル部分をつくります。
新規文字スタイル「ノンブル数字」作成。ここも内容は空でOK。

「00」→「00」と検索置換。置換形式に、作ったばかりの文字スタイル「ノンブル数字」を設定します。

これも一瞬。

下準備はこれで終了です。あとは楽しいところだけ。

5:ここからはデザインの作り込み。
文字スタイル「リーダー罫」の設定を開きます。「打ち消し線設定」でドット罫に。ここで色も専用のスウォッチにしておくと後で変更がラクラク。

打ち消し線を使うか下線を使うかで思想がわかれますね(謎)

6:こんどはノンブル部分の作り込みです。
文字スタイル「ノンブル数字」の設定を開き、書体を変更。ウエイトをBold、カーニングをゼロ、トラッキング160、OpenType設定で等幅オールドスタイル数字に。

楽しい。楽しいぞ!!!

7:全体を整えたら、完成!

…と言っても、慣れていればここまで5分。

いったんこの段階まで作ってしまえば、あとはデザインの微調整を心ゆくまで詰められます。
文字/段落スタイルとスウォッチをいじるだけで目の前のレイアウトがサクサク変わっていく様は最高ですよね。

シアワセ・・・。

 


オマケ:正規表現と正規表現スタイルであれやこれや

そして、「正規表現」というものがInDesignでも使えるようになっているんですが、ご存知ですか?

“正規表現という半角英数のメタ文字でルールをパターン化して記述することで特定条件での文字列検索ができ、なおかつそれを段落スタイル内に「正規表現スタイル」として登録することで自動で文字スタイルを適用できる。これで書式がヌケモレなく反映されるように…”

ってわかりませんね。僕もわかりません。

要は、

  •  「段落先頭に“青木”か“川崎”という文字があるときは、その文字だけ太く色文字に、“長谷川”は別の色(=鼎談用)」
  •   「文中に半角英数が続く時(英単語)、そこだけ詰めをゼロにする(=欧文が詰まる問題解消)」
  •   「パーレンの間に入ってくる文字を80%縮小、特定の役物は除く(=凝った書籍フォーマットもラクラク)」

…といったことが可能になる超便利機能です。
しかも、いちど設定したらあとは自動。原稿が全差し替えになっても、どれだけ大量でも、完璧に反映! 魔法みたいだ!

「段落スタイル」の設定項目の中にひっそりとたたずむ「正規表現スタイル」。ここから新規文字スタイルを直接作りこんでしまうことも可能。

正規表現スタイルは、「段落スタイル」ダイアログのなかをよく見ると、あります。段落スタイルを設定した部分に対して反映される機能なんですね。
よく使う「文字カラー」よりも上にあるこの「正規表現スタイル」。ここから「新規作成」すると、どんな条件のときにどんなスタイルを当てるかのパターンを決められます。もちろん複数組み合わせもOK。

このフィールドに「正規表現」を直接入力するか、右のプルダウンから選択してパターンを組み立てていく。

ここが問題の「正規表現」を入力するエリア。
でもご心配なく。右端にあるボタンからプルダウンでひとつずつ正規表現を入れていくこともできるので、超基本的なところからはじめられます。

僕もたまにしか使わないので、使いこなしている方、ぜひ教えてください!

参考URL:InDesign CS3 正規表現一覧

 


まとめ

やたら長くなりましたが…。

検索置換のような「自動っぽい機能」って敬遠しがちなんですが、ほんのちょっと理解してみるだけで、日々の仕事がものすごくストレスフリーになりますよね。強力にオペレーション作業の効率化ができますし、なによりGUIがこなれているので、サクサクと使っていけば、デザイン検討をすすめる助けにもなるんです。

プロとして、手早く正確に作業。
そして、とにかくイメージをはやくアウトプットして、検討し、また調整して精度を上げていく。そのサイクルをどんどん回す。アウトプットの「決定力」を高める。
これってまさしくプロトタイピング的な発想ですね(お、それっぽくなったぞ)。

  •  びっくりするほど効率化
  •   デザイン検討にも使える
  •   なんかきもちいい

「検索置換」、僕も勉強中の機能なので、ぜひみなさんも使ってみて、もっといい使い方があれば教えてください!

さて。
次回は弊社内で「アプリマスター」と呼ばれているヤマちゃんが何やら教えてくれるようなので、みなさん期待しましょう!

それでは、また。

サストコ
Author:
サストコ

※本記事は、2013年7月26日公開のサストコ「FEATURE ARTICLES 12 人間の中にある『編集デザイン』」のテキスト版です。

コンセントが所属するAZグループの持株会社AZホールディングスの元取締役会長 鈴木誠一郎さん。昨年退職された田中晃二さんとともに「集合デン」を1971年に創業、この6月をもって定年退職されました。
40年以上、「編集デザイン」に取り組まれてきた方。鈴木さんの考える「編集デザイン」って何だろう?

 

「“編集デザイン”は汎用性の高いテーマ。
人は誰でも、瞬間ごとに世界を“編集、デザイン”しながら生きている」

 

そして出てきた「バイクレース」「連句」「ガールズトーク」(!)といったトピックの数々。一見なんの関係性もなさそうなのに、鈴木さんの話を聞くと共通点が見えてくる。そしてそれは、自分の興味分野や仕事にも共通して言えることだったりして、つながりが広がっていく。
鈴木さん独自の「編集」を通すと物事はどう見えているのかをひも解きながら、人と「編集デザイン」の関係を考えてみます。


鈴木誠一郎さんのプロフィールページ

《CONTENTS》
PROLOGUE  人間は瞬間ごとに世界を編集しながら生きている
■面白いこと自体を素直に追求する
CHAPTER 1 バイクレース × 鈴木誠一郎
■頭を使わない訓練
■高いテンションと冷静さ。「自分の土俵」づくり
■競い合いながらも、「1つのレース」として成り立たせる
■得意なものを広げていって、最後に不得意なところを潰す
CHAPTER 2 連句 × 鈴木誠一郎
■的確な判断を瞬間的にやる「捌(さば)き手」
■インプットされたものから自由になる
■予定調和ではないコントロール
■受け手が「穴」を埋める構造
CHAPTER 3 ガールズトーク × 鈴木誠一郎
■発見のネタが無数に転がる「ディテール」
■人間のコミュニケーションはそれ自体が目的
■ガールズトークは人間のコミュニケーションの本質
■直感的な判断と理屈での分析
CHAPTER 4 ページの編集デザイン × 鈴木誠一郎
■時間的な自覚が必要
■不易流行と時間的な広がり
■意図しきれない成功

THE CHIEF EDITOR’S NOTE
《Long Interview with Seiichiro Suzuki》


PROLOGUE 人間は瞬間ごとに世界を編集しながら生きている

■面白いこと自体を素直に追求する

青木 今日の取材準備として先日お話をうかがったときに、「編集デザイン」をテーマにしていたはずが、バイクレースや連句、ガールズトークといったお話が出てきて面白いと感じました。一見、何の関連ももたないこれらのトピックがなぜ「編集デザイン」というキーワードから展開して出てきたのかということも考えながら、今日は一つひとつについてお話を聞いていきたいと思います。

鈴木 われわれが仕事としてやっている「編集デザイン」はその可能性の一部にすぎなくて、もっと一般性が高いと思っている。人間って誰でも瞬間ごとに世界を編集しながら生きている、あるいは世界をデザインしながら対処しているっていうところがあるから、何だって「編集デザイン」につながらないわけはないんだよね。「これ、面白そうだな」って興味をもったこと全てが、その人の中の「何か」でつながっているはず。
何をやるかについて「こういうことの役に立てよう」ということをあまり考え過ぎると、それ自体が自分の手かせ足かせになることがある。むしろ、自分の直感に従った方がうまくはまる。それ自体に集中して追求しないと、一番貴重なものを見つけ損なうんじゃないかなって思うんだよね。

青木 頭でっかちに考えるんじゃなく、感覚的に気になることが大事なんですね。

鈴木 気になることは、自分にとって必ず何か意味があることだと思うからね。発見っていうのは何かを発見しようと思ってそのとおりに発見したら、それは発見とは言えない。すごく大事なものが目の前に転がってきたときにそれに気づく能力を高めることが、一番大事なことだと思うんだ。
たとえば、われわれの仕事で言えば、「編集デザイン」を現在ある仕事の枠組みだけで捉えて考えるとビジネスモデルが限定されてしまう。でも本当はもっと広がりがあるはず。その未知の可能性を発見するには、まずいろんなことをやってみないとわからない。だから「編集デザインのために」ではなくて、「自分自身にとって、面白そう」って思うことがすごく大事なんだよね。ただ、全然違うことをやっているつもりが、結局仕事と同じようなことをやっていたということもあるよ、私は割と多いんだけど。でもそれはあくまで結果でしかない。
あれこれ考えずに面白くて達成感がありそうって思えることを素直に追求してる方が、モチベーションは高いしパフォーマンスも絶対上がると思うんだ。

 


CHAPTER 1 バイクレース × 鈴木誠一郎

■頭を使わない訓練

青木 鈴木さんが直感に従って始めたことの一つにロードレースがあるんですよね。いつから興味をもたれたんですか?

鈴木 最初にロードレースをやったのは35歳のときだったかな。初優勝できるまでには4年ぐらいかかったよ。
そもそもバイクに乗り始めたのは30歳か31歳ぐらいで、ツーリングしたり林道や山道をオフロードバイク(※1)で走ったりしてたんだけど、やってるうちにだんだんエスカレートしてきて、バイク雑誌のデザインの仕事をやり始めたんだよね。忙しくてバイクで遊ぶ時間がなくなったりということもあったけれど(笑)、仕事をやっていたおかげで、日本でも素人のバイクレースを盛り上げようという動きが始まった頃に、それに関わって、当然のように自分もレースをやるようになった。

※1 オフロードバイク:舗装路外を走ることを主目的としたオートバイ。(「デジタル大辞泉」より)

青木 どんな練習をされるんですか?

鈴木 ロードレースでは複雑な状況判断を瞬間的にやらなきゃいけないんだよね、路面状況がどんどん変わるから。途中で雨が降ったりということもあるし、前のレースで誰かが転んでオイルをこぼすと、おがくずを撒いて掃除するものの、トラクションが悪くなったりして。そういう環境で、しかもすごいスピードの中で競い合うわけだから、かなり複雑な状況判断になる。頭で考えてる余裕は全然なくて、常に体で状況を感じていて、何かあったときにも体で反応するっていうふうにしないと間に合わない。すごくレベルの高い話だから、私なんかがそんなことを言うのはおこがましいんだけれども。頭の回転はスピードに限度があるから、感覚でインプットされたものを頭の中で処理して、それをアウトプットして返してたんじゃ遅すぎる。複雑な状況に反射的に対応する、要するに頭を使わない訓練が必要。

青木 頭を使わない……、難しいですね。

鈴木 もちろん、頭で考えていろんなことをやるんだけれども、それを考えずにできるように練習するって感じかな。

青木 練習でいろんな状況を経験して体に染み込ませておいて、レースで同じ状況になったら、同じ状況だということを体で感じて、あのときこうだったと体で返すということですかね?

鈴木 ただ、既に経験した状況に確実に対応するだけじゃなくて、経験したことのない状況にも対応できるようにならないとだめなんだと思う。全く同じ状況なんて再現されないからね。

青木 振り返ったらできるようになってた、ぐらいの感じですかね?

鈴木 あるいはその場になったらできたというか。一種の極限状況なんだよね。「火事場の馬鹿力」の連続みたいな。そういう極限状況を体験できたっていう意味では、ものすごく貴重な経験だった。日常だと経験できない、あの緊張感と終わった後の達成感ってものすごい。特に初優勝したときのことは、今でもまざまざと体感がよみがえることがある。

「バイク雑誌のファッションページのモデルをやったときの写真。この撮影で着た赤いセーターをもらったんだけど、今でもまだ持ってるよ」


#1 頭で考えない世界の入口
#2 翻訳料でモトクロッサーを購入

 

■高いテンションと冷静さ。「自分の土俵」づくり

青木 優勝したときって、どんな感覚なんですか?

鈴木 一種の神がかった状態をつくるんだけれども。でも神がかり過ぎちゃうと、現実から遊離してパーッと飛び出しちゃうわけだよ。プロのレーサーでもハイになり過ぎちゃうとだめらしくて、あまりにも絶好調なときって転倒したり失敗するみたい。テンションが高い一方で、ものすごく冷静になってなきゃいけない。そういう状態に自分をもっていく訓練も大事なんだと思う。
走り始めたら考えちゃだめなんだけれども、走るまではいろんなことを考えなきゃいけない。たとえば、レースまでにバイクをつくったり整備したり、勝つために練習をしていろいろ積み重ねるんだけれど、みんな同じようなことをやってるわけじゃない? なんで私が優勝できたかっていうと、共通の土俵に乗らずに、みんなと違う自分だけの土俵をうまくつくれたからだと思う。

青木 自分だけの土俵?

鈴木 たとえば、コーナリング技術とかパワーとか、みんな似たようなところで競い合ってるわけじゃない? だから、誰も追求していないような穴になっているものを見つけて、それをうまく追求できると勝てる。
私の場合は、あるレギュレーションの250ccクラスのレースに200ccのバイクで出るという作戦を考えてね。ほとんどの人は公道も走れる250ccの市販バイクを改造したレーサーで出るんだけれど、200ccなら、125ccのレース専用モデルの車体に、レギュレーションに合致するエンジンを乗せられることがわかった。エンジンも、200ccでも、オフロードレース用のエンジンのパーツを使って、パワーもさほど250cc市販エンジンに遜色のないものをつくれる方法があった。それを、プロに頼んで完璧に作ってもらった。つまり、パワーを少しだけ犠牲にすると、他に較べて軽いし操縦性が圧倒的に優れたバイクができる。市販車とレース専用モデルってそこが全然違うから。
なぜその作戦を考えたかっていうと、当時ホームコースみたいにしていた宮城県の菅生サーキットが、比較的単純なスピードコースだったのが改修されて、両端に細かいカーブと上がり下がりがあるようなテクニカルコースに変わったということがあってね。私のバイクはその両端のグチャグチャしたところ(=インフィールド)ではダントツに早いわけ。1周目の最初のインフィールドでトップに出たんだけど、そのレースにはものすごくパワフルなバイクが1台いて、私はインフィールドで抜くけれど、裏のストレートとゴールライン前の最後の登りストレートで必ず抜き返されるっていう展開が3周ぐらい続いてたんだ。少しずつ差はつまってたけど、最後までそのままの展開だと向こうの勝ち。だけどバイク乗りってコーナーで抜かれるのがすごく嫌なんだよね、下手だっていう感じがしちゃうから。で、4周目に、その1台が裏のインフィールドでまたこちらが抜きそうになったときに、無理をして転倒してくれた。それで勝てたわけ。

青木 それが同じ土俵に乗らないで穴を探したということなんですね。

鈴木 うん、そのバイクではその後もたしか2回優勝できた。

「実は自分でレースに出てるときの写真ってあんまりないんだよね。ロードレースはスピードが速いから、走ってるところを撮るのは結構難しくて、素人写真ではたいていぶれたり流れたりしちゃう」

 

■競い合いながらも、「1つのレース」として成り立たせる

青木 鈴木さんが「すごい!」と思えるのはどんなレースですか?

鈴木 ぶっちぎりのレースって面白くない。抜きつ抜かれつの方が面白いと思う。でもなにより、「駆け引き」が見えるレースが面白いよね。
すごく高いレベルの国際レースだと、たとえば125ccクラスはパワーがないからお互いを利用しつつ走るわけ。トップで走ってるバイクのすぐ後ろにつくと空気抵抗が減るからパワーをセーブできるし、その勢いを利用してパッと前に出るっていうことをやる。だけど、あんまり長く後ろについていると風が当たらないからエンジンがオーバーヒートしてだめなんだよ。お互いに駆け引きし合ってるみたいな感じ。そうして抜きつ抜かれつしながら、最後にうまく自分が1番で抜けるようにもっていくという、ものすごく微妙なことをやってる。競輪も似てるけどね。

青木 マラソンもどこでラストスパートをかけるかとか。駆け引きは見ていて面白いですよね。

鈴木 やっている方もその方が面白いしね。みんな競い合うライバルなんだけれども、1つのレースとして成り立たせるみたいな意識ってあると思う。レースに限らず、製造業の現場だったり、この後に話す連句も同じだけど、日本という国は共同ですごくレベルの高い追及をするということが、文化として根付いてる気がするよ。


#3 スローモーションの中の人

 

■得意なものを広げていって、最後に不得意なところを潰す

鈴木 サーキットで練習してると、苦手なコーナーとか得意なコーナーとかが出てくるんだよね。苦手なコーナーをどうやって速く走るかっていう問題意識で練習しがちなんだけれど、それをやると、逆にどんどんタイムが悪くなっちゃう。
コーナーって入るところから出るところまでつながっていて、出たところは次のコーナーに向かっているわけで、全部ひとつなぎにつながっている。自分の体のくせや何かとの関係で苦手になるべき理由はあるわけじゃない?それを何とかしようと思っても、苦手なものはやっぱり苦手だから、そこに意識を集中するとますますトータルのタイムが悪くなっちゃうわけ。それに引きずられて、その前後もだめになっていくんだよね。
だから逆に「得意なところをよりうまくする」っていうことを考えて、全体がよりよくなるようにしていくと、結果的に苦手なところもよくなってくる。その苦手なコーナーも全部つながっているわけだから。

青木 ご自身の経験からですか?

鈴木 メンタルトレーニングを扱った本を読んで気づいたんだ。メンタルトレーニング的なことを発想した人って、オリンピックの射撃選手なんだけれども。百発百中に近い人がたまに外すのは何でだろうっていうことに注目して、外すことをなくそうと一生懸命研究したら、どんどん成績が悪くなっちゃったんだって。それで、メンタルトレーニングっていうのは自分の最高の状態をいかにイメージするかが大事なんだっていうことが初めて発見されたらしい。
このことをレースに応用すると、得意なものをどんどん広げていって、その結果として最後に不得意なところを潰す、という方向でもっていかなきゃいけないってことなわけ。得意な領域が広がると自信もついてくるし、やってて気分がいいから全体のパフォーマンスがよくなるんだよね。


#4 展開の読みに優れた元レーサーのカメラマン

 


CHAPTER 2 連句 × 鈴木誠一郎

*連句:五・七・五の長句と七・七の短句を一定の規則に従って交互に付け連ねるもの。(「デジタル大辞泉」より)

■的確な判断を瞬間的にやる「捌(さば)き手」

青木 50歳を過ぎてからは連句を始められたということですが、連句の面白さを教えてください。

鈴木 連句っていうのは、何人かの「連衆(れんじゅう)」と呼ばれる参加者で、最初に五・七・五の句をつくって、次はそこに七・七の句を付けて、その次はまた五・七・五の句を付けてっていう感じで句をつないでいくのを繰り返して、最終的に1つの作品(=一巻)に仕上げるんだけれど。
人がつくった句の次に、そこに何かの関連をつけながらいかに発想を飛躍させて次の句を付けるかっていうことを考えつつ繰り返していく。人との係わりの中でやっていくわけだよね。そうするとその場の空気ができて、自分一人で考えていたのでは出てこないような自分の可能性がズルッと引き出される。そこがすごく面白い。
でもそれは、その場をリードする「捌き手」と呼ばれる人が上手か下手かにもよるんだけれどもね。場の雰囲気をつくったり、人の可能性を引き出したりっていうのが上手じゃなきゃだめなんだよ。

青木 「捌き手」が重要なんですね。

鈴木 うん。たとえば、ある句が出てその次の句をつくるときには、みんなでワァーッと候補句を出すんだけれど、その中でどれを次の句にするかというのは捌き手が決める。そうじゃないやり方もあるけれど。そうすると、捌き手は一種の権力者でもあるから、勘違いして妙に威張っちゃう人や、逆に迷ったり遠慮しちゃう人もいるわけ。そのどっちもだめなんだよね。判断が的確で早くなくちゃいけないし、自分がした選択について説得力がなくてはいけない。そうじゃないと、場がどんどん盛り下がってつまらない作品になる。

青木 捌き手の判断もあまり時間をかけられなさそうですね。

鈴木 私も捌き手を務めることが半分ぐらいあるけれど、慣れれば割と瞬間的にわかっちゃうもんだよ。それを頭で考え始めると迷ってしまってだめ。やり始めてすぐに「ロードレースとそっくりだな」と思ったよ。頭で考えずに反射神経を鍛えるのが大事だし、その場にいるみんなは、暗黙のうちに実は共同で何か1つのことをつくり上げてる関係、というところがね。

「2011年の芭蕉忌(10月)に行った正式俳諧(しょうしきはいかい)では、執筆(しゅひつ)という主役を務めた。連句一巻をつくって奉納するセレモニーなんだよ」

 

■インプットされたものから自由になる

青木 ロードレースと同じで連句も頭で考えちゃだめなんですね。

鈴木 もちろん頭も使うけれども、前の句(=前句)に付けるときに理屈でつなげたり、ストーリー展開としてつなげてはだめなわけ。それをやっちゃうと次々につなげるのが難しくなって煮詰まっちゃうんだよね。句の付け方にはいろんな分類があるんだけれども、松尾芭蕉が開発した「匂付(においづけ)」は、理屈やストーリーではない直感的な関連で付けていく。つまり、一見、無関係に見えるんだけど、どっかでつながってると感じさせるようなものをもち出すわけ。だから、考えるのではなくて感じる力を鍛える。
それから、水平思考(※2)というか発想の転換が大事。前句とどこかつながっていながら違うものを出すわけだけど、前句とその前の句(=打越(うちこし))も「一見無関係ながらどこかでつながっている」っていう関係になってるわけじゃない? ところが慣れない人がやると、ついつい打越と似たような句を出しちゃう。

※2 水平思考:ある問題に対し、今まで行われてきた理論や枠にとらわれずに、全く異なった角度から新しいアイデアを生もうとする考え方。(「デジタル大辞泉」より)

青木 前に出てきた句に引きずられちゃうというわけですね。

鈴木 人間って一度インプットされたものから自由になることがものすごく難しいんだなっていうのを、連句をやるようになってあらためて感じたんだ。連句では、前に出たことを繰り返すっていうのはいけないことだから、次々に違う方向に転換していきつつ、つながりをつくっていかなきゃいけない。そうじゃないと作品全体が面白くなくなるから。それって日常的にやってることとはかなり違うから、違う部分が鍛えられる感じがする。
それに、捌くときの頭の働かせどころと、自分で句をつくるときの頭の働かせどころってすごく違うんだよね。捌き手を経験した方が連衆としても腕は上がるんだけれども、自分が連衆のときに捌き手的なことを考えてはだめ。いろんな都合を考え過ぎると発想が自由に飛躍しなくなっちゃうから。個別に面白いところに集中しないとだめなわけ。奥が深いよね。

 

■予定調和ではないコントロール

青木 聞いていて、捌き手はファシリテーターに近いなと思いました。場を面白くするために、全体の雰囲気をどこにもっていくかをコントロールするところとか。

鈴木 ただ、最初からこういう方向にもち込もうっていうことを考えてやってるとだめなんだよ。ジャズとかの即興演奏と同じで、あるルールは決めるんだけれども、それに従ってどう展開していくかは出たとこ勝負なわけ。その出たとこ勝負をでたらめにならないようにうまくコントロールするのが捌き手。予定調和ではだめなんだよね。

青木 鈴木さんの著書『レイアウトの教科書。』(MdN)にも書いてありましたが、アートディレクターも捌き手に似ていますね。

鈴木 うん。捌き手もアートディレクターも、みんなのノリのよさを引き出さなきゃだめなんだ。
連句っていろいろな形式、長さがあるけれど、代表的なのは36句の「歌仙(かせん)」という形式。それだとだいたい完成までに4、5時間かかる。そうすると、その間ずっとみんなが高いテンションを保ち続けることはできなくて、人によってモチベーションの緩急もある。それに、採用された句の数が人によって偏っちゃうと、採用されない人はどんどん調子が出なくなっちゃうわけ。だから、そこら辺も考えつつやらなきゃいけない。

「これは墨田区の向島百花園で連句をやったときの写真。2000年だから始めたばかりの頃だね。コロリ(田中晃二さん/元AZホールディングス 代表取締役副会長)もいるよ」


#5 外国にも影響を与えた芭蕉誹諧

 

■受け手が「穴」を埋める構造

鈴木 明治時代に正岡子規が、連句の最初の1句(=発句(ほっく))だけでよしとしよう、と言って広まったのが「俳句」なんだけれど、連句をやると最初の1句がすごく大事だっていうのがよくわかる。その発句だけでつくる俳句っていうのは、17文字の中で言いたいことを全部言おうとすると、ろくな句にならないんだ。いろんなことを言おうとしてもその長さではちゃんとは説明できないし、何とか詰め込んだとしても全然面白くない。そうではなくて、「穴」を開けておいて、「その穴を読者が勝手に埋める」って構造を上手につくれると、すごくいい句になる。読者が自分の思いを美しく盛ることができるような新しい器をどう提供できるか。「上手な余白のつくり方」「上手な器のつくり方」をどうするかっていう技術なんだよね。突き詰めれば連句の句は全部そうなんだけれども。

青木 なるほど。俳句をつくるときも、連句の最初をつくる気持ちでつくった方がいい作品になるんですね。

鈴木 俳句のつくり方として解説されてることは全部、基本的には連句の技術なんだよ。
「取り合わせの俳句」っていうのがあって、たとえば、「秋風や模様のちがふ皿二つ」(作者:原石鼎)という有名な句があるんだけど、「秋風」と「模様の違う皿二つ」って意味としては一見何の関係もないじゃない? でも、「秋風が吹いてくる感じ」と「模様の違う皿が二つある」ってことの間に何か感覚的な関係がありそうな気がするわけ。つまり、読む人それぞれが、「秋風」と「模様の違う皿」っていうものの関係を勝手につくり出す。その関係をつくっているのは「詠み手」じゃなくて「読み手・聞き手」なんだよね。だって「秋風や模様のちがふ皿二つ」としか書いてないわけだから。その句を読んだり聞いたりしてイメージする事柄は人によってかなり違うはずで、でも誰もが、そこに何か、今まで語られたことのない美しいものがあると感じる。それは実は、そこにあるというより、その人がその句をきっかけに自分の中につくり出したものなんだよね。「名句」っていうのはだいたいそんなようなもの。「取り合わせの俳句」以外のタイプの俳句も、結局はみな同じ。意味を押しつけるんじゃなくて、人からクリエイティブな解釈力や編集力を引き出すことができるのが「名句」なんだ。

青木 読むことは受け身ではなくて、創造的なんですね。

鈴木 そういう意味でも俳句は連句の伝統を引き継いでると言える。よく考えると、そもそもコミュニケーションというものは、全てそうだと思う。

青木 鈴木さんがよく言われる「情報の送り手側が伝えたいと思った内容ではなく、受け手側が理解した内容こそが、伝わった情報」ということですね。

鈴木 その考えは連句をやる前から思っていたことなんだけれども、やってみたらドンピシャリ。伝え手と受け手のコミュニケーションというものを深く追求して体系化したようなものが、日本の連歌や連句、俳句っていう伝統だったということがやってみてわかった。


#6 作り手と受け手が分離していない連歌

 


CHAPTER 3 ガールズトーク × 鈴木誠一郎

■発見のネタが無数に転がる「ディテール」

鈴木 連句って長い時間がかかるから飲み食いしながらやるんだけれども、無駄話も結構するわけ。みんな一生懸命、前句にどう付けるかを考えてるんだけれども、そればっかりやっているともたないから、息抜きに無駄話を盛んにしてるわけだよね。関係のない話をガンガンやってると、その話題の中からもパッと発想が浮かぶことがある。

青木 結果的に無駄じゃなかったという感じに。

鈴木 大半は無駄なんだけど。別に「役に立てよう」って意識してやってるわけじゃないんだよね。連句のやり方にもよるんだけれど、つくる人の順番を決めて進めるやり方だと、考える順番に当たってる人以外は、何も考える必要がないから無駄話してるわけ。おじさんやおばさんなんだけれども、ほとんどガールズトーク(笑)。
ところで、ガールズトークってディテールの話がほとんどだけれど、物事のディテールって面白いよね。

青木 ディテールが面白い?

鈴木 筋道の立った話をするときは、その筋道の枠組みがあるわけじゃない? 何かの目的があってここに落とし込もうみたいな。でも、ガールズトークっていうのはそれがない。そうすると、生のディテールが出てくるわけ。それが面白いんだよね。発見のネタがいっぱい転がってる感じがある。なんの枠組みもないから話は広がるし、どこに広がるかわからない面白さもあるでしょ。

 

■人間のコミュニケーションはそれ自体が目的

鈴木 人間の言葉がなんで生まれたのかって考えたときに、何かの目的のためだとすれば今の言葉みたいな発達の仕方はしないと思うんだよね。ある特定の目的のために効率のいいことをやろうと思ったならば、今、人間がもっているような言葉のシステムよりも、もっと効率のいいシステムっていっぱいあるはずなんだよ。
ネアンデルタール人って、今の人間のような言葉をもっていなかったという説があって。一方、人類の先祖とされるクロマニヨン人は言葉をもっていたと言われていて、特定の目的のためではないコミュニケーションをとれるようになった。それが人間の人間になった一番肝心な点じゃないかなと思う。
要するに、人間のコミュニケーションは何か特定の目的のためっていうより、コミュニケーションすること自体が目的なんだ。サルがお互いに毛繕いする目的っていろいろ言われてるけれども、蚤を取るとかフケを取るとかの実用的な目的のためというよりは、立場を入れ替えて気持ちいいサービスをしあうことで、お互いの関係をよくすること自体が重要なわけ。一種のコミュニケーションで、それと同じことだと思うんだよね。

青木 コミュニケーション自体が目的。

鈴木 情報のやりとりをすることを通じて、関係をキープしたり、共有する言葉の体系をメンテナンスすること自体が人間にとってすごく大事。人間って4、50人ぐらいの集団で生活するのに都合がいいように進化してきたって言われてるんだけれど、その4、50人のまとまりをいろいろ予測不能に変化する状況の中でもキープする上では、特定の目的のためではなくて、情報をやりとりすること自体を楽しむ必要がある。最初の話と似てくるけれど、「それ自体が楽しい」ってことじゃないと続かないわけだよね。

「連句をやってる最中の写真なんだけど、女性ばっかりでガールズトークだね。元ガールズ(笑)」

 

■ガールズトークは人間のコミュニケーションの本質

青木 コミュニケーション自体を楽しむということですね。

鈴木 それこそ素粒子と素粒子の間で、別の素粒子をやりとりすることで、お互いの引っ張り合う力が確保されてるみたいな関係。人間のもつコミュニケーションの力っていうのは一人一人独自につくってるわけじゃなくて、コミュニケーションのシステムを他の人間と共有することで成り立っているもの。他の人間と情報のやりとりを続けてないと枯れてっちゃうの。コミュニケーションをし続けること自体が、人間にとっては生き続けるための必須条件なんだよね。何が目的か、何かの役に立つか立たないか、なんてことは二の次。コミュニケーションをすること自体の中に楽しみとか喜びの種があるわけ。それに、さっき言ったように、一人一人が創造的じゃないとコミュニケーションが成り立たない。言葉は硬いコードじゃなくて、緩くて流動的な体系だから。それは、いわゆるガールズトークや井戸端会議とか、そういうところではっきり出てる。男はすごく理屈っぽく何かのための話をすることが多くて、そっちの方が偉いような気がしてることが多いと思うんだけれども。ガールズトークの方が人間のコミュニケーションの本質に近い感じがする。

青木 仕事でも、せっぱつまったときって、男性よりも女性の方が意外としぶとく最後までやり遂げるみたいな(笑)。

鈴木 ガールズトークがもつコミュニケーションの本質って、仕事をやる上でも本当は必要とされてることなんだよね。ものすごく男社会的な組織っていうのは、限界がある気がする。もちろん、ガールズトーク的なことだけやってたら仕事にならないから、両方なきゃいけないんだけれども。近代社会って、ものすごく男性中心的な価値観がガチガチになった社会だと思うんだけども、それが行き詰まってきていて、ガールズトーク的なものがもつ価値が最近は生きてきてる感じがするよね。

青木 ガールズトークがもつ価値っていうのは、ディテールを見たりしているということですよね?

鈴木 というか、男性的なとらわれがない。脳じゃなく体で考えられるところ。それこそ、女性は頭で考えずにできてしまうから、どう生かすかを考えるときには男性的な理屈っぽさも学んだ方がいいのかもしれないけれど。一方、男性は男性でガールズトーク的なものに、もうちょっと馴染む必要がある気がする。両方に足を突っ込んでバランスよく。そうそう、男がディテールをほとんど見ていないっていうのは、子ども時代に描いた絵に顕著に表れるよね。パッと見たものを描いても、たとえば洋服の細部がどうなっているかとか描けないから。

■直感的な判断と理屈での分析

鈴木 ガールズトークと言えば、20代の終わり頃に女性雑誌の仕事に関わったことで、ずいぶん視野が広がったし、自己認識も変わったと思うよ。未だに女性は謎だらけだけどね。

青木 今おっしゃられていたようなコミュニケーションの本質に、その頃気づかれたということでしょうか?

鈴木 仕事でデザインを始めた頃に百科事典のデザインをやってたんだけれど、それまでに勉強していた近代的なデザインのままで結構通用するわけ。だけど女性誌となると、その近代的なデザインだけでは誌面が硬くなってしまう。どうしようか考えたときに、近代的なグッドデザインの枠からあからさまには外れずに、でもちょっと踏み出したようなものを結構追求してた気がするんだよね。

青木 枠を知らなければ「はみ出し方」もわからないし、枠を知ってるからこそ、ここは外していいのか悪いのかの判断ができる、というのがありますよね。

鈴木 そこら辺の判断も、頭の判断よりは直感的な判断の方が強い。何でもそうだと思うんだけれども、そういう直感的な判断と理屈での分析っていうのは車の両輪みたいに両方必要。先行するのはどちらかと言えば直感的な判断の方で、理屈の方は、後追い的に直感的な判断を整理したりっていうことなんじゃないかなって。ギリギリでの判断が求められるような場合っていうのは複雑で難しい状況だから、理屈だけではこっちが正しいって言い切れないことが割と多いんだよね。そこで頼りになるのは体感的な判断能力をどこまで磨いてるかっていうことだと思うんだ。ただし、判断したならば、その判断を前提に物事がどんどん展開し始めるわけだから、的確に対処したり先の展開を読むために、理屈でちゃんと分析できなきゃいけない。だから両方必要なわけ。

青木 僕たちが仕事でデザインをするときにも、なぜそのデザインがいいのかを言葉で説明できないと、説得力をもたせられないですしね。

鈴木 型を大きく破るような新しいことをしようとするときにも、型っていうものがちゃんとあった方がいい。それこそ火薬は何かに詰めた方が爆発力が大きくなるのと同じで。武道の型っていうのも、きっちり体に叩き込んでおかないと素晴らしい型破りができないわけだしね。

青木 じゃあ、直感を鍛えるにはどうすればいいんですかね?

鈴木 直感で判断するような状況を疑似体験することをたくさんやるっていうのが大事なんじゃないかな。「学ぶ(まなぶ)」っていう言葉は「真似ぶ(まねぶ)」と同じ語源だからね。型を身に付けるときに、四の五の言わずにとにかく真似をする。そうするうちに、型の意味がだんだん体でわかってくるようなところってあるわけだし。
頭で考えない能力を鍛えた方が、大きい飛躍を達成できる気がする。だけど、全く頭で考えないわけではなくて、考えることと直感とのバランスはすごく微妙だと思う。最後まで何も考えなくてはただのバカだし、考えてばかりでもやっぱりバカだ。

 


CHAPTER 4 ページの編集デザイン × 鈴木誠一郎

■時間的な自覚が必要

青木 最後に、僕たちが仕事としてやっている「編集デザイン」についてお聞きしていきたいと思います。
鈴木さんは1971年に集合デンを創業して、百科事典や雑誌などのアートディレクションやデザインをされていました。こういった雑誌や書籍の「編集デザイン」のデザイナーには何が大事だと思いますか?

鈴木 ページ物の「編集デザイン」は、雑多な物事を整理したり、ページ単位やページ展開での見せ方をまとめていくわけだけど、このページ展開というのはつまり時間的な展開なんだよね。デザイナーは空間を扱うけれど、時間的な自覚が必要だと思う。

青木 「時間的な自覚」というのは具体的にどういうことでしょうか?

鈴木 時間軸を取り込んでデザインを考えるべきだということ。
たとえばポスターだったらパッと見て全ての情報が一緒に目に入ってくるわけだけど、ページ物は、次々ページをめくっていくというふうに、ある時間的な展開の中でしか見ることができない。映画や音楽と同じ時間芸術なんだ。ただ、映画や音楽はつくった人の設定した順序通りにしか観たり聴いたりできないけれど、ページ物は、作り手が設定した順序じゃない順番でも読める。後ろから読んだり興味のあるところだけを読んだりってね。つまり、読者がその人独自の編集をかけて読むことができるわけ。そういういろんな見方ができるという意味でも、さっき言ったように、コミュニケーションっていうのは受け手側のクリエイティビティに依存してるんだよね。

 

■不易流行と時間的な広がり

青木 デザイナーは時間軸を意識しないといけないわけですね。

鈴木 「編集する」ということは、「時間的な推移の中で物事を考える」ということなんだ。視覚という情報の感覚は、時間なしでも成り立つかのような錯覚がある。たとえば、静止画像の写真を見ても不自然だと感じないのは視覚だからなわけで、聴覚では瞬間の音なんてあり得ない。モーツアルトは一瞬で交響曲が浮かんだって言われてるけど、それは天才のみのこと。聴覚情報っていうのはある時間の経過がないと成り立たない。
視覚も瞬間的にピピピッといろんな情報をスキャンしてそこから視覚像をつくり上げているから、本当は時間的推移の中で情報を受け取っている感覚なんだけれど、人間の自覚としては時間を抜きに成り立っているかのように感じてしまう。それが問題なんだよね。私もデザイナーとしてのキャリアの初めに、物事を図で表すということを集中的にやったけど、そればっかりやってると物事は時間的要素を抜きに成り立ってるかのような幻想が、知らず知らずのうちにできてくるから気をつけないといけない。

青木 錯覚に惑わされない。

鈴木 そう。人間は時間の流れの中で生きているわけだから。今あるものを、永遠不変に成り立っているものだという前提で考えるのか、そうではなくて不易流行、つまりどんどん移ろいゆくものの中の「今」だけを切り取った一瞬のものだと考えるかによって、物事のやり方がものすごく違ってくる。デザインに限らず、なんでもそうだと思うんだけれど。永遠不変という前提でやっていると煮詰まって限界に突き当たることでも、全てのものは流れゆく中の一瞬だととらえると、出口が見えてくることって多いと思うんだよ。
もう少しわかりやすく言うと、今はどうしようもない問題でも時間が解決するっていうこともあるじゃない? 極端に言えば個人的な問題なんて死んでしまえば全て解決する。あるいは、問題のある部分が他の人に移植されて違う形に変わっていくこともあるかもしれない。つまり、今のその場で全てが固定される関係なんてないわけだから、それを前提に考えるようにすれば物事に対する違うアプローチの仕方も出てくるし、世界が広がるよね。空間的に広がることばかり考えるのではなくて、時間的な広がりも考えるようにすると、物事にはいくらでも違う広がり方があるっていう気がする。視覚を相対化してとらえるべきなんだ。


#7 『あまちゃん』の脚本に見えた共通点

 

■意図しきれない成功

青木 たとえば、ひと見開きを一瞬見るのか全部読むのかでも全然違ってくるとか、そういうことも。

鈴木 うん。だから、こういうふうに設定してこうつくったならば絶対こういうふうに受け取られる、なんてことはないわけ。雑誌でも作り手が意識してたのとは全然違うところを読み手が面白がってくれるということが起きるじゃない? 何度か経験したんだけれども、定期刊行の雑誌で編集長も私も「これはうまくできた」って自画自賛する号って大抵売れないんだよね。何かの「とらわれ」が形になってしまっているのかもしれない。連句もそうなんだけれども、ベストの作品って意図的にはなかなか作れない。

青木 さっきおっしゃっていた、コミュニケーションには受け手の編集に委ねられる要素が必要だ、ということがあるんですね。

鈴木 よくできてるということは意図的に全てはコントロールしきれないもので、本当にベストなものは、たまたま受け手にピタッとはまるものができちゃったという結果でしかできない。たとえば大ヒット曲というのも多分そうでね。

青木 ヒットの理由を後で分析することはできるけれど。

鈴木 あらかじめ意図はできない。
あるレベルまでは意図してもっていけるけれど、そこから先の傑作や名作ができるかどうかは、ほとんど天の賜物だと思うよ。そう思って開き直っていた方が、逆にできやすくなるんじゃないかっていう気がする。もちろん、狙いは狙いで一生懸命考えてないとその狙いを超えたものは出てこない。でも、狙ったことにとらわれ過ぎないようにする必要があると思うんだよね、仕事だけじゃなく何においても。とらわれ過ぎると目がふさがってしまって、狙いから外れたすごくいいものが向こうからコロコロと転がってきても気づけないから。

青木 最初におっしゃられていた、役に立つかどうかを考えずに、面白そうと思ったらとにかくやってみることが大事、新たな発見があるかもしれない、というお話と共通しますね。

鈴木 意図するなということではないんだけれど。私も元々は狭い世界にこもるタチだったのが、高校のときに剣道をやったことをきっかけに意図的に違うことをやってみたりして。意図的にやると失敗することが多かったけれども、失敗は失敗ですごく貴重な経験になっているという気がする。
大事なのは、人に対しても物事に対しても常に扉を開いておくこと。意図しきれない成功の方が本当は大きい成功になる、ということをわかった上でいろいろ意図する方が、成功に近づくこともできるし、柔軟に物事に対処できると思うんだよね。 (おわり)


#8 今の興味は音痴を克服すること

THE CHIEF EDITOR’S NOTE

(『サストコ』編集長 青木晃治)

目の前で繰り広げられる「瞬間の編集デザイン」

 

ずーっと喋ってるんですよね、鈴木さんって。しかも聞いてて飽きないんです。

 

話の途中で、前に聞いたことがあるエピソードだな〜とか思ってると、全然違う話につながっていって、「へぇ新見解! 面白い」と思って聞いていたら、いつの間にか論理的で先生みたいな鈴木さんが戻ってきてて。それも誰かの一言をきっかけに、ふいにまた違う方向に話が向かっていったり。
こんな感じで徒然なるままに語っていく様子が、グルービーでありつつも、まんまガールズトークだな、と思ったわけです。

 

それも単純に自分の気分・興味だけで喋ってるのかと言えばそんなわけはなく、メンツや場をよく観察した上で、最適な話題や見方を選択しているみたいです。結論をもたずに喋ったり、その場しのぎの話をしているはずもなく、会話の中で絶妙に探りを入れながら、毎回その場に対してカラダで反応し思考をめぐらせ、アップデートされた言葉が紡がれてるんだと思います。

 

そういえば以前、僕がちょっと内にこもってた時期に、「青木くんは、とにかく外に出ていろんな人に会いなさい。」と鈴木さんに突然言われたことがあるんです。これも今から思うと、コミュニケーションの絶対量が足りてないことを見透かされてのアドバイスだったのかもしれません。

 

今回は、インタビューで言われているとおり、「瞬間を編集しデザインする。そのための心得や態度が、まさしく今目の前で実践されてるんだな」と思いながら話を聞いてた感じです。

 

40年以上の長きに渡る、会社の第一線でのご活躍、本当にお疲れさまでした。


◆Credits
Photos_Satoshi Nagare(Fuse Inc.)
Text_Yuka Iwadate
Edit_Kouji Aoki, Naoko Kawachi, Yuka Iwadate
Art direction & Design_Yasuki Honda

◆取材場所/宮越屋珈琲 恵比寿店
http://www.miyakoshiya-coffee.co.jp/jp/shopinfo/ebisu

Toshi Nihei
Author:
Toshi Nihei

こんにちは。着物大好き社内SEの仁瓶です。

今年も恵比寿駅前の盆踊り大会に合わせて夏の風物詩を楽しもうということで、7月26日はコンセント「浴衣で出社day」でした。

女性は家から浴衣姿で出社。男性陣は浴衣持ち込みで社内で着替えと、本社で男性4人、女性5人(うち一名お腹の大きな妊婦さん!)が素敵な浴衣姿となりました。僕はお会いできなかったのですがグループ会社のフラワーショップkusakanmuriの人たちも数名浴衣だったと聞きました。

浴衣姿が揃うともれなく撮影大会です。

フロア中央にある縁側風ベンチで撮影してみたり、

社内の縁側風ベンチで撮影

入り口のエレベーターホールで撮影してみたり、

浴衣を着てランチへ

去年も撮影した緑の壁を背景に集合写真撮ってみたり。

ガラスのテーブルがちょっと邪魔ですが…

2階で撮影している時には通りすがりの籔内社長やグループ会社のフィルムアート社編集長の津田さんも話の輪に入って盛り上がっていました。

フィルムアート社編集長津田さんと

籔内社長と

これだけの和服美人に囲まれればそりゃ盛り上がります。

見返り美人!

佐々木くんは業務都合で洋服に戻ったあとですが…

坂田くんは夕方から甚平で参戦

浴衣でわいわいしていると周りの人も巻き込んで「いいねー」「自分も着てみたかったー」と笑顔が溢れるのが良いですよね。

僕は着物を普段着として楽しみだして3年弱ですが、着ていてとても感じるのはやっぱり日本人着物好きだよね、ということ。着物を着ているとどこへ行っても喜ばれるし話が弾みます。そうしているうちに楽しくなってまた着たくなる。

今回浴衣デビューした男性社員のやまちゃんが呟いた「最初は照れくさかったけれど、着ていると段々テンション上がってきていいですね。」という一言が印象的でした。

(その後しきりに「刀が持ちたい、刀が持ちたい」と言ってたので、今後彼がどこへ向かうのか楽しみです。)


さて、今回の浴衣で出社dayでは、男性着付けを担当させてもらいました。

はせがわさんを着付けている様子

が!男性の着物は女性のそれに比べてホントに簡単なので是非自分で着られるようになって欲しい。

【男性が浴衣を着るまでの流れ】

  • 浴衣を羽織る
  • 腰紐を巻く
  • 帯を巻く

以上!

簡単過ぎて女性に「ニクイ」といわれる程です。(リアルに言われたことあります。)

簡単だけど綺麗な着姿にするポイントはやっぱりあります。例えば…

  • 「胸を張った状態で着付けする(着ている最中に胸を丸めない)」
  • (腰紐を巻いた段階で)「胸に布のたるみがあったら腰から下を引っ張って伸ばす」
  • 「お腹や背中に浴衣のシワがあれば脇へ逃す」

これで随分見栄えが変わると思います。

あと慣れていない男性へ着付けた時の最重要ポイントは、トイレに行った後どうすれば良いかを教えることかもしれません。女性と違って男性の場合帯をずらさないとあれこれできないので、トイレから出た時に全部はだけて出てきてしまう事になりかねません…。

就業後、着物に着替えたはせがわさんとその家族も交えて盆踊り大会、そして恵比寿ガーデンプレイスのビアガーデンへと繰り出しました。

恵比寿駅前盆踊り大会

一日楽しんでからのビール、大変おいしゅうございました。

恵比寿ガーデンプレイスのビアガーデンにて

kusakanmuriの堀田さんとコンセントの2人

ビアガーデンで語り合う男性陣

これまでの着物ライフでひとつ強く言えるのは、「着物きればよかったなぁ」と後悔したことはあっても「着物きてこなければよかったなぁ」と後悔したことはないので、どうしようか迷ったら「着る」で間違いないでしょう。

花火やお祭りが目白押しの8月、折角なので是非浴衣を楽しんでください。

Naoko Kawachi
Author:
Naoko Kawachi

広報担当、旅するパーソナルスタイリストのチビラーシカです。
先週後半、ニューヨークから帰ってきました。

同時期にたまたま、長谷川さん坂田くんもアメリカに行っていたので、同じ旅程の出張だと思っていた人が多いのですが、違います。

さて、私の翌日にサンフランシスコ出張から帰国し、金曜日にオフィスで久しぶりに顔を合わせた長谷川さんから渡されたのがこれ。TRUNKというプロダクト。

iPhone5を充電できる棒状のライトニングケーブルなのですが、Posable Lightning Cableと書いてあります。折り曲げた状態を維持できる、ポーズをとったままにできるそんなケーブルらしいです。

「便利だから秀野くん赤羽くんには渡しておいたよ」とのこと。

は、はぁ…。
で、この2つの箱を私に持ってきてくれたのは一体…。
サンフランシスコのお土産なんですか?
私にくれるんですか?

「いや、そういうわけじゃなくて便利そうだからオンラインで買ったんだけど…。とりあえず持っておいて。」

私にくれるわけじゃないけど、私が持っておくんですね…。なるほど…。

自分のモノじゃないからゾンザイに扱えないし、かといって手元にあると気になるし、でも、折り曲げたら折ジワというか跡が残ってしまうのかしら…と思いつつ、いや、でも気になるので、箱から出してMacのUSBポートに差してみました。

iPhone5って薄く軽くなったとはいえ、それなりの重さがあるけど、こんな細い形状のケーブルでもぐらつくこともなく、かなりの安定感。

通常の紐状のケーブルを使って壁のコンセントから電源取ろうとすると、iPhoneを床におくことになったりして、ちょっとイヤだなーと思うわけですが、これだったら汚れないし良さそう。

iPhoneを外して、ケーブルを元のようにまっすぐにして、何事もなかったかのように箱に戻しておきました。
※折ジワのような跡がつくこともなく、私が使ったとことはバレずに済みそうです。

TRUNKはこのサイトから購入できます。価格は19.95ドル。
黒色のマイクロUSBバージョンもあるみたいですよ。

iLOVEHandles.com
http://ilovehandles.com/products-page/iphone/trunk/

というか、こんな「本日のガジェット」よりも、Leap Motionのレビューが読みたい!社内にあるんだし、誰か書いてー!

サストコ
Author:
サストコ

こんにちは! サストコ編集部です。
7月26日公開の「FEATURE ARTICLES Vol.12」では、「人間の中にある『編集デザイン』」と題した、元 AZホールディングス 取締役会長である鈴木誠一郎さんへのインタビュー記事を掲載しました。

ところで、鈴木さんって、膨大な知識をおもちなんです。

たとえば、今回のインタビューの構成を考えるにあたり、プレインタビューをさせていただいたのですが、気づけば開始から3時間(!)。お話が途切れないんです。
まるで、鈴木さんの頭の中にたくさんの本棚があり、ある言葉をきっかけに、本棚から「これだ!」と直感的に本を探しあててお話されているかのよう。

一見、なんの関係もないように思える事柄が、鈴木さんの中の“なにか”を通してつながっていく。話がいろんな方向に展開してくのも面白いんです。

さらに2時間のインタビュー本番と合わせてトータル5時間のお話。インタビュー記事ではお伝えしきれなかったことがたくさんあります。私たち編集部の胸の中にしまっておくのはもったいない!
というわけで、インタビュー本編とつながりのある、鈴木さんの8つのお話をご紹介します。


# 1|頭で考えない世界の入口
# 2|翻訳料でモトクロッサーを購入
# 3|スローモーションの中の人
# 4|展開の読みに優れた元レーサーのカメラマン
# 5|外国にも影響を与えた芭蕉俳諧
# 6|作り手と受け手が分離していない連歌
# 7|『あまちゃん』の脚本に見えた共通点
# 8|今の興味は音痴を克服すること

 


COLUMN # 1|頭で考えない世界の入口

高校では剣道部だったんだよね。スポーツはあんまり好きじゃなかったけど、元々、虚弱児童だったから、これじゃいかんと思って剣道を始めたんだ。やった結果、いろんな意味ですごくよかったっていう気がする。「頭で考えるのではない世界」みたいなものの入口がちょっとはわかったかなと思う。

関連ページ⇒ インタビュー本編「頭を使わない訓練」

 


COLUMN # 2|翻訳料でモトクロッサーを購入

オフロード車で山道を走ってる延長で目いっぱい飛ばしたくなったけれど、公道じゃ限界があるからってモトクロッサーを買ったんだ。講談社の仕事をやっていた関係の知り合いから、「あいつはバイクに凝ってるらしい。英語もできるし」という感じで、イギリスのバイク本の翻訳の話が来たんだけど、その1冊分の翻訳料でヤマハのモトクロッサーが1台買えた。そう言えば、当時『アンアン』の編集長だった秦義一郎さんとは、ほとんど毎週末、桶川のモトクロス場まで一緒に行ったりしてたんだよ。

(写真左)当時『アンアン』の編集長だった秦義一郎さんと。(写真右)モトクロスのレース中の写真。

 


COLUMN # 3|スローモーションの中の人

バイクで転んだときって時間の流れが急に変わる。いきなりスローモーションの中の人になっちゃうんだ。そういう感覚ってレースをやって初めて経験した。ゆっくりになったからと言って自分だけ早く動いて対応できるわけじゃないんだけれども、神経や脳の反応速度が急に上がるんだよね、きっと。あんまり怪我をしないような対応ができるしくみになってるんじゃないかな、人間の身体が。

 


COLUMN # 4|展開の読みに優れた元レーサーのカメラマン

レース専門のカメラマンっていうのはレース展開の読みが優れてるんだよ。サーキットの中に何箇所もある撮影スポットにどういうタイムスケジュールで行くかっていうことを組み立てるわけだけど、「この顔触れで、それぞれのチームの今の状況だと、こういうレース展開になるんじゃないか」と考えを巡らせながら、いい写真が撮れる勝負所がいつ、どこになるかを読んで動いてる。自分でもレースをやってたことのあるカメラマンがほとんど。自分でやった経験があると観賞力が高まるっていうことがあるんだと思う。

 


COLUMN # 5|外国にも影響を与えた芭蕉俳諧

俳諧って江戸時代から部分的に翻訳されて外国に伝わってはいたんだけど、明治になってからはどんどん伝わるようになった。日本の芭蕉俳諧の考え方は、イマジズム(※1)やサンボリズム(※2)に、ものすごく影響を与えてるんだよね。日本人にはあまり知られてないんだけど。イマジズムを唱えた主な詩人の一人にエズラ・パウンドっていう人がいるんだけど、彼は正風俳諧(しょうふうはいかい)からヒントを得て理論をつくったんだよ。その流れをくんだT・S・エリオットやオクタビオ・パス、それに昨年のトーマス・トランストロンメルも、ノーベル文学賞をもらっている。でも日本人はその系統ではもらっていない。

映画監督のセルゲイ・エイゼンシュテインが考えたと言われる「モンタージュ理論」も正風俳諧からヒントを得ているんだ。モンタージュ理論っていうのは、いくつかの映像を組み合わせて、そこに新たな意味をつくるという手法。たとえば、映画で、戦艦の水平の反乱の場面のすぐ後に、乳母車が階段を転げ落ちる場面になるっていうのは、正風俳諧の匂付(においづけ)の関係なわけ。「反乱」と「乳母車が落ちる」って全然違うものなんだけど、なにか感覚的につながるんだ。

※1 イマジズム:1910年代のイギリス・アメリカにおける自由詩の運動。俳句などの影響のもとに新しい主題と明確なイメージを見いだし、従来の韻律にこだわらない簡潔な詩をめざした。(引用元:三省堂 大辞林)
※2 サンボリズム:象徴主義。19世紀末から20世紀初頭にかけて、主としてフランスを初めヨーロッパ諸国に起こった芸術上の思潮。主観を強調し、外界の写実的描写よりも内面世界を象徴によって表現する立場。(引用元:三省堂 大辞林)

 


COLUMN # 6|作り手と受け手が分離していない連歌

連句って近代社会と合わない。
昔は寺子屋の師匠とかはほとんどみんな俳諧をやっていて、連歌・連句は文化人にとって必須のアイテムだった。レベルの高い世界っていうのは、作り手と読み手が一致している世界だという考えが、江戸時代の末まではあるわけだよね。でも、たくさん刷って配るようなマスコミュニケーション的な木版などが出てきて、「作者」と「読み手」という分離が始まった。

連句は作品を読んでも、自分でつくった経験がないとよくわからない。前句を読んでつくるから、読むこととつくることが表裏一体なわけ。作り手と受け手が分離していないんだよ。だから観賞力がつくまでに一定の訓練期間が必要だし、一度にたくさんの人に教えることができない。せいぜい多くても6、7人が限度で、4、5時間かけないと一巻ができない。1対多っていうマスコミュニケーションの構造になりにくいんだよね。俳句は、連句の最初の一句(=発句)だけでいいことにしようといって生まれたわけだけど、大勢の人数に対して一度に教えるという構造が成立する。それも、昔ながらの俳諧の宗匠が教えるっていう形じゃなくて、新聞で俳句を募集するという構造もできて、一気にワァーッと普及した。それで連句はどんどん衰退しちゃったんだと思う。

でも、3、40年前から連句がだんだん復活してきた。1対多から1対1へと、コミュニケーションの流れの中心軸が変わってきているからじゃないかな。もちろん俳句をやっている人口に比べるとまだまだ少ないんだけど、俳句をやっている人が連句に関心を持ち出すっていうことが、ちょっとずつ増えてると思う。

 


COLUMN # 7|『あまちゃん』の脚本に見えた共通点

空間的な広がりだけではなく時間軸も意識すべきだという話( ⇒ インタビュー本編「不易流行と時間的な広がり」)で思い出したんだけど、この間、川崎くんと話してたら、「NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』って、鈴木さんの言ってることとピッタリだ」と彼が言い出してね。見てみたらすごく面白いドラマなんだ。川崎くんの言う通りで、ドラマの設定が私の言っていることとピッタリ同じ。それまで見たことがなかったから、NHKオンデマンドで最初から全部見直したよ、凝り性だからね(笑)。

なぜ面白いかっていうと、ガールズトーク的にディテール( ⇒ インタビュー本編「発見のネタが無数に転がる『ディテール』」)がすごく上手につくってあるんだ。脚本がすごく鋭いんだよ、伏線がちょこちょこ織り込まれてる。

高校生の女の子が主人公で、おばあちゃんは三陸の海女さん、母親は昔海女さんになることに反発してタレントになろうとして東京に出てきた人。その主人公のアキちゃんは東京で生まれたのね。事情があって、アキちゃんは母親と故郷の岩手県「北三陸市」に一時的に帰ることになるんだけど、アキちゃんは、海女の世界にすっかりはまって、海女になると言い出して修行を始めるっていう話で。要するに、東京へ出ていくとか空間に水平に広がるっていうことではなくて、逆行して垂直に潜るっていうところに転換するんだよね。ひたすら穴を掘り続けてる人なんかも、なかなか面白いキャラクターとして出てくる。

ほかにもいろんな仕掛けがあって。おばあちゃんの名前は夏さんで、お母さんは春子、主人公の高校生の女の子はアキちゃん。途中でわかったんだけども、アキちゃんって漢字の“秋”で春夏秋冬の“秋”、季節が織り込まれているんだよね。季節って時間的な推移じゃない? 母親の春子さんは、夏さんに反発して故郷を出ていったきり連絡を取ることなく生きてきたにもかかわらず、その「春、夏」の連続で「秋」という名前を娘に付けている。つまり、春子さんは東京にいる間ずっと、反発しながらも故郷に引っ張られていたんだなっていうことが受け取れるんだよね。時間の運行って、人間がコントロールできない世界だから。

あと、アキちゃんのおじいちゃんは遠洋漁業の漁師で、1年間に10日ぐらいしか家にいない。世界中を体感的に見て知っている人なんだ。一方、おばあちゃんは一生「北三陸市」にいて、そこから一度も外に出たことがない人。そういう空間感覚の全く違う人が夫婦になって、すごく仲良くしてる。そのおばあちゃんは私と同い年で65歳、結婚して45年ぐらい経つんだけど、1年で10日だから45年間でも450日しか一緒にいないわけ。

こんな感じで、人によって時間軸が違うんだっていうことが、いろいろなところに埋め込まれているんだ。シナリオがすごく凝ってるんだよね。きっとシナリオ設計のベースには、私が感じていることと同じようなことを脚本家自身が感じていて、訓練を積んでるってことがあるんじゃないかな。東北出身の方らしいから、自分が体感的に蓄積したものを分析して取り出して、組み立て直しているんだろうなって思う。

東京と地方の関係というのも、テーマの一つとして埋め込まれている気がするよ。どうやら後半はアキちゃんがまた東京に戻るらしい。見る人が何を考えるか、見る人次第で感じとる幅が大きくて、そこがやはり優れた脚本なのだろうと思う。ディテールがよくできていればこそ、でもある。

もちろん、全然そんなことを考えなくてもコメディとしてすごく楽しめるけどね。

 


COLUMN # 8|今の興味は音痴を克服すること

最近、なぜかわからないけど音痴を克服したくなって、ギターで弾き語りの練習をするようになったんだ。なかなかキーが合わないこともあってカラオケは苦手だったんだけど、弾き語りなら自分の声に合わせたキーに調整できるじゃない? バイクレースで話した「得意なところをよりうまくする」っていう話( ⇒ インタビュー本編「得意なものを広げていって、最後に不得意なところを潰す」)とちょっと矛盾するけど(笑)。でも、うまく歌えたときって楽しいから。

生まれつき音痴な人はいないっていう説があって、違う思い込みというか、自分で自分を音痴に追い込んでる理由があるんだよね、きっと。

このところ、時間とリズムとか、形とリズムといったことが気になっていろいろ考えるんだけど、音痴にはリズム音痴ということも大きな要素として含まれているので、音痴意識に閉じ込められたままでは、リズムについて考えるにも限界がある気がする。だからカホンという四角い打楽器を椅子がわりに使って、折に触れて叩いてみてる。リズムということを体感的にも多少はわかるようになりたい。慣れてくると、なぜだか音自体もだんだんいい音が出るようになって楽しい。

サストコ
Author:
サストコ

Contents
◆特集
Vol. 011|インタビュー「コンセントの未来デザイン。」

◆コンセント世界行脚
Vol. 011 |「IA塾」地方開催第3弾 コンセントIA婦人会 鹿児島へゆく。
Vol. 012 |IA Summit 2013 in Baltimore

Naoko Kawachi
Author:
Naoko Kawachi

Think Fashion

2013/06/24 18:54

こんにちは。

広報担当、旅するパーソナルスタイリストの河内チビラーシカです。
さて、6月4日に社内でファッションセミナー「Think Fashion」を開催しました。講師は私。

社内でファッションセミナー「Think Fashion」を開催

パーソナルスタイリストって何?
なんで社内でファッションセミナー?
なぜチビラーシカが?

などなど、不思議に思う方も多いかもしれません。

なぜって、それは、コンセントがコミュニケーションデザインの会社であるからに他ならないのですが、ちょっと噛み砕いてご説明しましょう。

ファッションは編集デザイン

コンセントは「ふつうの人々の、ふだんの情報生活がより豊かで、美しく、創造的なものになること。」という理念を掲げるAZグループに所属しています。そして、コンセントをはじめ、出版2社(フィルムアート社BNN新社)、フラワーショップkusakanmuriは、このグループ理念のもとに企業活動を展開しています。

「ふだんの情報生活がより豊か」になるよう、コンセントは「理解」のデザインをしています。
情報の送り手から受け手に、メッセージが正しく意図通りに伝わるにはどうしたらいいか、膨大な情報をどう扱い表現するか、難解な情報をいかに理解しやすくするか、どうやったら心に響くか、そしていかに継続できるしくみを作るか…。そういうことを考えて、Webサイトやサービス、雑誌、企業広報誌などをデザインしているわけです。そしてそれは編集デザインとも言えます。

ファッションって、編集デザインだと思うのです。
ファッションというと言葉が広くなってしまいますが、「服を着る」「装う」という意味でのファッションです。

みなさん、毎日洋服着ますよね。
何気なく選んでいるその洋服、他の人からはどう見えているでしょう?

自分では特に意識なく着ているとしても、「◯◯さんに似合ってるね」と言われることもあれば、あるいは通勤途中にすれ違った見知らぬ人を見て「あー、なんだか素敵だな」あるいは「金融マンっぽいな」などと、無意識に何か感じとったりすることがあると思います。

そんな風に、意識する・しないに関わらず、装いを通して何かしらの情報をやり取りしているわけです。

「ファッション」というと「私、センスないから…」とか「体型に恵まれてないから…」と苦手意識を持つ人も多かったり、あるいは「おしゃれに興味ない…」といったように無頓着な人もいたりします。

でも、社会生活を送るなかでは、洋服を着てどこかに出かけることは基本的には避けられません。
自分は興味がなくても、自分のことを見ている第三者が存在します。
装うということは、自分一人の問題ではなく、相手のあることなんです。

そんな風に考えると、装いはコミュニケーションツールなんだ、といえると思います。

特に会社生活を送る上では、同僚、上司、顧客…、あるいは社会生活のなかでは、子供の学校の先生、ご近所さん、配偶者の親族…など、さまざまな人との接点があります。

そういうさまざまな相手にどんな人としてうつっているか、うつってしまっているか…。

パーソナルスタイリストの仕事とデザイナーの仕事

ところで、パーソナルスタイリストって何?という話ですが、みなさん、パーソナルスタイリストっていう職業をご存知でしょうか?
ものすごくざっくりいうと、パーソナルスタイリストとは「普通の人のためにファッションコーディネートやワードローブコンサルティング、ショッピング同行などを行なうスタイリスト」です。

個人的にですが、私、いろんな服を着るのが好き、もっとおしゃれになれたらな…といった、極めて俗な理由からこのパーソナルスタイリストの学校にしばらく通って勉強していました。

パーソナルスタイリストの顧客は、通常一般の人です。必ずしもモデル体型の方ばかりではありませんし、むしろ体型に悩みを抱えている場合もあります。
そして、人それぞれに、洋服への価値観や、ライフスタイル、社会的役割は全く異なるため、それぞれにあわせた問題解決やスタイリング提案が必要になります。

また、スタイリングの際には、「トレンドに則っておしゃれに見える」ということよりも「置かれる環境にふさわしく、その人らしいかどうか、またその人の良さが最大限引き出されているか」という観点が大切になってきたりもします。

…と、話せばキリがないのでこの辺にしておきますが、面白いことに、パーソナルスタイリストの仕事のプロセスや提供価値を知れば知るほど、コンセントが普段やっているデザインのプロセスと驚くほど類似していると気づいたのです。

私は広報担当でもあるので、コンセントのみんなが、その人たちらしく、かつコンセントの人らしく、デザイナーらしく、さらにかっこよくあって欲しい!とも思い、ファッション(装い)について社内のみんなと一緒に考えてみたいと思ったわけです。

セミナーの様子

そういうわけでコンセント社内ファッションセミナー「Think Fashion」では、

  • ファッションはコミュニケーションツール
  • ファッションは社会人・ビジネススキル
  • ファッションはパーソナル

という3つのメッセージを込めてお話しするとともに、問題解決であるデザインプロセスとの対比もしてみました。

シツチョーの「伝わるしくみ」図を勝手に拝借してファッションについて説明

パーソナルスタイリングのプロセスは、IA/UXの全体像の図でも説明ができてしまう!

そもそも、社内でファッションセミナーなんてやったとして、人が集まるんだろうか?と若干不安もありましたが、蓋をあけてみれば、平日昼間の開催にも関わらず35名ほど(通常のドーナチュと同じぐらい?)が参加してくれて、案外みんな興味を持っているんだな、ということがわかりました。

業務の合間を縫ってたくさんの人が参加してくれました

そして、「新しい発見があった」「もっと◯◯しようと思った」といった反応もあり、初の試みとしてはなかなか。

…というか、業務時間を使っているだけに、正直「ホッ」としました(汗)。

終了後のアンケートからは、

  • 年齢に見合った服を着たいが、何が似合うか分からない
  • 初歩的なアクセサリーの使い方を知りたい
  • 挑戦してみたいファッションがあってもきっかけがなかなかない
  • 具体的なTIPSも知りたい
  • つい同じような服を買ってしまいがち
  • プレゼンの時にデザイナーらしさが出る格好を知りたい

といったコメントも。

洋服って毎日着るものなのに、洋服の着方を学ぶ機会はなかなかないゆえ、こんなことに困っている人や興味がある人は案外多いような気がします。

というわけで、デザイン会社の広報担当/パーソナルスタイリストという立場から、もっとファッションについて考えてみんなと共有したいし、機会があれば今度はTIPSも含めたもっと実践的な内容でやってみたいと思いました。

この日のスライドはSlideshareで公開してます。

シツチョー
Author:
シツチョー

どうも。「勝手に伝わるしくみ」でおなじみの川崎です。

泣き言なんて聞きたくないとは思いますがね、一言で終わっちゃうようなネタはそれなりにあるんですが、「勝手に伝わるしくみ」規模のネタってなかなか無いもんなんですよね。
あと、私的な感覚としては、ほぼジンクス的に、都内の全然別の2カ所で同じものを見たらそれは流行っているというのがあるんです。

小ネタをぽろっと、「ム、なんかこれ来てる?」をさらっとメモって、さらに邪に誰かに読んでもらうってのいいんじゃない? という発想のもと、「あれ、そういや私、ブログって書いたことないなあ」というのもあり、このたび「ケハイ観測所β」というブログを、何かと話題のtumblrではじめてみましたというお知らせです。

長い前置きになりましたが、要はなかなか更新されない「コージ・コーナー」に業を煮やしての行動ですねw
tumblrの使い方が全然わかっておらず、社内のSNSで質問すると、速攻で返事が返って来るという何ともすばらしい環境のもと、四十の手習い的にぼちぼちやっておりますので、ご笑覧いただければ幸い。
観測所の所員を増やしたりとかしてみたいですね。


http://kehaikansoku.tumblr.com/

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